南日本造船大在工場の事故現場を捜索する関係者=23日午前11時45分、大分市(本社チャーター機から撮影)
二十三日午前九時半ごろ、大分市青崎の南日本造船大在工場で、建造中の船に架けられたタラップが外れ、タラップを渡っていた多数の作業員が海や陸上に転落した。この事故で、大分市大道町、会社員松尾洋一さん(53)、同市寺崎町、自営業黒木善友さん(58)の二人が死亡。大分東署や同市消防局によると、ほかに二十四人がけがをした。
県警捜査一課と同署は「南日本造船労災事故対策本部」を設置し、業務上過失致死傷の疑いで捜査。事故原因を調べている。県や市も対策本部を置き、情報収集を急いでいる。
同署などによると、タラップは鉄製で長さ約二十七メートル、幅約一メートル。クレーンを使って岸壁から船の中ほどの開口部まで斜めに架けた後、作業員が渡っていた。先端は鍵状のフックになっており、その部分が破損していたらしい。
南日本造船の説明では、フックは、船に接続するためのもので、二つあり、フックの角度を調節するボルトが二本ずつ付いていた。このボルトが折れたか、または外れたのではないかという。現場には、壊れたボルトが落ちていた。
作業員は一番高い所で水面から十メートルの高さから転落したという。事故当時、現場には四十人ほどがいたらしい。南日本造船によると、船はバハマ船籍の自動車運搬船(五九、〇〇〇トン)。長さ三百九メートル、幅六十三メートルの水路に浮かべ、この日から内装工事などをする予定だった。
負傷者らは市内の九病院に搬送された。搬送先の病院は次の通り(正午現在)。 ▽県立病院 二人▽大分赤十字病院 三人▽大分医療センター 四人▽明野中央病院 二人▽大分中村病院 二人▽大分三愛メディカルセンター 一人▽大分岡病院 七人▽大分市医師会立アルメイダ病院 一人▽天心堂へつぎ病院 一人―など。
県が対策本部
事故を受けて、県は午前十時半に災害対策本部を設置。現地などと電話で慌ただしく連絡を取り合いながら、事故現場の様子やけが人の負傷程度、搬送先などの情報を収集した。また、同十一時四十五分から緊急に関係課長会議を開き、得ている情報の把握に努めた。
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大分市防災・危機管理室は、午前九時半すぎに事故発生の第一報を受け、消防対策本部と現地に職員を派遣。現場で情報を収集するとともに、関係機関や報道機関への対応に追われた。
<ポイント>
南日本造船大在工場 大型船建造に対応するために建設した新工場で、2008年5月完成。敷地面積約22万7000平方メートル。ドックは出入り口の幅63・3メートル。新造船用マスと修繕マスを備える。世界初の「フラッドドッキング方式」を採用。15万トン級の船を建造可能。同年12月、初の新造船の引き渡しをした。
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