北陸のコンビニ業界で新たな競争の火ぶたが切られる。最大手のセブン―イレブン・ジ
ャパン(東京)が二十三日、富山、福井の両県で計六店を一斉開業する。今秋には石川県
にも出店し、三年間に、空白だった北陸で一気に二百店舗を集中展開する計画。迎え撃つ
既存各社は、値引きや新形態の店舗などで応戦する構えで、生き残りをかけた戦いが過熱
しそうだ。
「絶対に勝てる。優秀なチェーンが先行しているとしても差別化を図る」。二十二日、
富山市内で記者会見した古屋一樹セブン―イレブン・ジャパン専務執行役員は、北陸での
展開に自信を見せた。
二十三日に開業するのは、富山では、富山市の二口町、堀、婦中町小倉の三店。同社は
二月末までに、富山、黒部両市で計十店舗、福井県でも十店舗体制とする。十二月までに
各県三十店舗以上に増やし、二〇一一年までに富山は八十、福井は七十店舗以上にする計
画だ。
石川県内では、セブン―イレブンに調理済み食品を供給するわらべや東海(愛知県日進
市)が白山市で準備を進める食品工場の稼働後、「十一月にも五―十店舗を金沢市で同時
開店したい」(古屋専務)としている。
当面、富山、福井県の米飯などの商品は新潟県や愛知県など県外から供給する。物流拠
点は北陸三県の各県に一つずつ設ける方針だという。
地元浸透策も周到だ。富山、福井の六店舗では、二十三日のオープンと同時に「北陸旨
(うま)いものフェア」を展開、地元食材を使った幕の内弁当やすし、デザートなど地域
色豊かな商品販売でスタートダッシュを図る。
こうした業界最大手の攻勢に、既存各社は顧客の囲い込みに動く。「手の内は分かって
いる」とする富山市のセブン一号店近くのあるコンビニチェーン店は、セブンのオープン
三日間にぶつけ、おにぎりなどの値引きを実施。ファミリーマート(東京)は、店舗前で
会員カードの入会キャンペーンを展開する。
石川県内ではセブン進出を前に、新形態店で客を取り込む動きが広がっている。
ローソン(東京)は昨年十二月、金沢市南町で、北陸最大級のイートインスペースを設
けた金沢南町中央店を開業し、ビジネスマンや観光客の集客を図っている。
また、同店の出店により、市中心部の武蔵地区と片町を結ぶ国道沿いやその周辺に四店
舗を構えることになり、まちなかでの存在感を高めている。
サンクス・ホクリア(白山市)は、今月二十七日に金沢市大手町で観光客対応の新型店
をオープンする。店内に無料で使えるパソコンを設置し、市内の観光名所などを検索でき
る。また、LED(発光ダイオード)照明の看板や板塀を設置するなど、環境や景観にも
配慮した。
瀧下竹男社長は「より地域に密着した店づくりで、セブンとの違いを打ち出していきた
い」としている。
■ ■
セブン進出により、「出店地やオーナーの確保はますます厳しくなる」(瀧下社長)の
は確かだ。セブン―イレブンは「先方との契約を切ってもらえれば、受け入れていきたい
」(古屋専務)と加盟店を変更する「のれん替え」を受け入れる意向も示しており、食う
か食われるかの熾烈(しれつ)な戦いに発展する可能性もある。