ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 茨城 > 記事です。

茨城

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

日立製作所日立総合病院:産科医1人が残留 分娩を継続へ /茨城

 ◇ハイリスク対応は困難

 今春以降の常勤産科医の確保が不透明な状況となり、昨年夏から分娩(ぶんべん)予約を取りやめている日立市の日立製作所日立総合病院(日製病院)で、若手の常勤産科医1人が4月以降も残留することが決まった。医師派遣元の大学病院は常勤産科医4人全員を大学に戻す意向を示していた。病院側は「最悪の事態は避けられた」と、分娩を受け入れていく構えだが、1人ではハイリスク分娩への対応は難しく、広域医療に及ぼす影響は必至だ。【八田浩輔】

 07年の日製病院の分娩数1212件は県内最多。24時間体制で急を要する妊婦や新生児を受け入れる県北地域の地域周産期母子医療センターにも指定されている。06年に8人いた常勤の産科医は現在半減。派遣元の東京大病院の要請で、昨年夏に産科医全員が今年3月で大学に戻ることが決まると、4月以降の分娩予約の一時中止を決め、院内の掲示板やホームページで告知した。以降、病院は、県や市とともに、都内の私立医大などに医師派遣の要請を続けていた。

 病院によると、今回残留が決まったのは卒業後4年目の女性医師。昨年末に本人が残留の意向を示し、東大病院も了承したという。常勤医が確保できたことで、約25人の助産師を活用するため、県内では初めてとなる「院内助産所」開設の検討を進める。

 一方、周産期医療の「最後の砦(とりで)」であるセンター機能を維持することは容易ではなさそうだ。「正常分娩は何とか周辺地域で吸収できている。問題はハイリスクだ」。水戸済生会総合病院・総合周産期母子医療センターの山田直樹医師はこう指摘する。日製病院の年間の母体搬送は約50件(07年)。半数以上が県北以外の地域からの搬送だった。「県内全体のマンパワーがない。ハイリスクの受け皿が無くなると、(正常分娩を担う)1次医療機関も機能しなくなる」(石渡勇・県産婦人科医会顧問)との懸念もある。

 日製病院は、OBや民間の医療人材派遣会社など複数のルートを頼りに、引き続き医師確保に努めている。最終的な常勤医の人数が固まり次第、2月中にも来春以降の体制について公表する予定だ。

毎日新聞 2009年1月22日 地方版

茨城 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
 

特集企画

おすすめ情報