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事件:小3連れ去り オランダ家裁同居認める 長崎県警が国際手配の母と

 長崎県大村市の児童養護施設に入所していた小学3年女児(9)がオランダに連れ去られた事件で、長崎県警から所在国外移送略取容疑で国際手配された母親(32)が、オランダの家庭裁判所から女児との同居を認められていたことが、分かった。関係者が明らかにした。日本では、女児は母親から虐待されたとして、強制的に施設に入所させられていた。母親と共に連れ去りに加わったとされる、女児の祖父(81)ら3人の公判が23日から長崎地裁で始まり、2国間での対応の違いがどう影響するか注目されそうだ。

 手配容疑は、母親ら4人は08年10月24日、大村市の施設付近で女児を連れ去ったとされる。母親と女児は同26日にオランダに入国。残る3人は同25日に長崎県警に逮捕された。女児は日本側の連絡を受けたオランダの警察が一時保護した。

 しかし、毎日新聞が入手したオランダの家裁の決定書によると、計4回の審理で、昨年12月29日に「社会福祉士や医師の支援を受けることができ、子供の安全を保証できる」とし、母子の同居を認めた。さらに、日本とオランダの間には国外逃亡犯を引き渡す条約はなく、県警は「どうすることもできない」(県警幹部)という。

 女児と母親については、07年12月の長崎家裁大村支部の決定書などによると、県警大村署が07年8月7日に自宅を出た女児を保護。腕や頭に傷があったため、通報を受けた長崎こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)が同日、女児を緊急保護した。

 センターは07年10月、児童養護施設入所承認を長崎家裁大村支部に申し立てた。家裁は「母子関係が断絶すれば関係修復が困難」として却下したため、センターは08年5月に福岡高裁に抗告。高裁は家裁の決定を取り消した。母親側は08年10月、最高裁に特別抗告したが却下され、女児は施設に入所した。

 毎日新聞の取材に対し、母親は「オランダ中部の都市で娘と暮らしており、帰国するつもりはない。施設入所決定は慎重であるべきなのに、高裁では私の反論が吟味されなかった。子供と幸せに暮らしている以上、今回の事件の被害者が誰かを教えてほしい」などと話した。【蒲原明佳】

 長崎短大保育学科の川原ゆかり准教授(臨床心理学)の話 血縁が重んじられる日本社会で、児童相談所が親子を引き離すという判断をしたことには、児童相談所も熟考しただろうし、よほどの理由があったと推測される。一緒に暮らしている現在の母子の関係が心配だ。オランダで適切な支援を受けていることを願うしかない。

 元東京家裁調査官の正木信二郎・NPO非行克服支援センター世話人の話 法治国家で最高裁の決定に反して略取という実力行使に出ることは違法行為だが、母親の心情は分かる。さらに2国で判断が異なったことを考えると、日本の裁判所や児童相談所が、子供と離れることを親が納得するまできちんと説明し、話を聞くべきだったのではないか。

2009年1月23日

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