西日本新聞

「友情年」 日韓の地域連携モデルに

2009年1月26日 11:00 カテゴリー:コラム > 社説

 今年は「福岡-釜山友情年」である。福岡市と韓国釜山市が行政交流協定を結んで20周年となる節目の年だ。

 友情年は、両地域の産学各界の代表23人で構成する提言機関「福岡-釜山フォーラム」が2007年に提案した。海峡を挟んで200キロ、高速船で3時間弱であり、年間100万人が行き来する人的交流は活発だが、経済交流などはまだまだだ。提案には「これをきっかけに、交流から、国境を超えた地域協力に発展させよう」という思いが込められていた。

 提案を受けて、両市長が昨年10月、今年を友情年とすることを宣言した。両市は2月2日には、友情年の開幕記念式典を釜山で開き、福岡でも「アジア太平洋フェスティバル」期間中の9月中旬に、記念イベントを予定している。

 このほか、両市民の友情を深めようと、福岡市総合図書館所蔵の日本映画とシネマテック釜山所蔵の韓国映画の交換上映▽福岡シティマラソンと釜山海(うみ)ハーフマラソンの提携-など、文化・スポーツ分野の交流事業も盛りだくさんだ。交流は継続することが大事であり、福岡アジア美術館と釜山市立美術館は今秋以降、互いに両館の所蔵品展を開くほか、学芸員交流や共同調査も目指すという。

 また、福岡ソフトバンクホークスと釜山のプロ野球球団ロッテ・ジャイアンツ、Jリーグ・アビスパ福岡とKリーグ・釜山アイパークとの交流試合を模索する動きもある。ぜひ実現してほしい。

 福岡県内では昨年12月、単独開催としては初の日中韓首脳会議が開かれたのに合わせて、3カ国の学生30人が集まって3日間、3首脳への提言を議論する日中韓学生サミットが開催された。

 参加者は、自らを含む日中韓の人たちを言葉の壁や国家の枠組みを超えた「東アジア人」と位置付けて、「環境問題の非政府組織(NGO)を設立する」「互いの歴史授業などを動画投稿サイトなどで発信する」など、環境、教育、文化交流の3テーマで全18項目の行動計画を「緊急福岡宣言」としてまとめた。

 「国レベルの関係に溝があるのは問題ではない」「会って話すことに相互理解の大きな可能性がある」「共に歩んでいかないと、国境を超えた環境問題などに取り組んでいけない」-。議論での学生たちの言葉は印象的だった。

 昨秋の友情年宣言後、福岡市の吉田宏市長は「友情年を機にさらに高い段階の関係を築き、日韓の地域連携モデルを目指したい」と述べた。両市間では、九州と韓国東南部を1つの経済圏とする「超広域経済圏」、観光連携の「アジアゲートウェイ」構想も動きだした。両地域の先進的取り組みは日韓だけでなく、日中韓の地域連携モデルになれるはずだ。

 両市は市民が企画した交流行事を「友情年事業」と認定し、支援していくという。学生たちに負けない柔軟でユニークな草の根からの提案を期待したい。


=2009/01/26付 西日本新聞朝刊=

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