卓球の全日本選手権最終日は18日、東京体育館で行われ、女子シングルス決勝は平野早矢香(ミキハウス)が元中国代表の王輝(日立化成)を4−3で下して3大会連続5度目の優勝を遂げた。平野は世界選手権(4月28日−5月5日・横浜アリーナ)代表入りを決め、ダブルスとの2冠も達成した。
男子シングルスはすでに世界選手権代表入りを決めている19歳の水谷隼(明大)が決勝で17歳の松平健太(青森・青森山田高)を4−1で下し、ダブルスと合わせて史上2人目となる3大会連続の2冠を成し遂げた。
10度目の挑戦となった20歳の福原愛(ANA)はシングルス準々決勝で15歳の石川佳純(ミキハウスJSC)に4−0で快勝して初の4強入りを果たしたが、準決勝で王輝にストレート負けした。
◆王輝を逆転、心と戦術で死闘制す
女子シングルスで3連覇を果たした平野早矢香=東京体育館で
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最終第7ゲームで1−6からの逆転。元中国代表のカットマン、王輝の返球がネットに掛かると、平野は両手で顔を覆ってうれし涙に浸った。1時間18分の死闘を制してつかんだ5度目の日本一。技術的にも精神的にも強さが際立っていた。
「一度も勝ったことがない相手だったし、我慢比べで勝つしかないと思っていた」。特筆すべきは世界選手権団体戦優勝も経験している王輝を破ったことだ。2007年に日本国籍を取得し、実績ではナンバーワンとみられていた。
準決勝で福原がまったく歯が立たなかった相手に対し、対策を立てて臨んだ。福原は変化に富んだカットを打ち急いだが、平野は強打をしないでバックにボールを集める作戦を徹底した。
ドライブ回転のボールを返し続け、相手のリズムが乱れ、返球が甘くなったところで強打して得点を重ねた。1ゲームも落とさずに勝ち上がった王輝に「こんなに強い日本人と対戦したのは初めて」と言わしめた。
北京五輪では世界の壁にはね返された平野だが、「大舞台を経験している選手に勝てたことは、すごく意味がある。大きな通過点となった」。世界選手権への自信をにじませた。
(禰宜田功)
◆斎藤清以来、水谷が快挙
決勝の第5ゲーム。5度目のマッチポイントをものにすると、水谷は両こぶしをゆっくり突き上げた。3年連続でダブルスとの2冠。1982−85年に斎藤清が4年連続で2冠を果たして以来、大会史上2人目の快挙だ。
高校の2年後輩で、一昨年のインターハイの決勝でも顔を合わせている松平健に3ゲーム連取してからてこずった。第4ゲームを奪われ、第5ゲームでもリードを許したが、サーブを「横回転から下回転に変えてから流れが来た」。5−9から5連続得点。最後は地力の違いを見せた。
男子ナショナルチームの宮崎監督が「さすが水谷。引き出しが多い」と絶賛する日本のエース。4月には世界選手権(横浜)が開かれるが「メダルを狙っていきたい」と力を込めた。
(禰宜田功)
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