大野城市は21日、同市乙金3丁目の「薬師の森遺跡」で、朝鮮半島の影響を受けた古墳時代後期(6世紀中ごろ‐7世紀初頭)の「算盤玉形陶製紡錘車(そろばんだまがたとうせいぼうすいしゃ)」などが見つかったと発表した。同市ふるさと文化財課は「大陸とのつながりを考える上で貴重な発見」としている。
出土した「紡錘車」は、糸を紡ぐ時、回転軸の回転を増すための重り。同遺跡では昨年8月から第5次調査が行われ、縄文時代から鎌倉・室町時代までの幅広い年代の集落跡などが発見されている。紡錘車は古墳時代後期の遺構から出土した。
国産の紡錘車は台形が一般的だが、十数個見つかったうち1つは、朝鮮半島南部で一般的なそろばん玉形をしていた。また、側面の加工跡は、半島によくある横方向ではなく、国産に多い縦方向にならす手法で、国内で製造されたとみられる。
市担当者は「半島と国内の技術が混ざり合う過程の産物。単に交易が行われただけでなく、渡来人の子孫が住んでいたことがうかがえて意義深い」としている。同調査ではこのほか、同市で初めてとなる鎌倉・室町時代(12世紀末‐16世紀)の水田跡なども見つかった。24日午前10時‐正午に、現地説明会がある。小雨決行。問い合わせは同市役所=092(501)2211。
=2009/01/22付 西日本新聞朝刊=