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あっぷるLINK:社会・地域 弘前大・高度救命救急センター /青森

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 ◇重篤患者治療の核に

 来年7月の開設を目指している弘前大医学部付属病院(弘前市)の高度救命救急センター。原子力関係の施設がある県の事情を反映し、全国で2番目となる被ばく医療も行うのが大きな特徴だ。また、1次・2次救急医療機関や救急隊と治療情報を交換するホットラインも設置する。これまで津軽地方には救命救急センターはなく、県内初の高度救命救急センターに関係市町村や地元医師会の期待が高まっている。ただ、開設後の運営は赤字が見込まれており、関係自治体などの支援態勢がカギとなりそうだ。【塚本弘毅】

 ◇被ばく医療に期待、赤字対策カギに

 3次救急医療に当たる救命救急センターは、青森市の県立中央病院と八戸市立市民病院に設置されている。高度救命救急センターは、重篤(じゅうとく)患者を受け入れる3次救急医療に加え、重症全身熱傷▽急性薬物中毒▽指肢切断の治療が可能になる。さらに、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場や下北半島の原発などの事情を考慮し、被ばく医療の機能を持たせる。同医療ができる高度救命救急センターは、広島大に次いで全国で2番目になるという。

 24時間365日体制のセンター建物は、地上2階地下1階(延べ床面積約2400平方メートル)で、付属病院敷地内に建設される。今国会で関係予算が通れば、4月にも着工される見通し。医師14人、看護士38人、専任スタッフなど50人の態勢にする計画だ。

 現在、弘前市の救急態勢は、軽症患者の1次救急と、5病院輪番制で入院治療する2次救急からなる。これまでも、付属病院が3次救急的な役割を担っていたが、システムとして確立されることになる。また、地域の医療機関との連携が必要だとして、1次・2次救急の医師と救急隊との間にはホットラインを設け、治療相談できるバックアップ態勢も敷く。

 弘前市医師会の田村瑞穂会長は「医師会も要望してきたセンターが設置されてホットラインが置かれると、われわれも安心して患者に対応できる」とその心強さを語る。付属病院の浅利靖救急部長は「地域住民がより良い医療を受けられるシステムが確立される」と話している。さらに、弘前大医学部医学科を卒業した研修医が定着する新しい魅力もできる。花田勝美院長は「卒業後は半数が関東地域の病院に行ってしまう。高度の治療ができる救命救急センターが開設されたら、弘前大で研修を受けたい医師が増えるだろう。また、センターで技術を習得した医師が県内の病院に勤務するという利点もある」と期待している。

 問題は、ランニングコストだけで年1億2000万~1億3000万円の赤字が予想されることだ。15日の会見で遠藤正彦学長は「多くの人手がかかるし不採算部門になる」と、地域支援の必要性を強調した。遠藤学長や花田院長らは、弘前市など津軽地域の市町村に支援を要請して回った。同市健康福祉部は「市民の安全安心が確保できるようになって期待は大きい。具体的な運営計画はこれから示されると思うが、何らかの支援は必要だと考えている」と話していた。

毎日新聞 2009年1月26日 地方版

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