福岡県筑前町の中学2年、森啓祐君(当時13歳)がいじめを苦に自殺し、遺族が福岡法務局の人権侵犯調査記録の黒塗り開示を不服として法相に申し立てた問題で、福岡法務局は20日、追加開示部分を遺族側に手渡した。新たに開示されたのは、公開済みの町教委調査委員会の報告書や書類の日付、件名などにとどまった。
遺族側が最も知りたかった学校関係者の聴取内容は「今後の調査に支障が出る」と、ほとんどが不開示のままだった。母親の美加さん(38)は「遺族になって初めて知ったことがたくさんある。自分の息子のことも知らされないということもその一つ。1年たってもこの程度の情報しか得られないことは残念」と硬い表情だった。
両親は、学校で事件や事故があった場合に、親にも公開することを前提とした児童・生徒アンケートを実施するよう文部科学省に求めている。
福岡法務局は07年5月、森君への人権侵害があったとして、当時の校長らに「説示」などの措置をとった。両親は同年9月、個人情報保護法に基づいて調査記録の開示を請求。開示された資料はほとんど黒塗りだったため、同年12月に法相に審査請求書を提出していた。【高橋咲子】
毎日新聞 2009年1月21日 西部朝刊