ATM以外の送金方法が急増
自宅に取りに来る犯人も!?

 最近は、振り込め詐欺対策として、口座開設時の本人確認が厳しくなったり、ATMの監視が厳しくなってきたため、振込以外の方法をとる手口も増えてきている。

 目立つのは、日本郵便の「エクスパック」を使う例だ。エクスパックは、専用の封筒を使って500円で日本全国どこにでも荷物を送れるサービス。本来、現金を送ることは禁止されているが、だました相手から送金させるのに使われ話題になった。ポストに投函できるエクスパックは、郵便局の窓口で発送を止められる危険性が低いところに目を付けた犯行だ。

 現金は私設の私書箱に届き、そこからすぐに別の場所に転送されてしまう。このため、行き先を突き止めるのは困難となる。

 このほか、自宅までバイク便が来て、現金を引き取っていく事例もある。

 詐欺グループのメンバーが自宅までキャッシュカードを取りに来るという事例も報告されている。

 最初に、警察官を装った犯人から「あなたの口座が振り込め詐欺に利用されているため、口座を変える必要がある。これから銀行の職員がお宅にうかがうので、キャッシュカードを渡し、暗証番号を伝えて欲しい」と電話がある。直後に、銀行員風の格好をした犯人が自宅を訪問する。キャッシュカードと暗証番号を手に入れた犯人は、すぐに現金を引き出して、姿を消えてしまう、というものだ。

 この事例でも、電話がかかってきて、すぐに犯人グループが自宅に来るという点がポイント。なんとなくおかしいと思っても、急がされて、ついキャッシュカードを渡してしまい、被害にあってしまうというわけだ。

 さらに最近では、自宅まで犯人がお金をとりにくる「オレオレ空き巣」も報告されるようになった。

 オレオレ詐欺と同様に、息子や孫のふりをして「会社のお金に手をつけてしまった。お金を用意して欲しい」などと電話で頼む。現金が用意できた頃を見計らって、「外で待ち合わせしよう、物騒だから現金は家に置いておいて」と誘い出す。待ち合わせ場所に現れないため、被害者が帰宅すると、用意しておいた現金は空き巣に盗まれている、という手口。また、銀行に振り込みに行っている間に空き巣に入る手口も報告されている。詐欺グループが空き巣も行うようになったのだ。

 また、現在、多くの銀行が提供しているインターネットバンキングサービスを悪用した事例も登場している。

 それは、家族を装った犯人が、銀行のネットサービスを申し込ませるというもの。その後、IDやパスワード、暗証番号を聞き出し、お金を他の口座に振り込んでしまうのだ。

 たとえ家族であっても「パスワードは教えない」のが鉄則。また、パソコンやインターネットが苦手な人は、たとえ家族のサポートがあってもインターネットバンキングを使わないほうが安心だろう。