外務省は、平成18年11月から平成19年2月にかけて、ロシアに所在する図書館、古文書保管所に保管されている17世紀から19世紀の地図において、日本海海域の名称がどのように表記されているかについて調査を行った。これは、「日本海という呼称は、我が国が鎖国下にあって国際的影響力を行使できなかった19世紀から、ヨーロッパにおいて定着してきたものである」という我が国の主張を改めて確認するためのものであった。(ロシア国立図書館、ロシア国立古文書保管所(モスクワ)、ロシア国家図書館(旧シドリン国立図書館)及びロシア国立海軍省文書保管所(サンクトペテルブルグ)の4か所において調査した。)
一方、韓国側は従来より「日本海の名称が支配的になったのは20世紀前半の日本の帝国主義、植民地主義の結果である」及び「19世紀の中期から末期までは東海と日本海の双方の名称が世界地図の中で普通に使われていた」と主張してきた。韓国側は、その根拠として独自に行ったロシアでの古地図調査を挙げており、その調査によれば、韓国はロシアの公立図書館及び古文保管所が有している地図のうち19枚について調査を行ったところ、韓国に関連するものは10枚(Sea of Korea(7), East Sea(1), Eastern Ocean(1), Gulf of Korea(1))あり、日本に関連するもの(Sea of Japan)は3枚のみであったということであった(注)。
外務省が調査した地図の呼称別一覧
当該海域の名称 |
1601~1700 |
1701~1800 |
1801~1867 |
1868~1900 |
地図数 |
割合 |
日本海 |
|
2 |
15 |
12 |
29 |
72.5% |
朝鮮海 |
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5 |
2 |
1 |
8 |
20.0% |
朝鮮海峡 |
|
|
1 |
|
1 |
2.5% |
東海 |
|
1 |
|
|
1 |
2.5% |
中国海 |
|
1 |
|
|
1 |
2.5% |
(表記なし) |
2 |
4 |
5 |
|
11 |
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(合計) |
2 |
13 |
23 |
13 |
51 |
本調査を踏まえ、韓国政府が2002年に同図書館で行った同様の調査の結果を検討してみると、以下の疑問点を指摘することができる。
(1)調査対象の選定基準が明らかでない。
韓国側は、我が国が行った調査場所であるロシア国立図書館、ロシア国立古文書保管所(モスクワ)、ロシア国立海軍省文書保管所(サンクトペテルブルク)の3か所に保管されている18世紀から19世紀かけての合計19枚の古地図を用いて調査しているが、この19枚の選定基準については言及されていない。図書館等の調査許可の問題があるにしても、日韓の調査結果にこれだけの開き(特に日本海と表記された地図の枚数の違い)がある中、韓国側がその選定基準を公表していないことにかんがみると、韓国側の調査結果に疑問が残る。
(2)韓国側は20世紀前半の古地図についてほとんど調査結果を公表していない。
韓国側は、「日本海の名称が支配的になったのは20世紀前半の日本の帝国主義、植民地主義の結果である。」としているにもかかわらず、20世紀前半の地図についてはほとんど調査結果を公表していない。
(3)韓国側は「東海」を主張しているにもかかわらず、それ以外の名称もその主張の根拠としている。
韓国側は「東海」を主張しているにもかかわらず、「朝鮮海」や「朝鮮湾」まで「韓国と関係のある名称」として「東海」と同一視し、これらの合計数と日本海表記の地図数とを比較して調査結果を公表している。これは、韓国の主張する「東海」が、韓国側の調査においてすら、ほとんど古地図に登場していないことを裏付けている。
結論
今回の調査により、日本海の名称が、19世紀に入ると他の名称を圧倒して使用されるに至ったことが判明し、これまでの古地図調査同様、我が国が鎖国下にあって国際的影響力を行使できなかった19世紀初頭から日本海の表記が定着してきたことが、ロシアにおける古地図調査によっても確認された。
アメリカ、イギリス、フランスでの調査でも同じ。
韓国は少ない数の地図を調査し、「日本海表記はほとんど無かった。東海など、韓国関連の表記が多数だった」と嘘を発表するが、日本は可能な限り全ての地図を調査して、「ほとんどが日本海表記で、東海表記は皆無だった」と真実を発表する。
結論
・日本が鎖国していて世界に影響を与えられなかった時から、日本海単独表記が世界のスタンダードだった
・東海表記の古地図はほとんど無かった
・「日本海表記は、日韓併合時代に日本が世界に広めた。併合以前は東海表記が世界の主流だった」という韓国の主張は嘘である