中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会」は23日、埼玉・東京を流れる荒川で、堤防が決壊した場合の地下鉄への浸水を予測した。最悪の場合、JRの地下路線を含む97駅が浸水する恐れがあるという。
3日間で550ミリという「200年に1度」の雨量で決壊したとの想定で予測した。
最も被害が広がるのは、東京都北区で決壊した場合だ。駅出入り口に高さ1メートルの止水板を置いても約9時間後には上野や浅草など23駅が浸水。15時間後には銀座、霞ケ関など89駅、最終的には丸ノ内線や銀座線、JR京葉線など17路線の97駅に広がる。総延長の6割近くが水没するため、東京や銀座など81駅では改札口の天井まで水があふれる。
都心に最も早く水が来るのは、東京都足立区で決壊した場合。約1時間で北千住駅が浸水した後、水は線路伝いに3時間で大手町、4時間で東京、11時間で霞ケ関の各駅に達する。
調査会は、排水するのに1〜2週間、泥水などで設備に被害が出れば復旧までにさらに時間がかかるとみる。
東京メトロは「これだけ大規模な水害への対応は考えてこなかった。検討会を設け対策を考えていく」、東京都交通局は「いち早く情報をつかみ、電車をホームに止め、乗客を避難させる」という。
今回の被害予測は、内閣府のホームページ(www.bousai.go.jp/index.html)に掲載されている。(大久保泰)