某wktkスレに書いたんだが、こっちでもう少し詳しく検証してみる。ただし、独断と偏見に基づいた分析だから、頭からは信用しないように。おいらが間違ってる可能性は、まったく否定できないからね。 まずは、これ。 http://www.chosunonline.com/article/20071208000019 いつの撮影かはっきりしないが、これ、対策に当たってる当事者が、まったく油流出について理解していない事が良く判る写真。 船尾に一直線にオイルフェンス流してどーするんですか???本来なら、タンカー船首に一端を固定、船尾に向かって展帳、潮で船体に沿って変形して効果が無くなるから、真ん中辺りで別の船で船首方向へテンションを掛ける。こういうのが普通のやり方です。さらに言えば、タンカーそのものの船尾を曳き船で潮上方向へ曳いて、オイルフェンスが効果を持つようにする、なんて対策も必要。 それから、タンカーの方なんだが、自前のオイルフェンス積んで無いのか?これ義務づけなんだが??まず最初にタンカーの船首から自前のオイルフェンスが展帳されてて良いはず。 次はこれ。 http://www.chosunonline.com/article/20071208000014 この地図だと、まったく潮流を考えてない事が判る。この辺の潮流は、朝鮮戦争時辺りの記述を信用すれば、最大だと5Ktを超える。地図の南北が正しいとするなら、この西北西にある湾には、上げ潮時、流出油が流れ込む。この奥に川なんかあれば最悪。定常流(沿岸流)がどちらを向いてるか関係なし。潮流の方がはるかに強い。そして下げ潮時には、この湾から流れ出し、沿岸流の記述が正しければ、南に向かう事になる。下げ潮が強く、黄海循環流にまで達すれば、今度は北上し、渤海から黄河沿岸に漂着する。 こういう報道を見ている限り、韓国報道は、これが国際問題って事を理解して無いんじゃないか?? さて、その次。 http://news.tbs.co.jp/20071207/newseye/tbs_newseye3726587.html http://www.news24.jp/98909.html これを見ると、発表されてる破口1.3mなんて大ウソだって事が判る。破口の上、甲板のふちに手すりが見える。この高さは概ね1mと思ってもらって良い。1.81mの身長のおいらの鳩尾くらいの高さだ。それを基準に見た場合、この破口の直径は少なくとも3m、水線下が判らないので、5m超えるかもしれない。 それから、この流出を見ると、損傷したのはタンク一個じゃない。破口は一個しか見えないから、内部構造にまで破壊が及んでると考えて良いと思う。ひょっとすると中央タンクへの隔壁が破れてるんじゃないか? で、TBSの映像を見ると判るが、破口の船首側に傷がある。等間隔で傷が上下に並んでいる。多分、これがクレーンバージの船体の当たった後だと思う。等間隔なのは、クレーンバージの強度材の痕に見える。 じゃ、破口はどうしてできたのか?あくまでも想像でしかないが、クレーンのフックがぶつかったんじゃあるまいか??クレーンバージの大きさから言って、フックの大きさは高さが3m超えるかも知れない。重さは3tとか5tとかだろう。これが振り子の原理で、舷側に高速度でぶつかった。 さてと、最後に、水産庁が無線で連絡を取ったのに応答が無かった話。16CHで呼び出さなかったから応答できなかった、って言ってる。もし水産庁が本当に12CHで呼び出したのなら、それは水産庁のエラーだ。本当に曳き船が16CHを聞いていたならだが。しかしだ、これは普通に行われる事だが、12CHで呼び出して、応答が無ければ、16CHに移って再度呼び出す。水産庁のオペレーターがこんな常識的な操作すら出来ないのなら、恐ろしくて韓国沿岸なんか航海できない。今の無線機で16CHへの移動はボタン一個押すだけだ。さらに、現在は、全ての商用船舶には最低限VHF-DSC(デジタル選択呼び出し)の搭載が義務づけられているはずだ。「船長の携帯電話の番号」が探せるのなら、MMSIって言うその船だけに与えられた呼び出しコードを探すのはもっと簡単なはず。それを無線機にセットして、ボタンを押せば、目的の船だけでアラームが鳴る。周波数、CHがどこにセットされていようがだ。 そりゃね、一般の方々は知らないだろうが、少しでも船を知ってる人は、こんな言い訳じゃ騙せないよ。だいたい、タンカーみたいな大きな目標に接近してる事を外部から知らされないと判らない、ってなら、一体、レーダーは何の為に付いてるんだ?? 要するに、この話を総合した場合、航路管理側は、大型バージのトーイングって言う、全世界航路情報に上がるようなモノに対して、まったく注意が欠如しており、錨泊船への接近の警告を「呼び出したけど応答が無かった」で済ます程度にしか注意してなかった事、バージ側は、自分の操船自由度が非常に限られたものであるにも関わらず、大迂回を嫌って、錨泊地至近を通過しようとした事、航路管理情報を積極的に得ようとしなかった事、おそらくレーダー監視すら怠っていた事、などなど、「韓国航路管理、運行の前近代性」をまざまざと知らしめてくれた、という事になる。 この傍証の最大のものは、トーイングワイヤーの切断だ。経験から想像するに、錨泊中のタンカーの近傍を通過しようとしたのだろう。沖出しするのが面倒だ、ってのが理由だな。ところが、急に風が変わって、強くなり、風圧面積の大きいクレーンバージを制御できなくなった。自分から操船余地を減らして近道しようとしたのが裏目に出て、タンカーに当たるかもしれなくなって来た。で、強引に方向を変えようと、ワイヤーテンション無視して曳いた。で、ブッツン。波があったから切れました、って、そのための曳き船だろが。そんな事言ってたら、掘削バージの外洋トーイングなんか不可能だって話になるぞ。 ところで、今日の報道だと、応急処置が完了したから、近くの港へ入れるだって??おいおい、他のタンクの油抜かないんですか?そもそも、応急処置って、船が走っても持つようなもの、溶接使わないで出来るのかよ?それとも他のタンクへ窒素ガスでも入れて、溶接やったのかい?凄いねぇ・・・・・ たかだか沿岸4海里ですぜ、そんなに海が悪いわけないっしょ。普通は別のタンカー横抱きして、荷油を抜き取るもんですぜぃ。それで吃水上げて、破口部分を水面上に出して、港へ動かす。その間、タンク清掃出来ないから、残留ガス抑えるのに窒素なんかをタンクに入れる。 なんちゅうか、船に関わるおいらみたいな者には、すっげー「斜め上」の対応に見えちゃうんだがねぇ・・・・これで移動中に他のタンク(窒素入れてると思うから圧がかかってる)が破れてさらなる流出が起きなけりゃ、幸運ってもんだわ。 まぁねぇ、世界的に韓国人船員の数が減ってるのも判るわ。これ、韓国以外でやったら、下手すりゃターイホですぜ。誰もこんな綱渡り認めんと思うがなぁ・・・・・凄い国だなぁ・・・ |
<< 前記事(2007/12/07) | トップへ | 後記事(2007/12/27)>> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|---|
韓国原油流出事故は日本政府の責任!?
韓国の忠清南道沖の黄海で起きたタンカー衝突により原油が流出した事故で、韓国日報が14日、この事故の責任は日本政府にあると報じた。 ...続きを見る |
脳内新聞(ブログ版) 2007/12/14 22:51 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|---|
実務に携わる貴殿の資料を交えたわかりやすい論評、 |
某スレより 2007/12/12 04:29 |
某スレより様 |
南瞑 2007/12/12 07:22 |
詳しい分析、さすがですね。 |
初心者マーク 2007/12/12 21:20 |
初心者マーク様 |
南瞑 2007/12/12 22:51 |
某スレから来ました。 |
ワッフル ワッフル 2007/12/13 13:07 |
詳しい解説感謝です。 |
私だ! 2007/12/13 18:58 |
ワッフル ワッフル様 |
南瞑 2007/12/13 23:59 |
私だ!様 |
南瞑 2007/12/14 00:22 |
詳しい解説読ませていただきました。 |
海底ロンメル 2007/12/15 17:47 |
海底ロンメル様 |
南瞑 2007/12/17 16:29 |
さすがにひっくり返ったりはしないですよね? |
ねこだいすき 2007/12/17 20:00 |
ねこだいすき様 |
南瞑 2007/12/19 15:51 |
伝聞情報ですが韓国海軍艦艇は波高4メートル以上では港に避難するそうです |
ひまじん 2009/01/08 08:05 |
追伸 |
ひまじん 2009/01/08 08:12 |
<< 前記事(2007/12/07) | トップへ | 後記事(2007/12/27)>> |