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心臓移植患者ら12人の検体取り違え 国循センター

2009年1月27日6時19分

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 国立循環器病センター(大阪府吹田市)が昨年10月、心臓移植手術を受けた患者ら12人分のウイルス検査の検体を取り違え、うち1人に誤ったデータをもとに不要な投薬治療をしていたことがわかった。不要な治療をした患者には謝罪したが、残る11人には「実害がない」として説明していなかった。同センターは「説明すべきだった。今後対応する」としている。

 同センターによると、昨年10月上旬、心臓移植患者10人を含む12人の患者から採血し、検査技師が二つのラックに検体を6人分ずつ番号順に並べた。しかし、血液を少量取り分ける作業をした際、ラックを逆にしたため検体の順序が入れ替わったという。

 その結果、同センターで心臓移植を受けて入院していた女性患者について、実際は感染症などを起こす恐れがある「EBウイルス」が陰性だったのに、別人の高い数値をもとに治療が必要と判断し、抗ウイルス薬を投与した。この薬は白血球が減る副作用があり、現実に白血球が減ったため、投薬は10日間で中止した。12月半ばに取り違えが発覚し、臓器移植部長や技師長らが謝罪した。現在、女性は退院しているという。

 残る11人は治療や健康への影響はなかったという。同センター医療安全推進室は「患者は月1回しか通院しない人が大半で、説明するタイミングを逸したようだ。今後、説明したい」としている。

 医療安全に詳しい厚生労働省の中央社会保険医療協議会委員の勝村久司さん(47)は「検査データは患者にとって基礎情報。影響がどうであれ、誤りを含めすべて患者に説明し、理解を得ることが医療の信頼のために必要だ」と指摘する。

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