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【東京】区立病院 『老健併設で黒字目指す』 台東区・吉住区長 交付金減も需要に対応2009年1月23日 二十三区のトップを切って二十二日、台東区が二〇〇九年度予算案を発表した。大幅な景気悪化を受けて都が各区に交付する都区財政調整交付金は全体で約六百九十二億円減の見込み。同交付金が一般会計歳入の三分の一以上を占める台東区も、同交付金を二十六億円減と見込む厳しい予算編成となった。吉住弘区長は「大変厳しい状況下にある」とした上で、区立病院の新年度開院など行政ニーズに応えていく姿勢を強調した。 (中里宏) 台東区の高齢化率(六十五歳以上人口の割合)は今月一日現在で24%を超え、北区と一、二を争う。自治体病院の経営難が深刻化する中で、あえて区立病院の新設に踏み切ったのは、都立台東病院の廃止(一九九六年)による地域の病床減と高齢者医療の需要増に対応するためという。 区立台東病院は、病床百二十床のうち、四十床はリハビリテーションが必要な患者のための「回復期リハビリ病棟」。診療報酬の改定で、リハビリ病棟では一定の日数(最長百八十日)を超えると報酬が半額以下になるほか、昨年十月からは退院率が低いリハビリ病棟では一日の入院料が5%減額されている。区の担当者も「百二十床では病院単独の黒字経営は厳しい」という。 病院の赤字分を補うのが、老人保健施設千束の移転併設。区によると、老健施設は百床以上で黒字が見込めるという。もともと五十床だった千束を移転で百五十床に増やし、指定管理者が病院と一体で管理運営することで二〇一三年度での黒字を目指す。ただ今後の診療報酬改定などで条件が悪化する可能性があり、楽観はできないという。老健施設では原則三カ月だった入所期間の延長も検討している。 吉住区長は「全国的に自治体病院の経営が厳しいことは承知しているが、これからは区として高齢者のための医療が必要」と意義を強調した。
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