最終更新: 2009/01/23 20:09

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北海道・札幌市にある「診察料0円」の歯科医院をめぐり国を巻き込む議論に

北海道・札幌市にある、アンケートに答えれば診察料が無料になるという歯科医院をめぐって、今、国を巻き込む議論が起きている。
アンケートに答えれば、歯の治療費がタダになるという、夢のような歯科医院が札幌市に登場して大人気になっている。
しかし、2008年12月16日、舛添厚労相は「問題があると思います」と述べ、待ったをかけた。
2008年7月、札幌市に開業した歯科医院は、当初からチラシなどで「診察料0円」をうたい、話題を集めた。
その仕組みは、患者がまず、歯科医院と提携している医療・介護サービスに携わるNPO法人に会員登録する。
そして、治療を受けたあと、その請求書をNPO法人に提出する。
NPOは、あとで患者にアンケートを書いてもらうが、その「労務料」つまり、お礼として患者が支払うべき治療費と同額の現金を患者に渡す。
患者は、それをそのまま歯科医院に払う。
これで実質的に、患者は無料で歯の治療を受けることができるという。
会員登録できる条件は、健康保険証を持っていることと、年収が520万円以下であることとなっている。
実際に治療を受けた患者は「歯医者さんって高いでしょ、すごく。だから、収入の少ない人はすごく助かるんじゃない?」、「タダだから、助かるからこっちに来ますよ...。ありがたいですよ」、「僕はかなり所得が少ないから、何年も歯を治してないから」などと話した。
札幌市内に住む82歳の福森 智恵子さんは、がんの治療費がかさんで、歯は後回しになっていた。
知人から無料の歯科医院があると聞き、1時間かけて通っているという。
福森さんは「半年以上考えていてね、どうしようかあ...と思っていた。助かりますね」と話した。
ところが、この治療費無料システムに対し、監督省庁から待ったがかかった。
舛添厚労相は「医療機関が勝手にディスカウントするというのは、法律上許されない行為なので、そこは問題があると思います」、「これは、少し事態をつまびらかにしたうえで、必要な指導はやっていきたい」と述べた。
これを受け、北海道厚生局は、健康保険法違反の疑いがあるとして、1月に改善指導を行い、文書での回答を求めた。
また、このNPO法人は、北海道から2回にわたり、あわせて650万円の融資を受けており、道議会では、これが診療費の無料化に使われた可能性もあると指摘している。
NPO法人の理事長は「そんなこと(違法とは)夢にも思っていない。だって、どこが違法なのかわからんもん」、「(国が)こういうところは改めなさいと言っているわけでしょ? こっちとしては、こういう点は改めましょうと言っている。われわれは救済しているんだよ。金がないために歯医者にいけないんだ...」と話した。
NPO側によると、改善が求められているのは、歯科医院の中にNPO法人の受付カウンターが設置されていたり、医院とNPOの金庫が一緒だったことなど。
つまり、歯科医院とNPOが「一体化」している疑いがある点が問題にされているという。
地元歯科医師会の副会長は「弱者救済と言っているけれども、いわゆる患者をあっせんする、患者を集めるという方向の利益集団になっているのではないかと」と話した。
国は、無料診療をやめさせる方針だが、現在、治療費無料システムに登録している会員はおよそ6,000人。
NPOの文書による厚生局への回答期限を迎えた23日、舛添厚労相は「先ほど(回答が)提出されたと聞いています。したがって、今からこの内容について確認して、それに基づいて対応するという状況です」、「法律違反というのはやっぱり、やっちゃいけないので、その基本は守りたいと思います」と述べた。

(01/23 18:29 北海道文化放送)


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