巧妙化するオレオレ詐欺

 騙されないためには、敵の手口を知っておくのが一番だ。最新の手口をチェックしよう。

 まず、振り込め詐欺の中で最も数が多い、オレオレ詐欺。以前なら「オレだけど、お金が必要になったので、振り込んで」といきなり電話してくるケースが多かった。しかし、手口はどんどん巧妙になり、劇場化しているのが最近の特徴だ。

 今の手口は、いきなり「お金が必要になった」と電話してくるのではない。まずは、家族を演じる犯人から「携帯電話の番号が変わったから教える」と電話がかかってくるのだ。このとき、声が違うことを疑われないように「風邪をひいて、声が変だけど」と言い訳することが多い。最初の電話の用件はそれで終わり。

 数日後に再びかけてきた電話で、「事件をおこした」「不倫がばれた」などトラブルに巻き込まれたことを説明する。その際、警察官や弁護士を装った共犯者が「すぐに振り込めば示談できる」などと電話口で言って、深く考えたり、事実を確認する時間を与えずに振り込ませようとする。

 犯人側は、最初の電話で、相手をだませそうかどうかを見極めている。多くの人が「振り込め詐欺には気をつけよう」「自分は大丈夫」などと考えているのだが、相手は家族の名前を正確に調べていることも多く、本人からの電話だと信じてしまう人は意外に少なくない。その最初の電話で、「だませそう」と目星をつけた相手を狙って、犯人側は巧妙な演出を仕掛けてくるわけだ。

 口実となるトラブルの内容は、さまざま。交通事故を起こした、痴漢容疑や不倫の慰謝料、借金の連帯保証人になったなど、あらゆるケースがある。

 万一の被害にあわないためには、遠方の家族から「携帯電話番号が変わった」という連絡があった場合、念のために古い番号にかけて確認してみるよう心がけておくとよい。