過激デモと強硬鎮圧に振り回される韓国(上)
死亡事件が「政争の具」に
ソウル市竜山区で20日朝、再開発地域にある雑居ビル(4階建て)に立てこもっていた住民らを警察が強制排除していた際、屋上のコンテナが炎上し、警察官1人を含む6人が死亡した。この日の夜、事件現場で行われた追悼集会で、ある市民団体の女性メンバーが「警察が死体を奪う可能性もある。病院を守らなければ」と言った。そして、「殺人政権、暴力政権、李明博(イ・ミョンバク)政権を打倒せよ!」と叫んだ。
デモ隊と、それを鎮圧する警察との間で発生した「死」が政治的な激変に結び付いた1980年代に叫ばれた「死体奪取」と「殺人政権」が再び登場したのだ。87年6月の民主化運動から約20年という年月が過ぎた2009年、ソウルの中心で「死体を守らなければならない」という叫び声が上がったのは意味深長だ。公権力とデモ隊が物理的に衝突するうち、どちらか一方が一線を超えたことから事件の本質は消え、「過激」や「強硬」という言葉だけが残り、政局の流れ全体を主導する80年代の現象が、いまだに繰り返されているのだ。
◆「デモ隊・警察官死亡」80年代のような悪循環
87年6月の民主化運動は、警察の拷問や催涙弾によるパク・ジョンチョルさんとイ・ハンヨルさんの死が起爆剤となった。しかし、89年の釜山東義大学事件で、大学生らの放火により警察官7人が死亡したことから、世論が悪化し、その動力は大幅に弱まった。「強硬」鎮圧が反政府勢力に油を注ぎ、人々の行き過ぎた行為が「過激」との論争を生み、政局の流れが反転するという悪循環は、その後も繰り返された。
80年代式の葛藤(かっとう)は、死という揮発性の高いきっかけを触媒にして動いた。しかし、「葛藤の破局」ともいえる死により政治が動くのなら、韓国社会は先進社会とは程遠いという声がある。ソウル大学環境大学院の全相仁(チョン・サンイン)教授(社会学)は、「偶発的な死をきっかけに政治的激変が起きるのは前近代的かつ後進的な現象。しかも、政界が死を政治的に利用するのは野蛮」と指摘する。
鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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