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裁判員がわかる:/13 どんな人が辞退できるの?~その5

 裁判員候補者の通知が届いた竹橋剛さん(35)=仮名=は喫茶店で、大学時代の友人で新聞記者の堂島一郎さん(35)=同=に、どんな人が辞退を認められるかを尋ねている。

 堂島さんは最高裁の報告書をめくった。「業種や企業規模別だと……61パターンが載っているな。おっ、新聞記者も出ている。記者会見への出席は考慮されるようだな」

 剛さん「おれが働いている百貨店も出ているのか」

 堂島さん「えーと、あった。新規開店時の店長は参加が難しいとある。だけど、『どの部署もスタッフが多く、裁判員裁判に参加しやすい職種と考えられる』とも書いてあるぞ」

 剛さん「それは実態を分かってないな。ボーナス商戦やイベントの時なんか、売り場責任者はそんな簡単に休めないぞ」

 堂島さん「まあまあ。調査対象者とは事情が違うこともあるだろう。呼び出し状が来たら、しっかり説明すればいい」

 最高裁は報告書を全国の地裁に配布するとともに、データベース化を進めている。追加の聞き取り調査もしており、裁判官が辞退理由を判断する際に参考資料として使う予定だ。

 剛さん「参加が難しそうなケース、ほかにもあるのか?」

 堂島さん「異物混入に対応する食料品製造業、番組のオーディション、銀行の決算期、長期休暇中の飲食店、予約制の開業医、入学式や卒業式時の教員、成人式を控えた美容師--。確かに、どれも仕事を休むわけにはいかないな。負担を避けるため、裁判所は辞退希望を柔軟に判断すると言っているけどな」

 剛さん「ぜひ、そうしてほしいな。ところで、人を裁きたくないとか死刑反対など、思想や信条を理由に裁判員を辞退できるのか?」【北村和巳】=毎週月曜掲載、次回2月2日は「どんな人が辞退できるの?~その6」

毎日新聞 2009年1月26日 東京朝刊

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