競輪玉手箱
禁酒にうどん修行…走れることに感謝
走る情熱は誰にも負けない!手島慶介が名古屋オールスターで大暴れだ
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来週15日からスタートするGIオールスター競輪。このビッグレースに2年ぶりに出場するのが手島慶介(30=75期、群馬)だ。彼は一昨年の一宮オールスターで不祥事(携帯電話持ち込み)を起こし、同年12月から翌年11月末までの1年間、あっせん停止処分を受けていた。選手でありながら1年間レースに出られない厳しい現実。いったいどうやって生計を立てたのか…。復帰後は以前にも増して力強さを見せつける今だからこそ、手島に空白の1年間を語ってもらった。
【手島 慶介(75期)】制裁を受けた一昨年12月1日からの1年間。手島はまず好きな酒を断った。
「6月いっぱいは自転車には乗りませんでした」。幸い、実家がうどん店を経営。働き口はあった。従業員として、開店から閉店までうどん打ち、接客、皿洗い、掃除、窓ふきなどすべてのことをやった。
「うどんは22歳から打っているけど、まさか皿洗いをするとは…」
これまでも店が忙しいときはちょくちょく手伝っていたが、毎日となれば甘えは許されない。パートで働くのおばさんたちと同じ仕事をこなし、お客さんとの接し方など大切なことを数多く学んだ。
余談だが、手島はこの期間にうどんの本場・讃岐へ修行に行った。その腕前は間違いなくプロ級だ。
本格的な練習再開は9月から。来る復帰に向けて毎日街道を乗り込み、夜はウエートトレーニング。バンクは1日おきに入り、練習仲間(稲村成浩・好将兄弟、内海雅夫、矢口啓一郎、弟の志誠)や兵藤一也らといっしょに汗を流した。
そして12月前橋FI((1)(2)(5))で再スタートを切ると現在までにFI戦V8。充実ぶりは周知の通りだ。
ここで改めて1年間を振り返ってもらった。すると真っ先に出た言葉は「走れることに感謝しています。僕の車券を買ってくれる人に貢献したい」と、「恥をかいても文句を言わずに付いてきてくれた嫁に感謝している」だった。とし子夫人(30)の支えがあったからこそ手島は“人”として成長できたのだ。
「オレで返せることは家族に仕事をしている姿を見せることと、おいしいものを食べさせてやること」。もちろん賞金袋は封を切らずに夫人の手へ、だ。
新規まき直し。レースでは勝てないこともあるが、気持ちは負けない!理想は「何かするな、と思われる選手になる」。ファンを納得させることが甦った手島の身上でもある。
「優出が最低目標」の名古屋・オールスター。ゴール前、ファンを歓喜させるのはこの男かもしれない。
[ 2005年09月08日 02:18]