(前略)
◆日本経済回復はアジアの機関車
尊敬する議員の皆様。
わが民族は過去半世紀間、祖国の分断と、同族が殺し合う戦争という、つらい経験をしました。しかしその中でも、わが韓国国民は決して挫折することなく、一九四八年の建国以来、四つの大課業を遂行してまいりました。
第一は、共産主義者たちの反対を押し切って、国連監視のもと、圧倒的な国民が参加した民主選挙を通じて、大韓民国政府を樹立したことと、第二には建国後わずか二年にして、北韓共産主義者の南侵が行われた時、韓国国民は数百万の犠牲を払いながらも撃退したことであります。そして第三は、戦争の廃虚の中で再起して、世界で第十一位規模の経済大国を築き上げたことであり、第四には、下からの運動により、韓国国民の自力で民主政府を実現させたことであります。
しかし、急速な産業化と高成長の過程で、政経癒着と官治金融が澎湃(ほうはい)し、世界経済の変化に適応しきれなかった結果、ついに外貨危機を迎えるところとなりました。そしてわが国民はいま、全面的な経済構造の調整に伴う苦痛を耐え忍んでいます。
昨年の十二月十九日、私が当選した時、わが国の外債総額は実に千五百五十億ドルに達していました。うち、すぐに返済すべき短期外債が二百三十億ドルであったのに対して、外貨保有高はわずか三十八億ドルに過ぎませんでした。それこそ国家破産の危機にひんしていたのでありました。
そのような外貨危機を克服する過程で、日本の支援が大きな力となりました。日本は、韓国の短期債務延長にあたり、その三分の一を超える七十九億ドルを、中長期債務に転換して下さいました。世界のどの国よりも、多くの協力をして下さったのであります。
「苦しい時の友人が真の友人」という言葉があります。私はこの席をかりて、改めて、日本の積極的で誠意のこもったご協力に対し、衷心より感謝の意を表する次第であります。
今、わが韓国の国民は一丸となり、経済難局克服のために邁進しています。現在、外貨保有高はかなりの程度に達しており、外国の投資も引き続き増加しています。国内的にも金融、企業、労働、それに公共部門に対する改革が、着実に進んでいます。私と韓国国民は現在推進中の改革を必ず成功させ、経済再跳躍の基盤を固めるため、全力を傾注しています。
韓国が経済危機を克服する上で、何よりも切実なのが外国からの投資であります。わが政府は、外国の投資家が国内投資家と同一の条件下で活動できるよう、関連制度と法律を果敢に改善しました。韓国は今、外国投資家たちが安心して、自由に企業活動ができる国を造りつつあります。
私はわが韓国国民に、「外国資本もわが国に投資すれば、われわれの企業である。今は、資本所有主の国籍が問題ではなく、その企業が、どこに投資しているかが重要である。われわれは外国資本を歓迎し、積極的な協力を惜しんではならない」と、説得してまいりました。
私は、日本の投資家たちがこうした韓国政府の努力を信じ、韓国に対して積極的に投資を拡大して下さるよう、期待しております。
世界経済とアジア経済における日本の役割は、いくら強調しても強調しきれません。私は、日本の構造改革と内需振作努力が成功を収めて、日本経済が早急に回復し、アジアの経済危機克服の機関車となって下さるよう、心より期待しております。
(後略)
1998年10月8日の金大中大統領の参議院での演説
http://www.mindan.org/shinbun/981014/topic/topic_e.htm