ニュース: 生活 RSS feed
【主張】全国体力テスト 学力と同様に競い合いを
小学5年と中学2年を対象に文部科学省が初めて実施した全国体力テストの結果が公表された。子供たちの体力低下は学力同様に深刻だ。学校や地域の日ごろの指導を工夫してほしい。
50メートル走やソフトボール投げなど8種目から体力・運動能力を測る調査は対象人数を限って行ってきたが、今回は生活習慣も含め全国一斉に実施した。
子供たちの体力は昭和60年度をピークに低下傾向で、学校関係者に危機感があった。今回の調査では半数以上の子供が60年度の平均値を下回り、体力低下の深刻さを裏付ける結果となった。
参加率は約7割にとどまったものの、全員参加型調査で明らかになった課題や体力向上へのヒントは多い。
体育の授業以外に1週間で「ほとんど運動しない(60分未満)」が、男子で小中とも約1割、女子は小5で約2割、中2で約3割にのぼった。調査にあたった専門家も「ショック」というほど運動しない子が多い。
少子化で放課後に遊ぶ友達も少ない。通り魔事件などの影響で、親が車で送り迎えする地域も増えているという。子供たちが遊び、運動する機会は減る一方だ。
中学女子は運動することに「興味がない」という子供が目立つという。教師によると「遊ぶ子、遊ばない子の二極化が激しい」といい、昼休みなどに強制的に縄跳びなどをさせている状況だ。
部活や地域のスポーツクラブで運動に励む子供はいるが、問題は指導者がいない所でどう体力低下を食い止めるかだ。
都道府県別で中学男女でトップの千葉は、公立小中高で体力テストを続けているといい、優秀者に「運動能力証」を渡すなど教育委員会や学校が指導に熱心だ。
全国学力テストで上位だった福井や秋田は、体力テストの結果も良かった。学力に比べ、体力については親の関心が薄い。だが調査では毎日朝食を食べるなど規則正しい生活習慣が、体力に影響する結果がでた。学力と同様だ。
体力も下位だった大阪の橋下徹知事は「学力も体力もダメ」と嘆いて市町村別の結果公表を促すという。地域の状況を分析して今後の指導に生かさねばならない。
運動会で順位をつけないなど悪平等の体質は、学力面ばかりではない。上位に学べるよう全国調査の利点を生かすことが重要だ。