今年は国際天文学連合や国連が定めた「世界天文年」。例年以上に天文や宇宙に関する話題が注目を集めそうだ。新聞紙面もにぎわおう。
ガリレオ・ガリレイが初めて自作の天体望遠鏡を夜空に向けたとされる一六〇九年から四百年の節目にちなむ。月のあばたや木星の衛星発見など宇宙への扉を開いた彼は「天文学の父」と呼ばれる。
井原市・美星天文台では天文年開幕イベントが開かれ、岡山県内の各施設でもこれから多彩な関連企画が予定されている。各国の電波望遠鏡を回線で結び、特定の天体を共同観測する記念事業も始まった。
天文、宇宙といえば最新の観測技術やロケットに目が向きがちだが、夜空はただ見上げるだけで美しい。オリオン座の四角形や三つ星、全天一の恒星シリウスが輝くおおいぬ座。冬空の星々はとりわけ華やかだ。
国際天文学連合は一九二二年、世界各地に伝わる星座の整理統一を協議した。星座を廃して天空を番号で区切る案も出たが、大部分の天文学者が反対し、現在の八十八星座に落ち着いたという(冨田弘一郎著「星座12カ月」)。
星座は人類の文化遺産であり、人々と宇宙を結ぶ大切な存在との意見が大勢を占めた。今年は意識して夜空を仰いでみたい。宇宙を思うことは、地球や人間を考えることにつながる。