荒川:堤防決壊なら地下鉄97駅水没

2009年1月23日 19時31分 更新:1月23日 20時16分

東京都北区で荒川の堤防が決壊した場合の地下鉄の浸水想定
東京都北区で荒川の堤防が決壊した場合の地下鉄の浸水想定

 中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会」は23日、大雨により東京都内で荒川の堤防が決壊した場合について、地下鉄の浸水被害想定をまとめた。現在の止水対策だけでは、17路線97駅(延長約147キロ)がほぼ水没する可能性があり、決壊後わずか3時間余で大手町駅など都心の駅に水が流れ込む場合もあることが分かった。同会議は今後、避難方法や水防対策などの検討を進める。

 想定の対象は東京メトロ8路線(副都心線除く)や都営地下鉄4路線、JR京葉線、京成押上線など計22路線137駅、延長約215キロ。200年に1回の頻度で発生する恐れがある大雨(流域の平均雨量が3日間で約550ミリ)を想定した。

 北区の堤防が決壊した場合、現在の止水対策(大部分の駅では出入り口に高さ1メートルの止水板を設置。防水扉、防水ゲートがある駅やトンネルは一部)では決壊後12時間で東京や大手町など66駅、15時間で銀座や霞ケ関など89駅が浸水すると判明。3日後には17路線97駅、延長約147キロが浸水し、うち17路線81駅、延長約121キロは完全に水没、残りの16駅もほぼ水没する。

 地下鉄が「下水管」のようになり、被害が急速に広がる危険性があることも分かった。足立区の堤防が決壊した場合は北千住駅の水深が5メートル程度に達して大きな水圧が発生し、トンネルに流入した水が一気に都心へ移動。約3時間で大手町駅、約4時間で東京駅が浸水し、3日後には16路線89駅、延長約138キロが浸水する。

 内閣府は「駅に接続する地下街と一体のビル出入り口などからの浸水までは想定しておらず、浸水規模がより大きくなる可能性がある。ビルの機能が停止したり、逃げ遅れる人が発生する恐れもあるので、出入り口の流入防止など早急な対策が必要」と話している。【樋岡徹也】

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