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統計庁が予測する10年後の韓国社会

 「人口の減少により、軍隊への入隊者も減少し、政府は最先端の無人防衛システムを輸入するために天文学的な額の資金を投じるようになる。また、韓国戦争(朝鮮戦争)の休戦直後に生まれた第1次ベビーブーム世代(1954-63年生まれ)が定年を迎えることで消費が落ち込み、住宅を売りに出す人も大幅に増えるが、購入する人が少ないため、住宅価格は毎年下がり続ける。

 それでも、職場でリストラの対象となる可能性は低くなる。働く人そのものが少なくなるためだ。一方、貧困層に転落した高齢者たちの自殺はもはやニュースにならないほどになる」

 これは統計庁が予測した10年後の韓国社会の姿だ。統計庁は20日、「向こう10年間の社会の変化の要因分析および示唆すべき点」と題した報告書で、10年後の韓国社会について、(1)人口減少(2)高齢化と高齢者の貧困化(3)高学歴社会の到来(4)所得の二極化-の4点に要約される、大きな変化が社会にもたらされる、と予想した。

 同庁の分析によると、少子化が続くことにより、韓国の人口は2018年の4934万人をピークに減少に転じる見通しだという。また、軍隊への入隊者は、18歳を基準とした場合、12年をピークに減少に転じる。一方、過去約30年間、教育や住宅市場、労働市場の主役となってきた第1次ベビーブーム世代(現在716万人)は、今後5-10年で定年を迎えるようになる。

 このように人口が減少に転じ、また第1次ベビーブーム世代が定年を迎えることで、内需の縮小や住宅需要の冷え込み、学齢人口の減少など、社会に大きな影響を及ぼすことになるとみられる。

 統計庁のキム・ヨンノ分析統計課長は「日本の場合、すでに1990年代から、ベビーブーム世代の定年退職や、住宅を購入する世代の中心である35-54歳の人口の減少が始まっており、長期的な住宅市場の低迷につながったと考えられる。韓国でも2011年以降35-54歳の人口が減ることが予想されており、あと3年もすれば住宅市場の構造的な不況が予想される」と話している。だが、人口の減少にもかかわらず、独身者や一人暮らしの高齢者が増えることで、単身世帯は2008年の336万世帯(全世帯の20%)から、18年には398万世帯に増える見通しだという。キム課長は「今後の住宅政策は、大規模な住宅よりも、単身世帯向けの小規模な住宅を中心に供給していくのが望ましい」と話している。

 一方、高齢化の進展は、貧困層の増加や高齢者の自殺の増加につながるとの予測が示された。2016年には65歳以上の高齢者の人口が、14歳以下の子どもの人口を上回るようになり、18年には高齢社会(65歳以上の人口が全人口の14%-21%)に突入する見通しだという。また、社会における所得分配の不平等さを測るジニ係数が、60歳以上の世代では2000年以降悪化の一途をたどっており(00年0.325→07年0.366)、今後貧困層に転落する高齢者の増加が、自殺率の増加の要因になるとみられる。このほか、大学に入学する18歳の人口が、昨年には62万9000人と、すでに大学入学者の定員(66万7000人)を下回っている。こうした学齢人口の減少は、大学のリストラにつながるとみられる。

鄭恵全(チョン・へジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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