長崎市の新市立市民病院と日赤長崎原爆病院の統合問題で、市病院局は22日、現在地で通常型の救命救急センターの設置を盛り込んだ新市立病院見直し案を市議会厚生委員会で報告した。市のプロジェクトチームはこの案に加え、市の前計画案、県案の計3案を検証し、問題点などを田上富久・同市長に報告。その上で市長が最終判断する。見直し案提案で同局は改めて現地建て替えを主張した形だが、病院統合を求める県は、経営や医師確保の面から「かなり困難な案」と受け止めている。【下原知広、宮下正己】
見直し案は昨年10月末から同局が検討。国からの「救命救急センターの設置が望ましい」との指摘や、臨床研修指定病院として国が病床数500以上を条件として検討し始めていることなどを踏まえて最終的にまとめた。
新たな案では、病床数506床、医師数142人(研修医含む)で、医師5人以上を配置する通常型の救命救急センターを整備する。
この日の委員会では、採算面や医師確保について委員から疑問が上がったが、同局は「患者1人当たりの1日平均入院単価を前計画より4000円増やし、病床数も増加させるなどして採算面では安定している。都会に出る学生を確実に確保したい」と話した。
一方、県は、長崎市の見直し案では病院経営が成り立たないと分析。救命救急や小児救急の医師教育など不採算部門も抱えるため、500床では規模が小さく赤字経営に陥る可能性が高いとしている。また高度医療を支える医師を市独自で確保するのは困難との見方だ。
〔長崎版〕
毎日新聞 2009年1月23日 地方版