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300日規定 「出生届不受理は違憲」 岡山の女性、損賠提訴

1月26日16時4分配信 産経新聞


 離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する民法の「300日規定」により、子供の出生届を不受理とされたのは法の下の平等に反し違憲だとして、岡山県の20代の女性が26日、居住地の市と国に330万円の損害賠償を求める訴訟を岡山地裁倉敷支部に起こした。

 300日規定をめぐっては、無戸籍となった子を救済するため、法務省が平成19年5月、離婚後の妊娠を証明すれば300日以内の出産でも現夫の子などとして出生届を受理するよう通達。女性の弁護士によると、この通達をめぐる違憲提訴は初めて。

 訴状によると、女性は18年2月に前夫と結婚したが、夫の暴力などを理由に同年9月から別居。昨年3月に離婚が成立して10月に現在の夫と結婚した。11月に女児を出産して出生届を提出したが、(1)出産が離婚後300日以内(2)妊娠が離婚前の2月と推定される−として現夫の子としての出生届は受理されず、女児は無戸籍となった。

 女性側は、「妊娠が離婚前になったのは、前夫が離婚を拒み続けたため」と主張。出生届の不受理は不合理な差別で法の下の平等に反するほか、「出生後直ちに登録される」などと規定した児童の権利に関する条約にも反するなどとしている。

 女児は現在、現夫の戸籍に入るために岡山家裁で認知調停中。女性は昨年12月に提訴する予定だったが、行政の対応を見極めたいと延期していた。

 ■運用改善の救済に限界

 民法の「300日規定」による無戸籍児問題では、国が運用改善で救済を図っている。しかし、今回提訴した女性のように「離婚前の妊娠」は対象外になるなど、限界も指摘されている。

 法務省は平成19年5月、離婚後300日以内の出生であっても、離婚後に妊娠したという医師の証明があれば、現夫の子や非嫡出子として取り扱うよう通達を出した。

 しかし、今回の女性のように、離婚協議が長引いているうちに新しいパートナーとの間に子ができた場合は対象とはならない。救済は一部にとどまるとみられている。

 法改正を訴える「mネット・民法改正情報ネットワーク」の共同代表、坂本洋子さんは、「現状に苦しむ人が声をあげることで国を動かすきっかけになる」と提訴を評価している。

                   ◇

【用語解説】300日規定

 民法772条2項は「婚姻の解消もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎(妊娠)したものと推定する」と規定。このため、実際の父親の子としての出生届が受理されず、生まれた子供が無戸籍のままになるケースが相次ぎ、社会問題化した。戸籍を作るには調停などの手続きが必要となる。総務省は一定の条件の下で住民票への記載を認めるとしている。

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最終更新:1月26日17時2分

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