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週刊現代元編集長が出版批判 調書漏出事件公判に出廷(1/2ページ)

2009年1月27日17時13分

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写真奈良地裁に入る加藤晴之・前「週刊現代」編集長=27日午前9時37分、奈良市登大路町、森井英二郎撮影

 06年に奈良県田原本町で起きた医師宅放火殺人事件をめぐり、医師の長男(18)=中等少年院送致=らの供述調書を引用した本「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)が出版された問題で、秘密漏示の罪に問われた鑑定医の崎浜盛三(もりみつ)被告(51)の公判が27日、奈良地裁であった。講談社内で出版に唯一反対したとされる加藤晴之・前「週刊現代」編集長(53)が被告側証人として出廷。「(関係者の)プライバシーへの配慮がない。大きな問題があると思った」と出版を批判した。

 加藤氏は、事前に内容を知った際に「公益を図るものではないと思った」と述べ、「自分なら公権力の介入を招くような本は作らなかった」「どこかでブレーキをかける責任が講談社にはあった」との考えを示した。

 また、今月14日の前回公判に証人出廷した著者の草薙厚子氏が、取材源は崎浜被告だったと明かした点について「(取材源は)命に代えてでも守るべきもの。被告がどう対応しようと、絶対に守らなければならない」と疑問を呈した。崎浜被告が刑事責任を追及されていることへの思いを尋ねられると、涙ぐみながら「講談社の人間として、公権力の介入を許し、本当に申し訳ない」と述べた。

 証言を終えた後、加藤氏は取材に対し、「自分は出版に反対したが、中止させる権限はなかった。もう少し大きな形でアラームを鳴らし続ければよかった」と話した。

 加藤氏は06年2月から2年間、週刊現代編集長を務め、現在は講談社の学芸局次長。

 加藤氏の尋問は被告・弁護側の申請で決まった。弁護側は、草薙氏らに調書を見せた目的について「少年に殺意がなかったことを社会に広く伝えたかった」と正当性を訴え、無罪を主張している。加藤氏の証言で調書入手後から出版までの問題点を示し、崎浜被告が取材を受けたこと自体は「取材・報道の自由」の範囲内である点を印象づける狙いとみられる。

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