借金だらけでも超豪華マンションに住み、妻にも窮状を打ち明けず、豪遊を繰り返していた−。音楽著作権の譲渡をめぐり詐欺罪に問われた小室哲哉被告(50)の見栄っ張りな生活ぶりが、21日に大阪地裁で開かれた初公判で次々と明らかになった。著名な実業家の名前を利用したり、その場しのぎのうそをついたり…。犯行に至る過程で見せた小室被告の“素顔”は、初公判での殊勝な態度とはかけ離れていた。
初公判ライブ(22)「本当にKEIKOは私の懐具合を知りませんでした」
「僕はDVD撮影で、仕事の合間に来たってことにして。その方が雰囲気出るよね」
公判で検察側が朗読した供述調書によると、小室被告は2006年7月30日に都内のホテルで被害者の投資家男性と会談する前、周辺の関係者にこう伝えていた。そこには、絶頂期の姿にすがりつくプライドが見え隠れする。
会談では男性の信用を得るために、「(西武鉄道グループ元オーナーの)堤義明さんと懇意にしている。大規模な事業の話がある」「(メディア王といわれる)ルパート・マードック氏と会社を興すことも考えている」と“大風呂敷”を広げていた。
見栄っ張りな態度は、妻のKEIKO(36)にも一貫していたようだ。「結婚後の1年間がもっともぜいたく。湯水のように、数億円を使った」と小室被告。04年に、小室被告が代表を務めるプロダクションが、KEIKOの実家がある大分を本拠にするサッカーJ1「大分トリニータ」とユニホームのスポンサー契約を結んだ際には、「すごいでしょ」と自慢げに語り、KEIKOを喜ばせた。
借金を抱えても、「KEIKOに苦しい、つらい、厳しいという思いをさせたくなかった。破綻の直前まで、思い切り楽しませてやりたかった」と窮地を隠して生活。詐欺事件を起こした際にも「KEIKOに1500万円渡したい。何とかならないかな」と、共犯として逮捕されたプロダクション会社社長=起訴猶予=に無心していた。
セレブな生活を捨てることができず、借金で首が回らない状態なのに家賃約290万円のマンションに住み、生活費は月500万−600万円。結局、毎月1700万−2300万円が必要になるなど、自転車操業の日々だったという。
公判では小室被告が勾留中に書いた反省文も明らかにされた。この中で小室被告は「音楽のかけらもない暴走列車に急ブレーキをかけていただき、虚構の列車が止まった」と表現した。そこには、時代の寵児と呼ばれた面影はなかった。
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