福岡市消防局は、2008年の火災、救急、救助の概況を発表した。救急の出動件数は、前年より815件少ない5万6934件で過去最大の減少となり、同局は「救急車の適正利用を呼びかけてきた効果が表れ始めた」と分析している。
近年、軽症だったり、「タクシー代わり」で掛けられる不適正な119番通報が急増。本当に必要な救急出動に影響が出ることへの懸念が高まり、同局は昨年、救急車の適正利用を訴える啓発ポスターコンテストを初めて実施するなど、広報活動を強化してきている。
同局によると、08年の救急出動件数は前年に比べ1.4%減少。このうち、「急病」は約3万4000件(前年比1.3%減)。出動したものの、症状が回復したり、搬送を拒否されたりして医療機関に送らなかった件数は、約7500件(同1.2%減)だった。一方、65歳以上のお年寄りの搬送人員は前年とほぼ同じ約2万人で、全体に占める割合が初めて40%を超えた。
水難事故などに駆け付ける救助隊の出動件数は、約1400件(同2.4%増)。社会問題化した硫化水素による自殺が12件発生し、12人が死亡、6人が病院搬送された。6件で、現場周辺の住民計約250人が避難した。
また、火災は約430件(同6.8%増)となり、死者は前年より3人多い16人だった。出火原因は「放火(疑い含む)」が約130件で、20年連続で最多。「こんろ」が約80件、「たばこ」が約50件と続いた。
=2009/01/27付 西日本新聞朝刊=