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雇用への姿勢

2009年1月24日

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 日本の企業経営の厳しさは、全面的な円高と株価暴落による銀行信用の収縮の両面から加速され、激変への対応に追われている。

 雇用の面ではまず期間工の整理が先行したが、生産調整が大幅になるにつれて、正社員の処遇にも思い切った対処をする時が来ている。交代での自宅待機、給与の減額や配置転換、また操業停止期間中の社内研修の充実など多彩な対応が進んでいる。

 重要なことは日本の場合、業績の悪化は急激で谷も深いが、少なくとも欧米諸国との対比では、この苦境からの立ち直りは早いと考えられることである。

 負債のてこを使って拡大に走ってきた欧米企業に比べて、企業の財務体質は強く消費も健全である。その日本がいち早く厳しい試練で鍛えられれば、不況のトンネルを出た時には、諸外国よりもかなり強い体質の国として飛躍する可能性がある。

 その時に発揮される日本の強みは技術であり人であろう。だとすればこの不況への対処においても、そうした未来への芽を摘まず、むしろ積極的にその芽を育てることが肝心となる。新入社員の内定取り消しや、採用を減らすところもあるが、こういう時にこそ良い人が採用できると意気込む会社もある。

 また、中小企業にはそうした人づくりなど芽を育てる余裕はないとも考えがちだが、経営者の姿勢は中小企業の方が、より敏感に社員に響く。

 経営者が家族のような気持ちで社員を守り、社員の持つ可能性を信じて引き出そうとすれば、社員はのびのびと力を発揮し、予想以上の成果を上げる。試練の時だからこそ結束でき、社員の使命感もはっきりして一丸になれるというのである。(瞬)

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