Darkness

A dark change 2



次の瞬間、サガの思いは覆される。




「!!!」




一寸も違わない指型




……紛れも無く自分の所業




「…あっ、ああ、あああ、うわあああぁ!!」
「……」




動揺して床に崩れ落ちるサガ。
頭を抱え、悶えるサガを黙って見つめるカノン。 その表情は恍惚としていた。




「答えるんだカノン!答えてくれ!!私は一体何をした!?昨夜何を? お前に何を?嘘だ…そんなこと…。理に背く行為など…決して有得ない…おまえは…血の繋がった弟だ」
「…」



カノンは無言のまま、サガを抱き寄せ床へ倒れ込む。 暫し黙っていたカノンだが、落ち着いた様子で静かに話し始める。



「…昨夜だけじゃない」
「!!」


そして、サガの背中に手を回した瞬間、 覚えの無い痛みがサガの背中を走った。



「ッ痛!これは?」
「俺がつけたんだ。わざと引っ掻いた」



鼻がつく至近距離でカノンは囁く。



「サガ、俺達もっと色んな事をしたんだぜ、憶えてないか?」
「やめろー!やめてくれ!お前までも黒き誘惑を何故なんだ?カノン?私は…」



今まで必死に抑えてきた感情が崩れ始める。



サガは床に平伏し、絶叫しながら壊れかけている。
だが、カノンに悲痛なサガの声は 届かない。これ以上、サガを追い詰めてはいけないと思いながらも、苦悩 するサガに追い討ちをかける。



「サガ、俺に触れたいと思ったことあるだろ?なかったとは云わせない」
「!!」

「なぁ、あいつに身体預けちまえよ。俺はあいつに抱きたいと云われた時、 最初は驚いたが直ぐに解った。あいつは別人じゃない、サガ、お前自身だ。 お前の願望や欲求を…あいつが代わりに果たす、間違いなくお前なのだ」



力尽きたようにサガは答えた。



「……カノン何故なんだ?今まで必死に…私は…もうお終いだ」

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