消費税率の引き上げ時期をめぐる自民党内の対立が収束し、民主党は期待していた「攻め手」を突然失った。主戦場の平成21年度予算案の審議が「漫然としたものになってしまう」(中堅議員)との危機感も広がっている。
民主党は当面、消費税率を引き上げず「税金の無駄遣い」根絶を優先すべきだと主張してきた。このため、自民党が増税時期を明示せずに決着したことに対し、民主党幹部が22日、一斉に批判の声を上げた。
「麻生太郎首相の主張と、造反をにおわせている人の主張を足して2で割り、何のことだか分からなくなった。首相は重大な問題でぶれた。首相の資格がない」(菅直人代表代行)
「消費税は(衆院選の)争点になる。2段階方式は国民をごまかしている」(輿石東参院議員会長)
表向きは批判ムード一色だが、本音は複雑だ。
民主党国対幹部は「1月なのに国会は凪(なぎ)ムード。(19年度第2次補正予算案の)定額給付金の論争で力を使い切った感じだ」と落胆を隠さない。
背景には、「自民党の7割は消費税増税に反対」(別の幹部)との読みがあった。21年度税制改正法案から付則を削除した修正案を提出し、自民党の中川秀直元幹事長らの造反を誘うことで麻生政権の足元を揺さぶる−。そのシナリオは肩すかしを食った。
民主党は今後、「定額給付金をばらまいても、消費税増税が待っている」(中堅)と批判しながら、深刻な雇用情勢や、国家公務員が再就職を繰り返す「渡り」問題追及に舵(かじ)を切らざるを得ない。
だが、党内には、消費税ほどのインパクトがないとの見方が強く、国対幹部からは「首相が国会答弁でミスするのを待つしかない」と弱気な声も漏れている。
【関連ニュース】
・
消費税引き上げ「付則に明記」 首相示す
・
消費税増税「付則に道筋書く」 参院予算委
・
【経済深層】定額給付金“爆弾”破裂
・
首相、4月解散を否定「経済対策の効果見て」 内閣改造も「ない」
・
因縁再び?小沢、宗男コンビが“中川昭一潰し”画策