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中間取りまとめは次回以降に−看護検討会

 「看護の質の向上と確保に関する検討会」(座長=田中滋・慶大大学院経営管理研究科教授)の第4回会合が1月21日に開かれ、事務局が整理した論点などを基に議論を行った。委員からは、看護基礎教育の4年制化や卒後の臨床研修、チーム医療の中での看護師の裁量などについてさまざまな意見が出た。舛添要一厚生労働相は当初、1月中旬をめどに何らかの方針を打ち出す考えを示していたが、議題が幅広いため、議論の中間取りまとめは次回以降の検討会に持ち越された。

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■看護基礎教育の4年制化論議は平行線

 4年制化については、これまでの議論のように「大学一本化」が焦点となった。
 石垣靖子委員(北海道医療大看護福祉学部教授)は「今、臨床や地域の現場に多くの専門職が参加しているが、後の方から入って来た人たちの基礎教育はほとんど4年で、その中で看護は出遅れている。看護の国家試験を受けるルートの整理も必要だと思う」と、4年制の意義を強調。
 一方、吉田松雄委員(学校法人「吉田学園」理事長)は「現在、3年制の専門学校が圧倒的に多い。これを4年制にして、さらに大学化することになると、本当に整理できるのか。4年制にすると、校地から校舎からすべて変えなければならない。そういった手当てをきちんと国がしてくれるのか」と、経営者の立場から訴えた。また、羽生田俊委員(日本医師会常任理事)は「国家試験の合格率が90%以上で、養成所が特別悪いわけではない。基礎教育をどこまでやるのか。今の国家試験でよいのならば、何の問題もないと思う」と述べた。
 海辺陽子委員(「癌と共に生きる会」副会長)は「今までの議論を聞いている限りでは、4年制にするという方向性自体は異論がないと思う。次は、今ある専門校をどのように4年制化して、数を確保できるようにしていくかということを考え、10年プランなどで大臣(舛添厚労相)や文部科学省が財源を付けるところまで踏み込んだ報告書のようなものを作らない限り、この議論はいつまでも続いてしまう」と指摘した。

■看護師の臨床研修の義務化を

 看護師の臨床研修に関しては、卒後の看護師だけでなく、潜在看護師の研修にまで議論が及んだ。
 草間朋子委員(大分県立看護科学大学長)は「新人看護師の研修というのは、どちらかといえば病院に任されていると思う。医師の臨床研修のように義務化することを報告書に明記してほしい」と述べた。一方、石垣委員は「臨床研修制度は、潜在看護師の教育にも必要だと思う。1年生の研修とは全く同じではないかもしれないが、重なる部分もたくさんあるので、政策として一定の教育をすることが、より多くの潜在看護師を現場に戻す方策だと思う」と強調した。

■看護師に「学歴のコンプレックス」―井部委員

 チーム医療で看護師に求められる裁量について、羽生田委員は「医師が足りないから看護師の役割を増やせという議論のスタートは間違っている。現在の医師法や保助看法の中で、もう少しいろいろな業務が役割分担として広くできるはずだが、ほとんどの医療現場でそれが確実に生かされていない」と指摘。
 一方、井部俊子委員(日本看護協会副会長)は「看護職は、医師の前できちんとした議論ができない。それはどこかに学歴のコンプレックスがあるのではないか。医師は少なくとも、医学部6年プラス2年(臨床研修を)やっているが、看護職は3年とか4年とかで議論しているので、対等性という点では、日本の医療はまだ課題を残しているのではないかと思う」と説明した。
 また海辺委員は、「裁量権の問題で、チームの医療と言いながら、結局のところ医者でなくてはできないことだらけだと、本当の意味でチームとしての役割分担が今、機能しているのかなと感じることがある」と指摘した。


更新:2009/01/21 23:17   キャリアブレイン

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