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2009年1月22日

 時代が人をつくるという。坂本竜馬も高杉晋作も「幕末に生まれなかったらただの人」といわれるくらいだ

オバマ米大統領と比較して、日本の政治家の力量を論じる向きが多い。歴史的な就任式を見て、日本側の自虐的な比較論が加速するに違いない。が、隣の芝生の輝きをいくら称賛してもむなしい

政治家の違いには、日米間の「危機感」の差もあろう。自国の歴史的な危機や矛盾を敏感に感じとれた若者だけが、命がけで維新を成し遂げたように、オバマ氏も21世紀の危機的なアメリカが生み出したひとりだろう

それにしても新大統領は、なんとも「孤独」に見えた。200万人の観衆、歴代の大統領、愛する家族の祝福に力強くこたえながらも、壇上に漂うのは、決意をかみしめる男の孤独感だった、と言えば、うがちすぎか

人は時代によってつくられ、その人が時代をつくる。未曾有の危機に初の黒人大統領として立った以上は、命をかける覚悟をしただろう。真のリーダーは孤独だという。勇気や希望や責任といった言葉を支えるのは、自らを信じるしかない孤独な指導者の胆力かもしれない。


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