広島都市圏のマンション分譲で地場最大手の章栄不動産(広島市中区、資本金8億円、田中常雄社長)が21日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。同社によると、負債総額は約292億円。営業は継続する。
章栄不動産は1971年に「章栄商事」として設立。不動産の賃貸、管理事業を手掛けた。92年に分譲マンション事業に参入して「フローレンス」ブランドで積極的な分譲を展開し、2003年に現社名に変更した。
これまでに中国地方や九州を中心に184棟、計約1万700戸を分譲し、広島都市圏では07年まで供給戸数が10年連続トップだった。06年に東京、07年には仙台市に営業拠点を設け、全国展開に乗り出していた。
しかし、建築確認の手続きを厳格化した07年6月の改正建築基準法の施行や建材高騰で、マンション価格が上昇。さらに米国の金融危機を発端にした急激な景気悪化で、マンション市場が冷え込んだ。金融機関の融資姿勢も厳しくなり、資金繰りに行き詰まった。
田中社長は22日付で辞任し、代わりに弟の田中荘厳副社長が社長に就く。
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