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2009年1月25日

 朗報は、連れ立ってやってくることもある。ゴルフの石川遼選手のマスターズ出場決定に目を見張り、日本の高い技術を示す衛星8個を積んだH2Aロケット打ち上げの成功に胸が躍る

まだ高校生の石川選手が生まれた17年前は、バブル崩壊が表面化し、景気悪化の坂道に転がり込んだころである。湾岸戦争のぼっ発、ソ連の崩壊、と激動の出来事が年表に載る。海部内閣から宮沢内閣へと交代し、政治にも迷走の影が差し始めた

日本の元気が急にしぼみ始めていたが、純国産ロケットの運用が始まったのは、その3年後。打ち上げられた15号機は、東大阪の町工場が作った衛星や高専生が製作した観測衛星も宇宙に運んだ。夢を実らせた人たちである

石川選手はゴルフを始めて11年目、衛星打ち上げは計画から7年がかかった。列島が元気を失ってしまった時でも、かいた汗は報われる

東大阪の工場主は「しんどい時こそ夢を」を合言葉にしてきた。石川選手は「急がば回るな」という少年らしい信条を口にする。不況列島を覆う厚い雲の切れ目からのぞく、まぶしい青空である。元気をもらおう。


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