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性的表現のタブーを打ち破る韓国映画(下)

大法院、露骨な性的表現が含まれる映画の上映を許可

 『ショート・バス』をめぐる大法院の判決は、韓国映画における性的表現のレベルを引き上げることになるとみられる。『元祖的な本能』(1992年)、『ブロークバック・マウンテン』(2005年)、『ラスト、コーション 色|戒』(2007年)など外国の成人向け映画が韓国で公開されるたびに、韓国映画の性的表現のレベルも上がり、その表現方法も多様化した。映画界では「『ショート・バス』程度の露出や性的表現は許容範囲と考えられる」との意向を示している。

 韓国映画の性的表現のレベルは、政府の事前審査機関と絶えず衝突しながらも、徐々に引き上げられてきた。1956年の映画『自由夫人』は、女性のセクシャリティを初めてスクリーンに映し出し、『愛馬夫人』(82年)はポルノ映画の時代を切り開いた。そして『うそ』(99年)は女子高生と既婚男性の倒錯した性的関係を描いた。50年代に文教部(現・教育科学技術部)が行った事前審査は、その後「公演倫理委員会」に移管され、99年からは映像物等級委員会が担当している。「制限上映許可」の等級がなくなれば、わいせつ物に当たるかどうかの判定は、映画が公開された後に検察や裁判所が行うことになる。

 映画界では今回の判決を歓迎している。映画会社「春」の趙光煕(チョ・グァンヒ)社長は、「映画館で公開する映画はテレビとは違い、観客が見るか否かを自分の意思で判断するものだ。インターネット上でアダルト映画が無防備に出回っているこの時代に、映画館での上映が『制限付き上映』のような措置で規制されるというのは適切さを欠くものだ」と指摘する。

 だが、デメリットを懸念する声も少なくない。ある外国映画輸入・配給会社の社長は「映像物等級委員会の審議をパスすれば、刑法上の“わいせつ物”に当たるという指摘を逃れられるというメリットもある。今後は映像物等級委員会ではなく、検察に呼ばれることも多くなるのではないか」と話す。

 映像物等級委員会は現在、「憲法不合致」の決定が下された「制限上映許可」を「制限観覧許可」に改める法改正の手続きを進めている。池明赫(チ・ミョンヒョク)委員長は「『青少年観覧不可』と『わいせつ物相当』の間に、もう一つの等級を定める必要がある。『ショート・バス』のような映画が一般向けに上映されるようになれば、道徳的な混乱が生じるのではないかと懸念される」と語った。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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