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勤務医の約2割が過労死の“危険水域”に

 医科の勤務医の約20%が月80時間を超える時間外労働を強いられ、現在の勤務状況について約35%が「厳しい」と感じていることが、北海道保険医会の調べで明らかになった。同会では、労働安全衛生法が、時間外労働が月80時間を超えた段階で過労死の“危険水域”とし、100時間を超えるとメンタルヘルスなどの措置を必要としていることを挙げ、「労災の過労死などの認定は一般的に、これらの数字を基に判断されており、勤務医の安全に配慮した措置が急務だ」と訴えている。

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 同会は、勤務医の過重労働が社会問題化していることから、昨年12月に会員の勤務医を対象に「勤務医の労働実態に関するアンケート」を実施。174人から回答を得た。

 1か月の時間外労働については、「80時間以上100時間未満」が約8%、「100時間以上」が約9%と、約17%の勤務医が過労死の危険水域とされる月80時間以上の超過勤務に当たっていることが分かった。
 また、10%超の勤務医が週2日以上の当直を務めているほか、約80%の勤務医が当直後そのまま「通常勤務(1日勤務)」に入っていることも分かった。当直後の「休み」は約8%にとどまった。
 さらに、当直外の夜間対応では、「呼び出しあり」が約49%、「電話のみ」が約21%で、「ない」は約26%だった。同会では「当直日以外でも『オンコール』の体制が常態化している。呼び出し回数の平均は月3.3回で、10日に一度のペースで夜間の臨時出勤が求められている。(当直を含め)勤務医が過酷な労働実態に置かれている」と指摘している。

 このほか、勤務の中で感じるストレス(複数回答)については、「文書作成」が約41%で最も多く、次いで「会議・委員会」約36%、「時間外の呼び出し」約32%、「休暇を取れない」約31%などだった。同会では「診療報酬の改定ごとに文書作成業務が増えており、本来の診療行為以外に多くの時間を費やすなど、過重労働を招く要因になっている」としている。

 こうした勤務実態について、「厳しい」と答えた勤務医が約35%に上り、「余裕がある」は約12%にすぎなかった。

 同会では、「昨年の診療報酬改定では、勤務医対策としての点数評価が加えられたものの、代表的な労働集約産業の医療業界は、従事者の過重労働によって成り立っている側面があり、容易に改善へとつながらない実態がある。調査結果を踏まえ、勤務医の労働環境の改善に向けた提言を行うとともに、行政や関係機関などへの要請運動を積極的に進めていきたい」と話している。


更新:2009/01/27 18:39   キャリアブレイン

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