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【講演要旨】人間の骨の中にはカリウム40という半減期が長くて高いエネルギーのガンマ線を放出する自然の放射性物質が入っており、生活圏は、その他、自然(いわゆるバックグラウンド)や人工的な放射性物質(核実験による降下物や製鉄段階で入るモニター用のコバルト60を含む鉄筋や鉄骨等)で満たされ、野菜や肉にも、1kg当たり約0.1Bqの放射性物質で汚染されており、さらに、骨折検査やガン検診等で放射線撮影もしており、人間は、好むと好まざるとに関係なく、被ばくを回避することができず、原子力発電所の定期点検時における従事者の年間平均被ばく線量も決して少なくありませんが、それ以上に多いのが航空機の乗務員であり、乗務員の欧米への月間フライト数は、被ばく線量で制限・管理されており、また、日本では、医療において、年間7800名もガン死していると推定されており、医療が意外に多く、患者は、気楽に放射線撮影に応じていますが、患者の被ばく履歴が管理されていない現状においては、患者が気をつける以外に解決策は、まったくありません(相対被ばく線量ではなく、全体の被ばく線量の低減化を図らねばなりません)。
【講演要旨】日本の原子力行政が、まだ、いまのように、原子力委員会と原子力安全委員会に分離されていない頃の原子力委員会において、当時の委員長の内田秀雄先生(当時、東大工学部機械工学科教授、熱機関学)は、原子力船「むつ」の放射線漏れの不祥事に際し、記者会見において、「申請者がそれでよいと言ったから、我々は、その条件で認可したのであって、申請内容が適切でなかったために発生した不祥事であるため、我々には責任がない」と、大変興味深い発言をしており、実は、その考え方は、それから約30年間経ったいまでも続いており、具体的には、たとえば、世界でも最新鋭の電気出力138万kW級の中部電力浜岡5号機や北陸電力志賀2号機の場合のように、日本の原子炉メーカー(この場合、日立製作所)では、最初の大型タービンの設計・製造経験であったため、試運転の段階で、すでに、回転羽根の構造材に亀裂が生じてしまい、いま、暫定策を施して運転継続しているものの、最終的には、メーカー責任で作り直しをして、置き換えなければならず、そのような欠陥技術で製造された大型タービンの技術条件が、安全審査を通過しており、実際には、何の審査もなされておらず、審査において、「むつ」の時と同様、「申請者がそれでよいと言ったから認可した」と、実質的安全審査はないに等しく、最新鋭技術においては、安全審査側の先生の技術力は、一般論としては高いにもかかわらず、最新鋭の大型タービンのような特定の個別技術となると、原子炉メーカーの30歳台半ばのエンジニアの知識や技術力に劣るため、もし、申請者側が、たとえ、悪意がなくても、不適切な申請をしたならば、そのまま安全審査を通過してしまうことになり、いまの原子炉安全審査の欠陥体制は、まさに、その点にあると言えます。