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英国で“新幹線株”急上昇 環境対策で

2009.1.25 18:45

 【ロンドン=木村正人】英国で日本の新幹線に熱い視線が注がれている。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスを多く出す航空機より高速鉄道が見直され始めたためで、英運輸担当閣外相は日本型新幹線の建設に意欲的だ。最大野党・保守党も新幹線にご執心で、次期総選挙をにらみ、環境に優しい“新幹線株”が英政界で急上昇している。

 昨年11月に英鉄道関係者と一緒に訪日したアドニス運輸担当閣外相はJR東京駅の新幹線総合指令室を見学。新幹線にも試乗して静かな走行、安全性を体験した。英国では地下鉄や列車がダイヤ通りに到着することはめったにないだけに、時間に正確な新幹線の運行に驚いた。

 英国と欧州大陸を結ぶ国際特急列車ユーロスター運行のために排出される温室効果ガスは航空機に比べ10分の1。英国は昨年、2050年までに同ガスを1990年比で80%削減するとした世界初の気候変動法を施行。国内交通網として新幹線を建設すれば、航空便の減少につながり同ガスの排出量を大幅に削減できる。

 アドニス氏は英紙サンデー・タイムズに「15〜20年以内にロンドンと中部マンチェスター間に新幹線を建設、時速200キロで走らせたい」と語った。成功すれば北部のスコットランド地方まで延伸したいという。

 今月15日、ブラウン政権はロンドン・ヒースロー空港の第3滑走路建設を承認するとともに、ロンドンとスコットランド地方を結ぶ高速鉄道案を検討する調査機関を新設し、年内に高速鉄道に関する報告書をまとめる方針を発表した。

 ミリバンド気候変動相は17日、与党・労働党支援団体の会合でヒースロー空港拡張について「航空機の離着陸が増え、地球温暖化につながる。環境を軽視すると選挙に勝てない」と批判を浴びた。環境対策としての新幹線導入についてミリバンド氏は本紙に「学習する必要がある」と話した。

 新幹線にはもともと保守党の方が熱心だった。総選挙の実施時期への関心が高まる中、環境に優しく内需喚起にもつながる高速鉄道計画は与野党にとって格好の宣伝材料になる。日英21世紀グループ元英国側議長のハウエル保守党上院議員(元運輸相)は「英国は新幹線の技術協力を日本に依頼している。新幹線は東京−大阪間の航空機利用者を減らした実績がある。保守党はヒースロー第3滑走路より高速鉄道の建設を推進するだろう」と語る。

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