ここから本文エリア 研修医 残る? 残らない?2009年01月25日
■「研修医と語る会」 知事前に3人がそれぞれの選択訴える 2年間の初期臨床研修を終えた後、県内の病院に残るか、県外に出るか――。県内の研修医と勤務医、知事らが意見交換する「研修医と語る会」が24日、甲府市内で開かれた。横内正明知事を前に、3人の研修医の話からは、厳しい現実が垣間見られた。(岩崎賢一) 語る会は、県医師会と県の共催。知事を囲んだセッションでは、研修医25人を含む85人が参加した。 4月から出身地の東京都内の病院で消化器外科を目指すという山梨大学医学部付属病院の研修医横井圭悟さん。「今は自分の技術を磨くことしか考えていない」。だからこそ「大学病院で医局に入局すると、手術の症例数が確保できるか分からない」とし、同年代の医師がいない市中の病院を選んだ。地域医療については、国家試験に合格して2年ということもあり、「何にもできなくて地域に行ってもしょうがない」と話した。 医師確保に苦労する、司会の山下晴夫・県立中央病院長からは、「給料は」「甲府に街の魅力がないのか」などと質問された。横井さんは「(給料は)医局に入って働くよりだいぶ低い」「出身地(の東京)に魅力を感じる」と淡々と答えた。 山梨大学病院の研修医田中敬子さんは、4月以降も大学に残り皮膚科に入局する。日々追われ、「地域医療に目が向くほど余裕がない」と言う。出身は東京都小平市。大学に残る理由は、数多くの同級生や知り合いの指導医がいるからだ。大学時代の同級生の医師と結婚している田中さん。山下院長から「彼は別の所(県外)に行きたかったのではないか」と問われると、困った様子で「そういうところもあった」と答えた。 県立中央病院の研修医川合拓郎さんは、父親と同じ自治医科大学出身。壇上のパワーポイントで示された「巨人の星」の星一徹と飛雄馬の親子を重ね合わせ、「父は仲間と全国各地のへき地で働いている。この姿勢には僕も感銘する」と話した。川合さんは、小学生の頃、父親が勤務していた飯富病院がある身延町での生活から、地域医療を志したという。「地域は義務で行かされるところでなく、帰りたい場所だ」と強調した。
マイタウン山梨
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