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「あさま山荘」死刑囚が歌集 31文字に命への思い

2007年11月10日

 連合赤軍あさま山荘事件の坂口弘死刑囚(60)の獄中歌集『常(とこ)しへの道』(角川書店、1785円)が出た。死刑確定以降の約600首を収録。過去と向き合いながら今日の命を確かめる日々を31文字が伝える。

 ささいなる用に/鉄扉を開け給ふな/お迎へに敏(さと)きわれを知らぬか

 歌歴は21年。89年には朝日歌壇に初入選。死刑確定で外部交通権を制限され投稿を禁止された後も短歌と相対してきた。

 02年、朝日歌壇選者の佐佐木幸綱氏に師事したいという希望を母の菊枝さんに託す。佐佐木氏は以来、菊枝さんを介して届く歌を指導してきた。

 連合赤軍事件や死刑について詠む歌が多い。

 良心に衝(つ)き動かされて/縛られたる友に麦粥(むぎがゆ)を/与へし君かな

 オウムの事件や大震災、また母を詠んだものも。

 宗教より/同世代より/吾らより過激なる者の出でし驚き!

 これが最後/これが最後と思ひつつ/面会の母は八十五になる

 母はいま93歳。事件から35年、南関東の海辺の町から面会のため東京に通う日々を送る。

 「亡くなった方を思えば言ってはならないことだけど」と菊枝さん。「でもやっぱり、ひとりぼっちの弘に歌への思いぐらいは遂げさせたい」

 歌集の実現に動いた佐佐木氏は「真摯(しんし)な歌への姿勢に打たれた」と言う。「歌集の背景には菊枝さんのドラマが透けて見える」

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