ホーム > きょうの社説


2009年1月27日

◎能登南部にドカ雪 警戒怠れない冬の日本海側

 能登南部の七尾市や中能登町、志賀町の一部がゲリラ的な大雪に見舞われ、交通網がず たずたになり、バスや列車の運休が続発し、雪の重みで倒れた樹木で送電線が切断されて停電も広範囲にわたった。和倉温泉では客が足止めを食い、学校が臨時に休む等々の被害が出た。

 七尾市一帯は二〇〇六年にもドカ雪に遭っている。金沢地方気象台によると、今度の大 雪はオホーツク海の低気圧の動きが遅く、能登の上空に雪雲が停滞し、局地的な里雪になったようだ。

 冬場の日本海側では局地的なドカ雪に対する警戒が地震、台風、集中豪雨などに対する と同様に必要なことをまたまた教えてくれたと受け止めたい。

 冬場は大陸の寒気団が季節風として日本海側に向かって吹き寄せるが、温かい日本海で 水蒸気を補給されて雪雲ができ、その季節風の勢いが弱まった場合、里雪型となって平野部に局地的な大雪をもたらすのである。

 同気象台は二十四日の午後十一時三十五分に能登全域に対して大雪注意報を出し、南部 については翌日の午後一時一分に大雪警報に格上げしたのだが、自治体はもとより住民もここまでの大雪になると予想しなかったフシがある。

 足止めされた温泉客から列車の開通見通しなどについて、およその予想ができないもの かといった苦情もあったといわれる。JRだけでなく、観光地を抱える自治体の課題でもあろう。

 雪の重みで倒れた樹木が道路を遮断したり、送電線を切断したりするのは毎回のことと 言ってよい。除雪の悪さも指摘されている。

 自治体の雪害対策の関係者や住民らが大雪注意報が出た段階だけでなく、注意報が警報 に切り替わったときの受け止め方に甘さがなかったかどうかを調査し、問題点を洗い出したい。

 平野部のドカ雪は倒木による停電のほか、集落の孤立、スリップ事故、屋根雪の下敷き 、急患が出ても医療機関へ搬送できないといったことにつながることもあり、交通網のマヒや渋滞で生産物の出荷不能を招き、経済にも損害を与える。油断できないのである。

◎集団風邪が猛威 無理させず休ませよう

 インフルエンザが全国で猛威を振るっている。北陸でも集団風邪による小中学校の学級 閉鎖が相次ぐなど大流行の兆しがあり、感染の拡大が心配されている。罹患した幼児や高齢者の中には肺炎などを併発して死亡する例も珍しくない。特に今年は治療薬タミフルが効きにくい耐性ウイルスや微熱でもウイルスが検出される症例が相次いでいるだけに、例年以上に注意が必要だろう。

 インフルエンザが怖いのは、一人がかかると、三人にうつすといわれる強力な感染力に ある。閉め切った場所に大勢が集まる幼稚園や小中学校は、感染が広がりやすく、学校から地域全体に拡散するケースも指摘されている。疑わしい場合は、あまり無理をさせず、休ませることも重要だ。

 北陸は今季、インフルエンザの流行が最も遅い地域の一つだった。集団風邪の発生は石 川県の場合で、昨季より約一カ月遅かったが、その後感染が急拡大し、患者数は昨年の同時期の二倍以上に上っている。富山県では昨年十二月に集団風邪が発生しているものの、急増したのは、やはり今月中旬になってからである。

 インフルエンザは、合併症を起こすと死に至ることもある。今月、東京都町田市の鶴川 サナトリウム病院で、女性患者三人が死亡した集団感染では、A香港型ウイルスが検出された。

 感染すると一―三日の潜伏期間を経て、強い発熱や頭痛、倦怠感、筋肉痛の症状が出る ケースが一般的だが、地元の医療関係者によると、金沢市で今月、三七度台前半の複数の発熱患者からウイルスが検出された例もあった。

 インフルエンザ対策は、ワクチンの予防接種以外に、日常生活のなかでもできる。特に 小さな子供や高齢者、受験生がいる家庭では、外出後の手洗い、うがいの励行、人ごみを避ける、マスクの着用、休養・睡眠をたっぷり取る、などを心がけたい。

 人類が抵抗力を持たない新型インフルエンザの発生も懸念されている。「たかが風邪」 などと軽視せず、十分な対策と早めの受診が肝要である。


ホームへ