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日本社会に拡大する「反新自由主義」(上)

 日本経済がバブル崩壊期に匹敵するほどの困難な状況を迎えている。そのような中、「小さな政府と大きな市場」をスローガンとする「新自由主義構造改革」に対する反動が、日本社会全般で強まりつつある。

◆「景気は急速に悪化」 日本政府が初めて宣言

 日本政府は20日に発表した月例経済報告で、現在の景気について「急速に悪化している」と表現した。「急速な悪化」という表現は、1975年に景気に対する評価が行われて以来、初めてのことだ。また18日には民間のシンクタンクが、昨年10-12月期の国内総生産(GDP)が昨年7‐9月期に比べて9%から12%のマイナスに落ち込んだと推定している。第1次石油ショック直後の74年1‐3月期にマイナス13.1%を記録して以来の、2ケタの落ち込みとなる見込みだ。

 この急速な景気悪化は雇用を悪化させ、雇用の安定には特に敏感な日本社会全体を刺激し始めている。一部では「グローバルスタンダード」にこだわることなく、雇用の安定を重視する「日本的価値」への回帰を主張する声もある。

 麻生太郎首相は26日に予定されている国会の施政方針演説で、小泉純一郎元首相による新自由主義的構造改革路線との決別を公式に宣言する予定だ。麻生首相の演説原稿には、「市場に任せればすべてがうまくいくわけではない」「大きな政府か小さな政府かという議論では片付けられない」などの文言が入っているという。麻生首相は、景気回復を目指すには大規模な財政出動は避けられないとして、2012年までに赤字財政を脱却するという、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を掲げた小泉政権での方針(骨太の方針)もすでに放棄している。

 政界では雇用の根本を揺るがす議論が行われている。当初、労働市場の流動性を高めるために導入された製造業の派遣勤務(非正規職)に対しても、最近は契約期間である3年が過ぎると解雇が相次いだことから、野党の民主党は製造業への派遣禁止を積極的に検討すべきという方針に転換している。社会民主党、国民新党、共産党などほかの野党はすでに禁止の立場を明確にしている。

東京=辛貞録(シン・ジョンロク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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