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国際法では、戦争捕虜の扱いに関してどのように定められているか。 |
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戦争捕虜に関する最も重要な国際法である、一九四九年に締結されたジュネーブ条約の共通第三条で、戦争捕虜は人道的に扱われなければならないと規定されている。 | |
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どのような行為がジュネーブ条約の深刻な侵害になるのか。 |
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| 以下のような行為が条約の侵害になる。
・殺害、手足の切断、残酷な扱い、拷問などの暴力 ・屈辱的行為、名誉を傷つける行為など個人の尊厳を傷つける行為
・正規に構成された裁判所の判決によらずに戦争捕虜に対して判決を下し執行すること ・人質とすること ・怪我や病気の治療を行わないこと | |
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ジュネーブ条約とは何か。 |
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| 戦争の進め方を扱う国際人道法の一部。国際人道法は多くの文書におかれているが、その中でも最も重要なのが、四つの一九四九年ジュネーブ条約、二つの一九七七年追加議定書、そして一九〇七年ハーグ陸戦条約である。 | |
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イラクは戦争捕虜に関する規則に従っているか。 |
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明らかに従っていないが、その侵害の程度は不明である。専門家によれば、テレビに戦争捕虜を映し出すのは、「捕虜は、常に保護しなければならず、特に、暴行又は脅迫並びに侮辱及び公衆の好奇心から保護しなければならない」と規定する、ジュネーブ第三条約第一三条の侵害になる可能性がある。
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イラクは過去に戦争捕虜に関する規則を侵害したことはあるか。 |
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| 侵害したことがあるとの多くの証言がある。一九九一年の湾岸戦争時にイラクにより捕らえられたアメリカ人捕虜は「拷問された」と主張している。 | |
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戦争中に敵軍によって拘束された人はすべて戦争捕虜とみなされるのか。 |
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すべてがみなされるわけではない。誰が正式に捕虜とみなされるか、誰がジュネーブ条約の保護の対象となる権利があるかについては、大幅なグレイエリアが存在する。ジュネーブ条約は、紛争当事国の軍隊の構成員が敵に拘束された場合に戦争捕虜にあたるとしている。また、紛争当事国の兵力の一部を構成する民兵隊及び義勇隊の構成員も戦争捕虜にあたるとしている。ただし、後者の場合は、以下のような条件を満たしていることが必要となる。
・部下について責任を負う一人の者が指揮していること。 ・遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること。
・公然と武器を携行していること。 ・戦争の法規及び慣例に従って行動していること。 | |
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非正規の戦闘員も、ジュネーブ条約におけるあらゆる保護を受けることができるか。 |
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| 保護を受けることができる。非正規の戦闘員にも人道的な扱いが保障されている。非正規の戦闘員も、適正な手続きを通して、抑留条件に関する要請を申し立てる権利を保障されている。 | |
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戦争捕虜を尋問することはできるか。 |
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| 尋問することができる。ジュネーブ条約第三条約第一七条に従って、すべての捕虜は、尋問を受けた場合には、その氏名、階級、生年月日、軍の番号、連隊の番号、個人番号又は登録番号について答えなければならない。国際法の専門家は、戦争捕虜を尋問することはできるが、厳密なガイドラインの下でなされなければならないとしている。条約は、「捕虜からいかなる種類の情報を得るためにも、これに肉体的又は精神的拷問その他の強制を加えてはならない」と規定している。また、回答を拒否した捕虜に対しては、「脅迫し、侮辱し、又は種類のいかんを問わず不快若しくは不利益な待遇を与えてはならない」と規定している。
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すべての国が国際人道法の規則に同意しているのか。 |
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すべての国が同意しているわけではない。たとえば、アメリカとイラクはともに一九四九年のジュネーブ条約を批准しているが、どちらも一九七七年の追加議定書は批准していない。一般的に、戦争に関する規則は、条約のみでなく、国際的な合意や実行によって定められている。
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非合法な戦争においても、国際人道法は適用されるか。 |
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| 適用される。戦争の合法性に関する見解に関係なく、国際人道法は従われなければならない。 | |
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降伏するふりをして、敵を攻撃することは、戦争に関する規則の違反にあたるか。 |
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| 違反にあたる。そのような行為は重大な違反とみなされる。一九七七年の第一追加議定書第三七条によれば、次のような行為が背信行為にあたる。
・休戦旗または降伏旗を掲げて交渉の意図を装うこと。 ・負傷または疾病により無能力を装うこと。 ・文民または非戦闘員の地位を装うこと。
・国際連合、中立国もしくは紛争当事国でない他の国の指標または制服を使用して、保護されている地位を装うこと。 | |
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戦闘員が普段着を着ることは合法か。 |
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| この問題はグレイエリアに属するが、一般的には、合法とはいえない。国際法の専門家は、戦闘員はカモフラージュはできるが、普段着を着ることはできないとしている。 | |
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