◆[山形市]長谷堂・城山 夏の果て、夜の果て(2008平成20年8月14日撮影)


2009年のNHK大河ドラマ「天地人」で一躍脚光を浴びる主水(もんど)塚。
徳川方の最上軍と豊臣方の直江軍が壮絶な死闘を繰り広げた長谷堂合戦。
その合戦での戦死者を埋葬し供養した地に慰霊碑が建っている。
長谷堂にお住まいの渡辺さんは、十数代に渡りその塚守だったという。

「今日は花火大会だがら、散歩は早めに切り上げっべはぁ」
「やんだワン、やんだワン、散歩すねどメタボっちまうべワン」

雨雲の隙間からそろりと垂れて、鈴を鳴らすか、赤い布。

熱帯アメリカ原産のクレオメは、いつの間にやら日本になじむ。

「今なの須川の方さ行ったら、渋滞でしゃますさんなねぇ」
「皆、浮がっだみだいして花火見ぃだもなぁ」
通りを流れてくる会話に、ノウゼンカズラは聞き耳を立てる。

夏の果てに近づいてきたのか、湿気を孕んだ空気にススキが揺れる。

「おら現役のポストなんだじぇ」
誇らしげに直立し、誰もいない通りへ胸を張る。

まだ明るさの勝つ通りへ、
ため息を吹きかけるように光を投げかける。

「少しでも高いどごさ行がんなねべぇ」
微動だにせず花火をじっと待つ蜘蛛。

「今からあの城山さ登らんなねんだじぇ」
うんざりする気持ちを、花火を撮りたい一心がわずかに勝り、重い足を前に押し出す。

「鼻の穴ばくすぐんなずぅ、くしゃみ出っべな」
笑顔のまま我慢し続けるアンパンマンへ、雑草は退屈しのぎにちょっかいを出す。

「花火大会あっから早々と通りから人いねぐなたのが?」
自販機は低くうなり続けるだけで何も答えず、ただ空を見つめる。

ガチャ玉があるから子供たちの社交場なんだろうが、
タバコもあるから大人も立ち寄る。
要するにこの辺が長谷堂銀座ってことだな。

「こっちゃ来んニャー」
「なして?」
「あっづいがら、近づくなてゆてんのよニャー」

「夕方だじゃぁ、今から城山さ登んのぉ?カモシカ出っから気ぃつけろなぁ」
「ちぇっと花火撮っかど思てぇ」
「夕方から城山で夕涼みなて、ほいずぁ優雅だぁ」
ひまわりはくだらないダジャレを笑顔で言い放ち、へっぴり腰の私を送り出してくれる。
↓ここから下は時間だけ記します。
 いつものように時間の経過とともに盆地に降りてくる夜と、夏の余韻をお楽しみください。

[18:24]

[18:25]

[18:30]

[18:42]麓が長谷堂、向こうが山形市街。

[18:44]山形大花火大会方面を望む。

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[20:21]

[20:48]城山を下山しホッと一息。雲間の月が、花火の余韻に浸る長谷堂の街並みを静かに照らす。

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