章栄不動産(本社・中区)が東京地裁に民事再生手続きを申し立てた21日、地元経済界などに衝撃が広がった。昨年8月のアーバンコーポレイションに続く大型の経営破綻(はたん)。章栄不動産はJR福山駅(福山市)前の再開発事業も手がけており、関係機関は情報収集に追われた。
「フローレンス」ブランドのマンション事業を展開する同社は、広島都市圏でのマンション供給実績は常に上位で、商圏を中四国地方から九州、関東にまで拡大した。08年7月期の年間売上高は約543億円に達したが、不動産市況の冷え込みで資金繰りが急速に悪化した。
昨年12月には、参入を目指した広島大本部跡地(中区)の再開発事業から撤退を表明。社長、副社長の役員報酬を月額15万円にして支出を削減したが、メーンバンクから21日、支援打ち切りの方針が伝えられ、申し立てに至った。
執行役員の児玉篤敬事業管理部長は「福山駅前の再開発は事実上白紙になった」と説明。「マンション購入者などエンドユーザーには説明責任を果たしたい」と話した。
田中常雄社長は22日付で辞任し、田中荘厳副社長が昇格する。
県はアーバン社の破綻時と同様の対応を想定。22日にも関係部局を集めて協議し、関連倒産防止のセーフティーネット整備などに乗り出す。広島労働局も「状況を見て対応したい」と話した。【宇城昇、上村里花、井上梢】
毎日新聞 2009年1月22日 地方版