新型インフル対策で簡易陰圧装置導入に特別償却
厚生労働省は2009年度の主要税制項目の概要を明らかにした。社会医療法人の病院や診療所が救急医療などを行う場合、固定資産税などが非課税となるほか、新型インフルエンザ対策のために「簡易陰圧装置」を導入した医療機関に特別償却を認める。
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地域において救急医療や産科・小児科医療などを確保するため、社会医療法人である病院や診療所が「救急医療等確保事業」を行う場合、固定資産税、都市計画税、不動産取得税を非課税とする。
「救急医療等確保事業」の対象医療は、救急医療のほか、災害、へき地、周産期、小児救急の各医療。非課税措置は法人全体ではなく、救急医療などを実施する施設に限られる。
看護学校など医療関係者養成所を運営する「特例民法法人」が、5年以内に非営利型の一般社団法人や一般財団法人に移行する場合にも、固定資産税、都市計画税、不動産取得税の非課税措置が受けられる。
昨年12月から始まった新公益法人制度で、これまでの社団法人と財団法人は、法律上の名称が「特例民法法人」となり、13年11月末までに「公益社団法人・公益財団法人」もしくは「一般社団法人・一般財団法人」に移行することになっている。
「一般社団法人・一般財団法人」は、非営利型法人とそれ以外の法人に分かれるが、非営利型法人は、▽余剰金の配分を行わない旨を定款で定めている▽解散時の残余財産を公益法人・財団法人などに帰属させる旨を定款に定めている▽理事およびその親族などである理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること−などが要件となっている。
特定医療法人による養成所には既に非課税措置が適用されているが、社会医療法人の養成所にも09年度から非課税措置が適用される。
新型インフルエンザの流行が危惧(きぐ)される中、感染症の二次感染リスクを減らすため「簡易陰圧装置」を導入した医療機関に特別償却(100分の20)を認める。
簡易陰圧装置は、一般病室にこの装置を据えて簡易なダクト工事をするだけで陰圧室に変えられるもので、導入費用が約200万円(設置費用含む)となっている。
■医療用機器の特別償却制度なども延長
08年度末で適用期限が切れる特別償却制度や促進税制なども延長される。
医療保健業を営む個人や法人が、500万円以上の医療用機器を取得した場合、取得価格の14%の特別償却が認められているが、その期間を2年間延長する。ただし、対象機器を500万円以上の「高度な医療の提供に資するものまたは承認等を受けてから2年以内のもの」に限定する。
また、警報機能付きの人工呼吸器やシリンジポンプなど10種類の「医療安全に資する医療機器等」を取得した場合、20%の特別償却を認めているが、この制度も2年間延長する。
2000年の医療法改正で示された構造設備基準に適合した病院・有床診療所に建て替えた場合、基準取得価格(取得価格の2分の1)の15%の特別償却を認める特例措置も、対象となる病院用建物の要件である「医療の提供体制の整備に資するため」の基準を見直した上で、適用期限を2年間延長する。
さらに、療養病床の転換促進のため、「療養病床の転換に係る特別償却制度」を2年間延長する。療養病床を老人保健施設などに転換するための改修を行った場合、その年度の法人税について、基準取得価格(同)の15%の特別償却を行うことができる。例えば、改修額が5000万円の場合、改修年度に通常の償却額(毎年度130万円)に特別償却額375万円を上乗せでき、税負担が軽減される。償却期間も39年から36年に短縮する計算になる。
高齢者などに向けた住宅対策として、「住宅のバリアフリー改修促進税制」と「高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制」も期間を延長する。
バリアフリー改修工事などを行った場合、工事費用についての借入金の一定割合を税額控除できる「住宅のバリアフリー改修促進税制」を5年間延長する。
現行の「高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制」については、所得税と法人税の割り増し償却の特例措置の適用期間延長などを行う。具体的には、高齢者向け優良賃貸住宅の建設について、割り増し償却を2年間延長し、20%とする(耐用年数35年以上のものは28%)。
生活支援施設付き高齢者向け優良賃貸住宅についても、割り増し償却を2年間延長し、40%とする(耐用年数35年以上のものは55%)。また、固定資産税減額の特例措置の対象に加える(5年間、3分の1に減額)。
更新:2009/01/21 21:27 キャリアブレイン
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