1994年6月3日
第32回厚生省交渉の記録
<交渉団に参加した会員>
勝村久司、松本康治、他
<厚生省側参加者>
・陣痛促進剤関係
星 北斗(健康政策局 総務課 主査)、他
【陣痛促進剤関係の今回の質問】
一、データに関して
@プロスタグランディンE2の錠剤について、それぞれの年間生産量を発売当初から教えて頂きたい。
A人口動態統計で日別、時間別出生数は昭和五十六年以降、正式に統計が取られているが、NHKによると「少なくとも昭和二十九年のものも保管しているはず」との情報を得た。昭 和五十六年以前の統計があれば、保管分の全てを提出頂きたい。
二、「計画分娩についての日母見解」について
@見解を受けて厚生省健康政策局は、「夜間、休日の医療体制の充実について努力している」と話しているが、その努力の具体的内容について明らかにされたい。
A日母見解は、厚生大臣の要請を受けて出されたものであるが、その内容は「土、日曜日及び深夜帯の分娩は可能な限り、むしろ避けるべきで・・・、平日の日勤帯に分娩させる方が現 状に即した望ましい姿と言える」との見解であった。こうした計画分娩について「日母見解」に対する厚生省としての考えを伺いたい。
三、能書改訂に関して
@以下の点に関して、この度の能書改訂された理由について明らかにされたい。
イ・「必要最小量の使用にとどめること」という赤枠の追加
ロ・筋肉注射の禁止
ハ・オキシトシン、ジノプロストの併用禁止。等
A日母が集約している副作用や被害の例を、全て厚生省副作用情報室は情報収集しているのかどうか、しているとすればその内容を明らかにされたい。
四、医薬品救済基金関連
@救済基金のさらなるPRの方法として我々の提案したものも含め、検討された具体策を明らかにされたい。
【陣痛促進剤関係の交渉の記録】
−−−−−別の問題の交渉が終わった直後に−−−−−
(厚)実は私、一つ会議をさぼっておりましてですね、次のオキシトシンのところでもう一度出番があるんでございますけれども、もし可能であれば、今、ぱらっと差し上げることが出来れば助かるんですが。
(交)オキシトシンのところ、能書改訂の話ですね。
(厚)その三番なんですけれども。それでですね、これちょっと話があれだったんですけれども、これは、プロスタグランディンE2の話でございますね?
(交)いや、陣痛促進剤全部です。
(厚)あっ、全部ですか。
(交)能書改訂って、このあいだ全部に関してやったでしょ。
(厚)あー、そうですか。まあ、どちらでも大丈夫です。それでですね、えっと、まあこの医薬品につきましてはこれまで何回かご説明申し上げているかと思いますけれども、まあ、お母さんのお腹の感受性の問題ですとか、色々その、難しい問題がありまして、使用方法が大変、まあ量も含めて、あの本当に個別の医療の中で様子を見ながらということもあってやっていかなきゃならないと、それでですね、例えばいささか旧聞に属しますけれども、オキシトシンの使用法の変更とかですね、こういうふうなことでやってきたわけなんですけれども、さらに産婦人科の専門家のご意見も伺いまして、まあ、こういったことについてやってあるんだけれどもこれまた万全を期することが望ましいと、で、イ、ロ、ハのハなんですけれども、この時点で筋注の禁止とか、その時点でやってしまっているものもあります。赤枠というのもまあ、書き方の工夫ということだと思います。あと、オキシトシン、ジノプロストの併用禁止なんですけど、これちょっと私、E2との併用禁止かと間違えてしまったんですけれども、いずれに致しましてもそういうところで改めております。時期的には平成四年くらいだと思いますね。・・・
日本母性保護医協会さんの方でやっておりますのは、残念ながら医療の現場で事故が、たまたま医薬品が使われている例、使われてない例、色々あると思うんですが、事故の例があって、それを日母としても何かやっておられるようでございます。具体的には私共薬務局は結局「もの」なんですね。「もの」と言いますのは医薬品、というものに付帯した話なんでございます。それで「もの」をどう使うのか、というのは、われわれは例えば使用上の注意をきちっと書くとかですね、あるいは先ほどちょっと話題に出ました副作用情報とかそういった「もの」を提供するとか、があれでございまして、あとはお医者様が一対一の医療の中で最適な治療法を患者さん、例えば私「黒川」と申しますが、黒川としましょうか、「黒川ならこれぐらいがいい」とやっていく、ということでございまして、むしろお医者様の、即ち、使い手の方の団体がやっておりますところの例といいますのは、「事故」というようなことを扱っているように、私はまあ色々と説明を伺ったところでございます。
(交)あのね、この質問の主旨はそういうことではなくてね、これはね、平成四年の能書改訂はね、僕らそれ以前に交渉に来て、「促進剤でいっぱい被害が起こってることを厚生省は知っているか?」と尋ねに来ているわけです。「市民団体だけでもすごく集まっているし、日母の冊子を見て下さい、昭和四九年頃から被害がいっぱい起こってるから注意をするようにと書いてるじゃないか」と言ったわけです。それで「厚生省は事故をいくら把握してるのか」と聞いたら、一桁台のすごい少ない数字を厚生省は言ったんです。それで「何を言ってるんだ、日母でもこれだけやってるぞ」と言って日母の冊子を差し上げたら「こんなのは初めて見た」「勉強して日母にも意見聞きながら能書改訂します」と厚生省が言ったわけです。簡単に「能書改訂した」というけど、能書を改訂しなきゃいけないということはね、最初に能書を認めているのがいい加減だったわけでしょ。ある種、その責任も感じて欲しいわけですよ。僕の子供は能書改訂前に促進剤で死んでいるわけですよ。薬の中身が変わったわけではないでしょ。同じ薬なのに、最大使用量が半分以下になったり、併用してはいけなくなったり、なんでそんなこと日母は昭和四十九年から事故がいっぱい起こっている、と書いてあるけど、厚生省は二、三年前に来た段階で、副作用事故を数件しか把握していなかったから、あわてて日母から勉強します、というような言い方をしているわけですよ。そういう反省をふまえて能書改訂したなら、「能書改訂して本当に事故が減ったのかの調査を厚生省はしなさい。」と言ったのに、厚生省は「する気はない」と言ってるわけですよ。それなら一体ね、今回、能書を改訂したのはなぜなのか、と聞いているわけですよ。結局、情報を集め足らんかって、情報を集めてる「日母」というのが他にいててね、それで教えてもらって、初めて改訂に踏み切れたのに、また、調べる気もないって言ったら、また、同じような事故が繰り返されて後手後手に回ってしまうでしょ。厚生省は、自らはほとんど情報を持っていなくて、日母からも教えてもらって能書改訂したということは認めてるわけですよ。その際に、「日母が集めていたどんな情報があったから筋注をやめたのか」「日母が集めていたどんな情報があったから併用を禁止したのか」「どんな情報が日母に集まっていたから、最大使用量を半分に減らしたのか」その元になる情報を、それ以前には知らなかった情報が何かを聞いているわけです。最初に能書を認めたときにはなかった情報で、能書を改訂する段階で手に入れた情報は何か、と聞いているわけです。
(厚)あー、はー、わかりました。えーとですね、基本的に使い方の難しいお薬ですので、例えば注意しながら使いなさいとか、子宮破裂に注意しましょう、ということは、今から十五年くらい前の副作用情報から書いてあるわけですよ。それでですね、出産に伴うその辺の話は、専門家のお話をその当時から慎重に伺っておりまして、例えば、極端に言えば、出産前の一週間の時と二日前では量が違うとか、あるいはその順番で、どう使ったらどうなるかということも、使用上の注意、あるいは副作用情報で「もの」についての注意は非常に促しておったわけです。もちろん日母さんの集めておられたデータの中にも、薬との因果関係が否定できないものもあると思いますけど、結局、私共といたしましては、いわゆる医薬品として、添付して使用される方の注意を促すものとしては、基本的には「先生、これは注意して使っていただきたい」ということは書いてある。今回、平成四年に変えたというのは、従来からも基本的なものは変えてあったんです。加えて、万全を期するために書き加えた、というふうに私の方は理解いたしております。
(交)最大使用量が半分になっているんですよ。使っていい量が半分になったんですよ。従来とは全く違う画期的な改訂でしょ。
(交)もっと具体的に言って欲しいですよ。「最初の能書で発売してもいい」と、一度は厚生省は認めたわけでしょ。
(厚)ずっと昔はそうですね。
(交)能書を変えるということは、以前の能書の通りの使い方では多すぎる、または併用したら危ない薬があった、ということがわかってきたわけでしょ。
(厚)そういう場合があるということは、経験が積み重なってきたんでしょうね。
(交)その経験というもののデータがどれだけ集まってきているのか、そこが聞きたい。それを教えて欲しいんですよ。それを出して欲しいんですよ。日母が集めている情報は確かにあるんですよ。日母自身が集めたことを明記しているから。その情報を全部見たのか。また、見たのならその情報はどんな内容だったのか。それは、私たちに見せてもらえないのか。これは、そういう主旨の質問なんです。
(厚)あのー、その点はですね、例えば、日母の情報が全ての情報になっているのかどうか。あのー、我々は、繰り返しになりますが、「もの」であってですね、お医者さんがそれを使って、たまたまその使い方が、まあ・・・
(交)具体的に答えて下さい。
(厚)以前の副作用情報を見て下さい。えーと、この時点でもですね、用法用量として「原則として、点滴静注にしなさい。」と書いてありますね。・・・
(交)だから、どうしてだ、って聞いてるんだよ。何を根拠にそういうふうに変えたのか、ってことを聞いてるんでしょ。
(厚)わかりました。・・・それで、結局、・・・ここに尽きているわけですよ。これ以上のことはありません。
(交)例えば、筋注にしたって、前の能書は禁忌ではなかったのが、今回の能書は禁忌になっている。それは、どんな事例が集まったからそう変わったのか、と聞いているんです。
(厚)あー、そこはですね、従来からお話しいたしておりますのは、産婦人科関係の専門の先生方ですね、・・・
(交)だから、誰から、どんな団体から、どんな情報をもらって、どんな論文をもらって改訂したのかを聞いているんですよ。僕は促進剤に関して、厚生省はちゃんとやってくれていたと思っていません。ちゃんとやってくれていたら僕の子供は死んでなかったと思っている。だから、今はちゃんと誠心誠意やってくれているのか、と聞いているんです。「改訂しました」という結論はわかっている。
(交)あのね、どうしてこういう話になっているのかということを、もう少し広げてお話しするとね、改訂するにあたって、被害調査をして、その上で「こういう被害が出ているからこういうふうに変えよう」というつながりで変えられた、という理解を僕らはしていない。だから、この改訂はどういうことに基づいて改訂されているのかな、また、類推して、日母が集めていることは事実としてわかっているから、そのどういった症例に基づいて改訂ということになったのかな、ということがまずあるわけね。ところが、例えば、改訂したら、被害の実態調査をしていないわけだから、改訂した後どうなっているかという調査もやるべきではないか、ということも前回の議論であるわけですね。被害調査をやった後で変えたわけではなくて、専門家に聞いただけでやってると言ってもいいかも知れない。だから本来ならば、変えた後に実態調査をやるべきだろ、と言ってきてるわけだ。ところがそれもやってないわけだ。だからこういうことを聞かざるをえなくなってきているわけだ。流れとしてはそういうことですよ。
(厚)わかりました。あのー、まあ、医薬品の「もの」に注目すれば、我々は、安全対策に必要な情報を、添付文書の使用上の注意の改訂、またはその他の方法で差し上げる。あとは使い方とか、適正に使われているかとか、医療の場で事故も含めて、の話は我々だけの話ではない、あるいは我々の手を離れる話なんです。それで、事故の実態調査をしろというのは、薬の側に言われても、「もの」の側に言われても困る話なんですよね。
(交)基本的に言えば、副作用をきちんと収集して、それを広く分布、規制するのが厚生省の役目何じゃないですか。一旦、薬が出来たから、認可したから、俺たちは知らないということにはならないでしょ。
(厚)はー、それはまあ、そういうことではないと思いますね。
(交)あのね、能書改訂の時にあんたの前任者の「平山さん」という人がいたんです。平山さんは、当時、日母が発行している冊子を僕らがここで渡したときに「あなた方、促進剤の事故がちょっとしかない、って言ってるけど、これを見てどう思うか」って聞いたら、「初めてこの冊子を見ました」「なんか、いっぱい事故が起こってるように読めますね」「日母の人たちに検討してもらう」、その後「今、日母に通ってますからもうすぐ改訂するから待ってくれ」と言ってるんです。「待ってられない」と僕らは言いましたが、つまり、日母の助言を基に初めて改訂に踏み切ったわけですよ。それは明らかでしょ。それは認めはるでしょ。
(厚)あのー、まあ、その日母の人も含めて専門家と言ってるんだと思うんですけどね。
(交)その際に、厚生省が持ってなかった促進剤の被害の情報を日母はいっぱい持っていたわけでしょ。その集めているものを見せてもらって能書を改訂したのか、そういうことは関係なしに改訂したのか、どちらなのか、また見せてもらったのなら、その内容はどんな内容だったのか、それは僕らには見せてもらえないのか、と聞いてるんです。厚生省が「これは能書改訂しなきゃいけない」と思った理由はそれだと思っているから、被害が起こってるから改訂してるんだ、と思っているから、「改訂した理由を教えてくれ」というのはどんなけの被害があったのか、それを教えてくれと、聞いてるんです。
(厚)なるほど、えーとポイントはわかりました。今、私がこの場でできるお話はですね、繰り返しになって恐縮なんですけど、使用上の注意の改訂は、この医薬品の使用について、従来から使用上の注意にはいろんなことが起きることが書いてあったわけですけども、子宮破裂とかそういうことですね、さらにその安全を徹底するために、専門家のご意見を聞いて、必要な使用上の注意改訂等を行いました、と、そういうことです。
(交)僕らは以前「被害がたくさん起こっているから改訂してくれ」と言いに来た。日母も「被害がたくさん起こっている」と書いてあった。厚生省は「被害に関しては知らないけど改訂しました」としか言わないから、それでは本当に意味のある改訂になってないから、もし、日母から被害のデータをもらってないなら、もらって下さい。
(厚)もらえということですか?
(交)もらってないならですよ。当然もらった上で改訂していると思ってましたけど、もらって見たら、もっと改訂しなきゃいけないと思うかも知れないですよ。もらいもせずに改訂して「これで十分だ」なんてよく言えるなと思うんですよ。前回の交渉では「今回の能書改訂で十分だと思う」と言ってるわけですよ。「どんなけ調べたんや」って聞いたら「実際に調べてないけど、この改訂で十分や」と言ってたわけですよ。だから、能書改訂に関して、日母が集めている被害の情報を見たのか見てないのか、見たのならそれを見せて欲しい。見てないなら、見せてもらってないのなら、日母に「あなた方が集めている促進剤の情報があれば見せて欲しい」と、それで厚生省としては整理見直しをして、今回の改訂で本当に十分だったのか、もう一度検討するくらいの誠意を見せて欲しいんです。
(厚)わかりましたが、ご主旨はよくわかりましたが、まあ、真剣な問題だと思います。ただ、結局、使用上の注意の改訂は、ある例えばこれだけがあるからどうのこうのとか、こっちを見てぱっと変えてこの文書でいい、とかいうものではなくて、まあ、それも含むかも知れませんけど、もう少し、その、様々な現場での経験とか、薬剤師さんのご意見とか、あるいは、何と言うんですかね、「薬が使えない」というのは多分無理だと思うんですね、そういったこととかですね・・・
(交)はっきり言うとね、日母はずいぶん前から「筋注は絶対ダメ」と言ってるんです。ところが厚生省が認めた能書は、例えば筋肉注射を例に取ると「筋注するなら慎重にせよ」という能書だったんですよ。だから、厚生省の方は筋注禁止が遅くなっているわけですよ。その間に僕の嫁さんとかも、筋注で子供が死んでいるわけですよ。なぜ厚生省が遅れてしまったのか、ということを考えてみると、厚生省は情報を集めていなかった、ところが日母はあれだけ情報を集めていた。情報が集まってないのに「能書を改訂しよう」という発想にならないでしょ。医者からであれ、市民からであれ情報が集まってるから改訂したんでしょ。
(厚)根拠がなければ改訂しませんよね。
(交)日母には情報が集まってるんやから、その情報を厚生省なら責任もって見てくれ、と、厚生省は集められるだけの情報を集めた上で薬についてやってくれてるんだな、と思わせてもらわないと、「厚生省が筋注を禁止するのが遅れたからたくさんの子供が死んだ」という行政訴訟にもなりかねないわけですよ。そんなことにならないために、今からは誠意を持ってやって欲しいわけですよ。今からは。
(交)日母から、そういう被害の副作用情報を集めるということ、できます?
(厚)それはですね、日母さんの情報が、医療事故、あるいは先生の手技によるものなのか、それとも副作用によるものなのか、と、それで、もし副作用の場合にはですね、それは我々例えば、モニターシステムとか、企業を通じた副作用情報収集システムがありまして、そっから上がってくることになってるわけですね。
(交)それが上がってなかったでしょ。それが少なかった。それと日母の情報とが全然違うかったから厚生省は出遅れているわけですよ。
(厚)まああのー、要するに、日母の話はですね、まあ、お気持ちはよくわかりました。ですから、おそらくその、いわゆる、たまたまそこに医薬品ももちろん入った形での、広い意味での「事故」だと思うんですね。なくもがなの悲しい事故だと思います。で、それが全てですね、医薬品とは限らないと思うんです。因果関係の確認とか、あるいは検証なり検索なり、なかなか難しいもんです。日母さんも一生懸命やっておられると、私思いますけどね。
(交)そういう論理は平山さんもしましたよ。「能書に書く内容じゃない、能書には書くのは「薬」という「もの」のことだから」とね。だけど、実際には能書の文書を改訂しなきゃいけない内容があったわけでしょ。それと同じ内容の文書、能書改訂された後の文書というのは、日母は随分前から書いていることなんです。
(厚)なるほど。であるとするならばですね、少なくともですね、我々もですね、これは申し上げたいんですけど、従来から筋注は、まあ要するにその、静注点滴を原則とするということでもって、昭和五十年の始めくらいからやってるわけですね。それで、さらにそれを万全を期するために「もの」の立場から、更にもう少しわかりやすく書こうとかですね、そういうふうな努力の方向は、お認め頂ければ、大変ありがたいと思うんですけども。
(交)だから、その努力が一回で終わったら意味がないわけですよ。今後もね、そういう努力を日々やっていく為には、今まで情報を集めていなかったという問題を何とかして欲しいんですよ。今回厚生省は出遅れたことを反省して、反省したことを未来につなげていくためには、今回出遅れたことは情報が足らなかったんだから、今後、日母に対しては例えば「なにか情報が入り次第また教えて欲しい」と頼んでいるとか、そういう話があればいいですけど、今のままじゃ、また今度も遅れるじゃないですか。少なくとも、前回の改訂の時には、日母からの情報を厚生省はもらってないんですか。
(厚)私共、副作用の情報の収集や、それを出来るだけ効率的に行うこととか、それから評価を出来るだけ早く伝えることは、今までも一生懸命やってきましたけれども、これからも更に努力を加えることはお約束できます。四月一日からGPMSPの新しいものも施行になりましたし、企業からの重篤な副作用の期間、従来一ヶ月あったのを短縮するとか、まあ、努力しておりますので、それは続けます。
(交)日母がいっぱい持っている情報を見るということを、したか、してないかを聞いてるんですよ。
(厚)だから、そこはね、私が一番最初にお答えしましたように、この使用上の注意の改訂の時にあたってはね、専門家のご意見をお伺いまして、これが適当であるということで変えた、ということなんです。その中に、例えば産婦人科の専門の先生ですから、ご自身がたまたま日母の方もおられたと思います。
(交)平山さんは日母に話を聞きに行ったと言ってるんですよ。
(厚)ですからそれは、百パーセントそれだけでやったのかどうか、ということよりは、今、広い意味で出産に伴う悲しいケースがあるわけですから、それを出来るだけ防ぐために、例えばお医者さんはお医者さんでやることがいっぱいあるわけですね。で、「もの」は「もの」でやることはいっぱいあるわけです。
(交)もう一度、同じことを言いますから、繰り返すのは最後にしますからよく聞いて下さいね。日母は能書改訂の文書と同じ文書を以前から書いていた。その理由は被害がいっぱい起こっているからだ、ということも書いてある。厚生省は同じように能書を遅れて改訂した。その理由として被害がいっぱい起こっているからだと認識しているのか、と聞いているんです。「能書改訂した理由を明らかにして欲しい」という理由の意味はそれなんですよ。それを聞いてるんです。
(厚)おそらくね、前にお話があったときに、前任の平山の方から、まあ、お話ぶりでは、かなりの部分をお話申し上げてると思うんです。ですから正確には、私はそれをもう一度なぞって申し上げることが一番正確なところだと思います。今、たまたま、私、前の議事録をここに持っていませんけどね。
(交)最後の質問の主旨がわかって頂けましたか。かいていした理由というのは、日母なら「被害がたくさん起こっているから」という理由ですけど、厚生省が能書改訂した理由は「被害がたくさん起こっているからなのか」それとも専門の医者が言ったからだけなのか、どっちなのか。もし「被害がたくさん起こっているからだ」という理由なら、その情報を見せて欲しい、という意味の質問だということをわかっていただきたいのですが。
(厚)あー、なるほど、わかりました。その範囲では、私が承知致しておりますのは、おそらくいろんな情報があって、それに対して産婦人科の専門の先生のご意見を承って、それで、こういうふうに更に詳しく書くことが妥当であろう、丁寧であろう、というようなことで変えた、ということです。
(交)じゃあ、情報は特にもらっていないんですか。僕らに見せれるような情報はないんですか。
(厚)ですから、その具体的な手続き論は、今ここで、私、ご用意差し上げることは出来ません。
(交)次回だったら、いいのですか。
(厚)あのー、と言うよりはですね、私はですね、とにかく「もの」としてね、・・・
(交)情報を集めることを怠ったから改訂が遅れたんじゃないか、と言ってるわけです。そのためにたくさんの赤ちゃんが死んだんじゃないか、と言ってるわけですよ。情報を集める気があるのかないのかですよ。日母が情報を持っていることは明らかなんでしょ。なぜ、それを読もうとしないんですか。
(厚)だから、その部分の、ある部分につきましては、前任の平山がお答えしてるんだと思います。
(交)いや、答えてないから、ここで聞いてるんですよ。平山さんの時は「改訂しろ」で精一杯ですよ。それで改訂したけど、改訂したからもう終わり、じゃなくて、今後同じ様なことが起こるかも知れないから、情報を集めるのを怠ったから改訂が遅れたということを認めるなら、日母の情報を、厚生省はもらう気があるのか、って聞いてるわけですよ。誠意は終わったのか、誠意は続くのかを聞いてるだけですよ。
(交)あのね、ずーっと全然議論になってないんですよ。聞いてることに答えてないからです。いいですか。で、これ結局わかんないんでしょ。調べて、改訂の根拠というものを確認されたんですか。
(厚)えー、一応は調べておりますけれども・・・
(交)さっきからの、お答えの中でわかったことは「専門家の意見を聞いて変えました」これだけです。
(厚)そうです。
(交)だけど、こっちで聞いてるのは、実際の被害の内容に基づいてこういうふうに変えたのかどうか、具体的な被害にはどういう内容のものがあったから、こちらの質問の、イ、ロ、ハがそれぞれ変わったのかということを聞いてるんでしょ。つまり、専門家の答えなんていくら聞いたって、答えにも何にもなってないんだよ。だから、同じ話ばっかり何回も繰り返しているわけでしょ。で、どうなんですか。結局、具体的に被害情報に基づいて変えたってことなのかどうか、その辺をあなた、確認していらっしゃらないんじゃないですか。だから、そういう答えになっちゃってるんじゃないですか。
(厚)いや、そんなことはないです。
(交)じゃあ、どうなんですか。
(厚)要するに、その、まあ、確認というのは症例の一例一例ですか。
(交)だから、例えばこういう例がどれくらいあったからとか、しかも、それがどっかの情報で、例えば日母からの症例なんだと、いうことかも知れない。そういう形での改訂ではないんですか。
(厚)あのー、繰り返しになりますが、そこは、先ほどから申し上げてますのは、専門家の先生方にですね、医薬品について・・・
(交)専門家の話はもういい。どうでもいい。ちゃんと、情報集めて改訂したの?それともただ専門家なの?
(厚)あのですね、要するにその時点その時点ではですね、使える情報は全部使って、それで、一番よかれと思うような形に変えて、それが今の能書になってるわけですよ。
(交)だけど、根拠がはっきりしないから、確認しようとしているわけじゃないですか。変えた根拠は何だろうか、と一生懸命、気にしてるんですよ。これだけの改訂で十分だろうか、というのがまずあるからですよ。調査をやった手順が全然、ガラス張りのように見えてこないわけ。闇の中で、密室の中で、ともかく「専門家の先生に聞きました」「これとこれを変えればいいんじゃないかと言われて変えました」これだけのことしか聞こえてこない。だからこれ、密室の話なんだよ。だから、もう少しガラス張りにしたいから、どういう根拠でこうなったのかを確認したいってわけ。
(交)改訂の手続き技法と、その中で示した厚生省の具体的な被害件数とか内容とか、そういう資料をそろえて、いついつこうやって審議いただいて、それで改訂の答申を頂いて改訂しました、ということになったのか、その辺さっぱりよくわからないから、確認しているわけじゃない。包み隠さず、言って下さいよ。
(交)あなた、確認してないんでしょ。結局。
(厚)あー、わかりました。あのそれはですね、このご質問からの私の読みとりが少し足りなかったのかも知れませんね。
(交)かなり足りないよ。
(厚)まあ、しかし、繰り返しになりますから・・・
(交)結局どうなんですか、確認してないんでしょ、はっきり言えば。
(厚)いいえ、確認しています。ですからそれは専門家の意見・・・
(交)だから、被害の量はどうか、具体的な内容はどうかって聞いてるんじゃないの。
(厚)だから、量は、子供は子供、お母さんはお母さんで違う・・・
(交)だから改訂した誠意はわかるけど、今回改訂が遅れた。今後、改訂しなきゃいけない場面で遅れてほしくないから、日母から、これまでの情報をもらい、今後ももらい続けるようなシステムを取って下さい。と言ってるんですよ。
(厚)なるほど。
(交)それが、次の誠意でしょ。あなたからは、まだ何の誠意ももらってないですよ。平山さんの時に改訂はあったけど、今は何の誠意もないじゃないですか。あなたの言ってることには何の誠意もないじゃないですか。もう改訂したんだから何もしません、と言うなら、僕らも促進剤の被害は終わってるとは思ってないから、考えがある、って言ってるんです。誠意を見せてくれないと、いっぱい死んでるんですからね。さぼってるんですよ。
(厚)いやいや、そんなことはありませんよ。
(交)能書改訂が遅れてるじゃないですか。遅れたことは過去のことで、これからは努力するというならね、情報を集めるくらいしなさいよ。遅れた理由は情報を集めることが遅れたことなんだから。なにをごまかそうとしてるんですか。これからまた、ボーっとしてたら何にもわからないじゃないですか。前回、先に日母に情報が集まっている経緯があるわけでしょ。
(厚)ですから、日母の方にはですね、その事故のケースとかね、様々なものが入っているわけですよ。それで、私ども、一番肝心の注意は、えーと、昭和五十三年ですか、この時点で例えばオキシトシンのショックとか、使用上の・・・
(交)そこから、いったい何人死んでるわけ。
(厚)それでですね、・・・
(交)もう具体的に答えて下さいよ。日母の情報を持ってるの、持ってないの?
(厚)モニター情報とかで上がってきた情報は持っております。
(交)そんなの数例だけしか上がってなかったでしょ。
(交)日母の情報を持ってるのか持ってないのか、それだけを聞いてるんです。
(厚)少なくとも、この間、平山さんにお渡しした情報があるわけですよね。
(交)イエスかノーかで言えばいいんですよ。あなたの答えは余計なことが多すぎるんだ。どうしてもっと明解にクリアカットに答えられないの?持ってるか持ってないか、って聞いてるんだから、答えは、持ってるか持ってないか二つに一つしかないでしょ。
(厚)そうおっしゃいますけどね、僕らがやっているのは、薬の「もの」についての話だけなんですよ。で、日母さんがやってるのはそうじゃなくて、お医者さんの医療行為や診断行為や全部入った事故の話でございましょ、っと・・・
(交)だからその日母の資料はあなたたちが持っているか、って聞いてるんですよ。
(厚)ですから、この間、皆さんが下さったという話ですよね。
(交)この間渡した、日母の冊子は結論しか書いてなくって、データとかは書いてない。何という勘違いをしているの。
(交)どうして普通に答えられないんですか、黒川さんって。普通の会話ができないじゃない。日母の情報は持ってるんですか?
(厚)専門家が評価したものはありますけど。
(交)いや、日母の情報を持ってるか、って聞いてるんですよ。
(交)何で答えないんですか?なぜ?
(交)こんな誠意のないのは初めてや。
(交)だから、これ、時間ばかり食っちゃうんだよ。あなたがさっき「会議がある」って言うから、僕も何とか早く終わろうと思ってる。でもね、あなたが全然まともに答えてないんだよ。あなたの責任なんだよ。
(厚)私も、一生懸命答えているつもりなんですけど・・・
(交)だけど質問に答えてないでしょ。
(厚)ちょっと待って下さいよ。「能書改訂に関しての理由について明らかにされたい」ということでしたから、私はこういうものを用意して、それで使用上の注意を、専門家の意見を・・・
(交)それは、改訂の「結果」でしょ。改訂に使った文書とか論文とか、誰からどんな意見が出たとか、そういうデータを見せてくれ、と、それが「理由」でしょ。
(厚)そこまでは私、この質問文書の意味として、読んでいませんでした。
(交)質問を読み込めてなかった、っていうことでしょ。だから、先ほど僕が「あなたは結局、確認してないんじゃないの」って言ったじゃないの。
(厚)あっ、そういう意味ではそうですね。
(交)そうでしょ。だから答えも全然ちんぷんかんぷんになっているわけですよ。さっき、同じことを言ってるじゃないか。
(交)副作用情報なんか、僕らでも手に入るんだから、肝心なことをちゃんと言ってくれなきゃ何にもならないわけよ。時間ばかりかかって。遠回しなことばかり言って。
(交)もう少しきちっと答えられる人に出てきてもらいたいなあ。大変失礼かも知れないけど、質問も読み込めない人に出て来てもらっても困るんだよ。
(厚)まあ、私も一生懸命やっておりますけど・・・
(交)質問を読み込める人に出てきてもらいたいなあ。
(交)この日母の冊子には、日母は情報を持ってると書いてあるけど、その具体的中身は書いてない、厚生省はその情報を持ってるのか持ってないのか答えてもらって、持ってないならすぐに持って欲しいと言ってるんです。
(厚)わかりました。
(交)持ってないんだな。これから手に入れるんだな。
(厚)いえ。それはちゃんと視野には入っております。
(交)はい。ご苦労様でした。
(交)次回にはそれを出して下さいよ。
(交)また同じことを質問するからいいよ。もう。
(交)じゃあデータに関してお願いします。
(厚)プロスタグランディンE2製剤の件ですね。私、計算課の谷田と申しますが、法律的なしばりがありまして、統計法にも続きますと、これは科研さん一社しか作っておられないんですね。ということで、我々、公表できないんですよ。
(交)公表できない?
(厚)はい。それは、統計法上に基づきまして、われわれ国家公務員法で秘密保持の問題がありまして、複数の会社が作ってあればですね年間処理をちゃんと作ってあるんですが、一社というのはお答えできないんです。その点をご理解いただきたいんですが。
(交)厚生省にはこういったものの報告というのは当然あるんですよね。
(厚)それは当然あります。薬事法できちっと罰則かけて徴収していますから、そのかわり、ちゃんと目的はこうですよということもうたってまして、われわれもそこは必死に守っています。申し訳ございません。
(交)いろいろな医薬品があって、抗悪性腫瘍剤とか陣痛促進剤とかいろいろありますが、それぞれの品名について一応そういうリストはあると考えていいですか。
(厚)はい。・・・
(交)お聞きしたいのはね、例えば抗悪性腫瘍剤として十個二十個の薬のトータルとしてデータがあるんではなく、一つ一つのが一応あるんですね。
(厚)それはもう、データベースでコンピューター回せばアウトプットは出来る。
(交)前に一度出してもらったことがあるんですが、あれは、オキシトシン、プロスタグランジンFだったんでしょうか、だから出たということですか。
(厚)はい、二社以上あれば。
(交)プロスタルモンEのことですか。「科研」というのは。
(厚)この、質問の一番にありますプロスタグランジンE2ですね。
(交)プロスタグランジンE2というのは、科研のプロスタルモンEだけ?
(厚)そうです。認められているのは、ここ一社だけですから。
(交)このプロスタグランジンというのは薬剤名ですね、商品名じゃないですね。
(厚)それはもう当然。
(交)商品名としては一個しかないんですか。
(厚)これはそうです。
(交)すごい儲けてますね、この会社。
(厚)そういう制度の問題がありまして、申し訳ありませんが。
(交)これ二社以上の分だったら、出して頂けるわけですね。例えば、次回オキシトシンやプロスタグランジンFなんかを聞いた場合は。
(厚)それはですね、ここにあります「医薬品工業生産動態統計年報」載っております。
(交)この本に載っているのが一番詳しいデータですか?
(厚)これに載っている以上の個別のデータはちょっと・・・
(交)この本よりも詳しいことは聞いてもダメということですか?
(厚)はい。
(交)わかりました。どうもありがとうございました。
(交)陣痛促進剤関係の質問の一番のAをお願いします。
(厚)私、統計情報部の人口動態統計を担当いたしております、山田と申します。お尋ねの件ですけども、日別時間別出生数ですけども、やはり昭和五十六年以降の公表というか、集計をしております。それで、ご質問の二行目にあります二十九年のものなんですけども、二十九年につきましては、当時の担当課長が厚生統計協会の「厚生の指標」という雑誌があるんですけども、そこに研究発表をするために特別に集計したものでして、それ以外の数字はございません。
(交)それで二十九年のものはあるんですか?
(厚)はい。二十九年のものは、実は私共も探したんですが、元のものは、私共の統計情報部は今は新宿区の市ヶ谷にございますが当時は文京区にございましてその後移転したものですから、また、たまたま研究発表という形で出されたものですし、元のものがございません。それで、「厚生の指標」に載った分はございます。コピーしてきましたのでお渡しします。NHKさんから頂いたとおっしゃる分は、この中に日別の表がございますのでそれだと思います。。月別日別だけなんです。だからこれを暦にかけられれば曜日が出てくる、ということですね。
(交)時間別は?
(厚)当時はコンピューターもなかったものですから、本当に必要な物しか集計できていないということでして。
(交)時間別はなかった?
(厚)はい。
(交)コピー頂いてよろしいですか。
(厚)はい。
(交)ありがとうございました。
(交)じゃあ、二番の「計画分娩の日母見解」についてお願いします。
(厚)二番の@でございますが、夜間・休日の医療体制ということでございますけれども、私共、健康政策局の方では、夜間・休日等における救急医療対策というようなものをやっとるんですが、昭和五十二年から初期、二次、三次と救急医療施設、それからそれをとりまく情報ネットワークを体系的に整備しています。初期というのは、休日・夜間急患センター。二次というのは、輪番制病院ということで、入院を必要とする患者さんの施設。三次はご存知かと思いますが、救命救急センター、という位置づけの病院を整備しております。それからまあ併せて、搬送途中の医療の確保なり充実ということで、救命救急士というものが平成三年に制定されまして、搬送途上での救急医療の充実を図っている。私共は、今後そういった施設の充実に重点的に施策していきたいと考えています。ですから特段、母子に限った夜間体制というよりもあらゆる疾患あらゆる救急患者に対応できる体制ということでやってますんで、特に母子等に限ったと言いますか、個別の疾患に限ったという整備は特段しておりませんので、ご理解頂きたいと思います。
(交)日母見解に対して厚生省が一つのコメントをしていると、そういうことでしょ。日母見解に対してだから、あくまでも分娩に関してのことだと受けとめたのに、今の話は一般疾病に関する医療体制のお話でしょ。分娩に関する夜間・休日の医療体制を非常に充実するために努力していると受け止めるのが普通でしょ。
(厚)ちょっとその前によろしいでしょうか。見解を受けて厚生省健康政策局長が云々というところがあるんですが、これはどこでの発言を指しているのでしょうか?
(交)これはね、昨年末の国会議員の質問に対する答えの中で、藤田スミさんの質問ですね。「最も望ましいのは昼間や平日に回すことよりも、夜間や休日の体制を整えることが望ましいと思うので、その方向で努力したい」と話しているから、その努力の中身について聞いているわけですよ。
(厚)発言の内容は、出産に体制に関して個別に対応すると、もしくは特別に充実を図るとお答えてしているのか、それとも土、日の診療というものは、前々から色々問題があると言われていまして、その中において出産も他の診療科目と同じように充実していく必要があると答えているのかですね・・・
(交)非常に意味が大きいと思うのは、日母の見解というのは、土、日は避けて、平日の昼間に分娩することの方がいいんだ、みたいなね、そういう見解ですよね。
(厚)それとですね、土、日の体制の話はね、直結しないんじゃないですか。
(交)夜間、休日の医療が充実すれば、平日、昼間に無理に持っていく必要はないんじゃないか、というふうに思っているわけですね。解釈によっては問題のある発言だと思うんですよ。
(厚)あのー、A番のところでですね、「日母見解に対する厚生省の考え」というところがありますので、先にそちらを答えさせていただきまして、その後で議論をということでもよろしいでしょうか。
(交)どうぞ。
(厚)厚生省の見解としましては、「計画分娩については、厚生省として、日母に依頼し検討していただいたものである。昨年十一月に出された「計画分娩に対する日母見解」については、専門家及び第一線の臨床家の方々により検討された結果に基づくものとして受けとめたい。医療現場においては、状況に応じて適切な運用をされることを期待したい」ということで、これは原則的に日母見解を専門家臨床家の意見として受けとめたい、受けとめる、ということです。ですから、それがいけなくて、土、日の体制さえ完璧にすればいい、というようなお話をしているはずではないと思うんですけども。
(交)じゃあ、@番は正確に確認できていないみたいだから、仕方ないですね。じゃあこれは、改めて、ということにしましょう、@番はね。だからA番ですよね、問題はね。厚生省としては、日母の見解を肯定的に受けとめるということですね。
(厚)はい。
(交)しかし、これを読むとね、「計画分娩という言葉を使わない」というのも、ただ言葉を変えただけというか・・・
(厚)本来はそれを望まなかったのに、無理矢理そうされたということになればですね、それはもちろん、個別に問題でありますから、・・・
(交)だけど、「社会的適応も実はもともと医学的適応があるものだ」と、・・・
(厚)ちょっと意味が分かりませんが・・・
(交)従来、社会的適応と言って来たものも、もともと医学的適応も持っていたものである。だから両方とも、対象としてやることは問題ないんだ、・・・
(厚)そうは書いてないんじゃないですか。
(交)いや、そういう見解じゃないですか。
(厚)どこに、そんなふうに・・・
(交)この辺に書いてあるんじゃない・・・
(厚)実際に、社会的適応を全く除いているわけではないですよね。今まで社会的適応とされてきた中にも、実は医学的適応のものがあったんだ。だから、それをきちっと整理しましょう、という言い方ですよね。
(交)整理と言うよりも、それを取り込みます、ってことじゃないですか。誘発分娩をする対象として広げて取り込みます、ってことだよね。
(厚)私どもは、そのように受けとめていませんが・・・
(交)医学的適応も社会的適応も両方ある分娩なんてないでしょ。医学的に必要があったのかなかったのかだけでしょ。ないのに使った場合、社会的適応とか計画分娩とかどんな名前を付けようが、医学的に必要があるかないかだけの問題でしょ。
(厚)医学的適応があるかないかについては、そうですね。
(交)日母が昼間の方が安全だと言ってるのはね、夜間や休みの日の体制が不十分だからでしょ。だから、行政のやり方によっては、例えば消防署なんかは一年中ちゃんといてるじゃないですか。やりかたによっては、夜間も同じようにすることもできて、一人一人には休暇も給料もちゃんと確保できて、看護婦さんの希望も増えるように、消防署並みに行政を変えるとかいうような気持ちがあれば、日母からこんな皮肉を言われることもないし、行政も「日曜と夜間はええ加減やから、昼間に産ました方がいいわ」と厚生省も喜んで日母と一緒に言っててられるのか。そういう点で何か考えがあるのかないのか。
(厚)ですから、夜間、日曜にの医療についてはですね、先ほど言いましたように、一般の医療と・・・
(交)例えば、消防署のようにする気はないでしょ。
(厚)消防署というものと医療機関とを同じに考えるんですか。
(交)考えるかどうかじゃなくて、聞いてるだけじゃないですか。消防署くらいに夜間もスタッフをそろえる気があるかどうかを聞いてるだけでしょ。
(厚)それは、今お答えできません。私共、消防署の体制もよく存じ上げませんし。
(交)夜間も昼間もほぼ同じ人数がいてるんですよ。
(厚)あー、そうですか。
(交)病院もそうしようというような長期ビジョンはないんですか。
(厚)答えられません。
(交)「夜間・休日の医療を充実させるように努力する。」と言ってるから、具体的にたとえばの例として、そういうことをする気はないのか、と聞いているんですよ。具体的に答えて欲しいんですよ。
(厚)ですから、具体的に夜間と昼間を全く同じようにする、ということは別にしましても、夜間と土日の診療体制というのは確かに弱い部分があるかも知れない。そういう部分については力を入れていきましょう、ということは申し上げております。
(交)夜間や土日も同じだけのスタッフの人数がおれば、全く同じじゃないですか。その場合だと、わざわざ薬を使って昼間に産ませる必要はないじゃないですか。夜間や休日は人手が不足しているから、だから平日の昼間に持っていった方が安全だ、と日母は言ってるわけでしょ。
(厚)それはそうです。
(交)それだったら、夜間も休日も同じだけの人数を揃えたらいいじゃないですか。
(厚)わかりました。おっしゃることはわかりました。おっしゃる意味はわかりますが、今そこで、夜間も休日も同じようにするということは申し上げられませんし、・・・
(交)しようという努力はどうなんですか。
(厚)今、現実には、夜間・休日も同じようにしよう、という目標も掲げておりません。
(交)そういう気持ちがないから、日母は仕方ないから、と言ってるんだけど・・・
(厚)ちょっと待って下さいよ。
(交)何を待つんですか。
(厚)土曜日、日曜日の診療体制を平日の昼間と同じようにするという話とですね、なんでこれ、直接つながっちゃうんですか。
(交)藤田スミ議員の質問にもそう答えているじゃないですか。日母の見解は出たけれども「一番望ましい姿は何か」と聞いたら、「薬を使って無理に昼間に持って行くよりも、夜間・休日を充実させることだと思うので、その点も努力したい」という主旨のことを言ってるじゃないですか。すぐしろと言ってるわけじゃないでしょ。僕なんかそういう話を聞いたら夢に思うのは、「夜間・休日も同じだけのスタッフがそろい、しかも医療従事者も交代でたくさん休暇ももらい快適に仕事が出来るようになれば、そういう医療行政ができあがれば、薬で無理矢理赤ちゃんを昼間に産ます必要はないのに」素朴に思うんですよ。日母にそれが言えなくても、厚生省には「そういうことも考えたらどうだ」と言えるでしょ。何か変な話をしてますか。何を待たなきゃいけないんですか。
(厚)ですから、今の、そうだったらいいだろうな、というお話はわかりますよ。
(交)もし、そういうことをしてくれるとすれば、する可能性があるのは、厚生省でしょ。
(厚)ですから、ご意見としては承らせていただきます。
(交)さっきの話に戻しますと、この日母見解の中には「従来の考え方の社会的適応の多くも、実際には医学的適応とみなされるものが多い。したがって、分娩誘発の中に、医学的ならびに社会的な適応も含まれると考える方が妥当である。」とこう書いてありますね。これは、非常に理解しにくいんですが、こういうふうに言うなら、前段で「従来の社会的適応の多くも、実際には医学的適応とみなされるものが多い。」と言ってるわけだから、その違いは何かというと、この後の方に出てきますが、「社会的適応とは医学的要約をみたした症例に対して、妊婦側の要請、あるいは医療施設の体制を考慮した上で分娩を誘発するもの、と定義したい」となってますね。そうなってくると医学的適応と社会的適応とは、何がどういうふうに違うのか、ということになってくるんですよね。
(厚)「要約」というふうに書いてあるんですね。
(交)これ、どういう意味ですか、「医学的要約」っていうのは。(厚)あのー、少なくとも「医学的適応」という言葉とは違うはずですよね。
(交)だから、どういう意味ですか?
(厚)ですから、医学的に・・・何て言うんですかねぇ・・私も専門じゃないからわかりませんけどね・・・
(交)適応は「あたるかどうか」でしょ。要約は「やるときの最低限の条件」でしょ。
(交)要するに医学的には該当する、それを適応する、必要条件というか、最低条件というか、そういうものをみたした症例に対して、っていう読み方でいいんですか。
(厚)そうではないんではないですかね
(交)じゃあどうなんですか、だから聞いてるんじゃないですか。
(厚)「誘発分娩の要約」というのは五の項目にありますよね。つまり、ある条件なんですよね。つまり誘発分娩なり、分娩誘発をしていい条件、それをみたした上で、社会的な問題を満たしていれば、というふうに読むんではないかと思っていますけどね。つまり、医学的な適応があるというのは、医学的に誘発分娩の必要がある、というものをさしますよね。要約というのは、そうではなくて、誘発分娩をするための条件、というふうに考えると思うんですが。
(交)それだったら必要最低条件ですね。
(厚)でしょうね。そう書いてありますよね。ですから、そう読むんではないですか。
(交)これね、いろんな読み方ができるんですよね。だから、厚生省がどんな理解の仕方をしているのかを知りたいんです。だから「そう読むんではないですか」では困るんです。
(厚)ですから、上から読んでいくとですね、当然、医学的適応と社会的適応の二つに分かれますよ、って言ってますよね。その内、社会的適応っていうのはこうですよ、って書いてありますから、その言葉の通り、医学的な要件をみたしていて、それに対して、妊婦側なりもしくは医療施設の体制を考慮した上で、その方がいい、というふうに思われているものを、社会的適応と理解していますけれども。
(交)これね、意見が分かれている一つの例として、日母はこれ以前に会員に配布している冊子では、社会的適応は好ましくないからやめるように指導してきていたのが、それがこの「日母見解」から急に社会的適応の方が逆にいい、と百八十度転換してきてるから、日母の内部でも、そうやってころころ変わっているさなかで、これに対する国民の世論も新聞などによると、どうなっているかわからない中で、厚生省はどう考えているか、ということなんですよね。それとね、そもそも、薬というのは必要がなくても使っていいんですか。保険請求できるんですか。本人はいらん場合ですよ。社会的適応ってそうでしょ。本人は何の病気にもなってないのに、薬を使う、ということですよね。
(厚)何の病気にもなってない、というふうに考えるのか、保険診療上どう扱うのか、については私共のあれではない・・・
(交)医学的適応になってないから、病気にはなってないけど薬を使うのが、社会的適応ですよね。
(厚)適応っていうのはある処置をするための適応ですよね。
(交)薬を使うときの理由でしょ。
(交)誘発分娩をしてもよろしいか、どうか、っていうことでしょ、これ。
(交)医学的適応っていうのは、母子ともに危険性が迫っているから、こういう場合には使う、ということでしょ。
(厚)医学的適応はそうですね。
(交)これで言えば、医学的適応じゃなくても、使っていいってことでしょ。逆に言えば、本人が全く健康なのに、土曜の夜になるからと、強制的に医者が・・・
(厚)ですから、そうなれば、個別の問題として「自分がいやなのにやられた」と言うことになれば、それは個別の問題として、患者さんとお医者さんの問題なんですよ。
(交)「日母見解」では、それを認めているわけでしょ。「使ってもいい」というふうに。
(厚)「使ってもいい」ではなくて、この中にはですね・・・
(交)個別の問題としてでも、使っていいのかを聞いてるんですよ。
(厚)厚生省としましてはですね、医療の内容にいちいち介入するという立場ではございませんので・・・
(交)だから、病気じゃなくても薬を使ってもいいんですか。この文章は「病気じゃなくても薬を使っていい」と言ってる、そういう意味では画期的に恐ろしい、すごい文章なんじゃないかと思うんです。そういう理解は厚生省にはないですか。
(厚)そういう・・・
(交)平日の昼間に産ませることを目的に薬を使っているんだから、病気じゃないんです。
(交)医学的適応がない、ということは、病気じゃない、ということでしょ。
(交)医学的適応じゃないんだもんね。前段があたかも、ごまかそうとしていると思うけども、「従来の社会的適応の多くも実際には医学的適応とみなされるものが多い」なんて、わざわざ入れる必要はないと思うんだけれども、だとすれば、何で社会的適応の中に、医学的な、例えばこの「分娩誘発の要約」の中に純粋な意味での医学的適応と考えられるものなんて、出てきてないよ。ここに書いてあることはね、むしろ純粋な意味での「社会的適応」じゃないの。いったいなんで「社会的適応の多くが実際には医学的適応とみなされる」わけ?そんなもの書いてないよ。一から五まで書いてある内、どこに医学的適応とみなされるものが書いてある?全然、こんなのごまかそうとしているのが見え見えじゃないの。
(交)病院によっては、夜間や休日も人手を減らさず頑張ってやってる病院もあるんですよ。前の国会の場ではね、前厚生大臣が議員の質問に答えてね「本人には必要がないのに、病院や医者の都合で薬が使われているならば、あってはならないとことと思われるので、日母に検討してもらう。」というのが前厚生大臣の発言でしょ。
(厚)そうですよ。
(交)ところが、その結果出てきたのは、必要のない薬でも平日の昼間にするために使っていい、と言って返ってきてるんです。
(厚)ですから、それぞれの要件をみたせば、っていうことですよね。
(交)要件さえみたせば、病気でもないのに、薬を使って・・・
(厚)ですから、それを病気ではない、と言うかどうかについては、まさに医学的な見解が入るんじゃないですか。つまり「適応」という言葉は、わかりませんけど、適応があるかないか、と言えば、社会的適応しかないとすれば、それは医学的適応か、社会的適応かという言葉で言えば、医学的適応がない、という部分かも知れませんが、「医学的判断」というのがあるわけですよね。
(交)だから、医学的適応がなくっても、医学的判断で薬を使っていいのか、って聞いてるんですよ。大事な問題なんですから、真剣に答えて下さい。
(交)そんなの「医学的判断」じゃないでしょ。単なる「医者の判断」でしょ。
(交)そう、医学的適応がなくっても、医者の判断で勝手に薬を使っていいのか、っていうことですよ。恣意的判断ですよ。日母見解はそれを認めようとしているけど、厚生省はどう考えているのか。
(厚)今のような読み方をするかどうかは別と致しましてですね、私共と致しましては、最初に申し上げたとおり、専門家がまとめた意見というものをですね、それを「受けとめたい」と、お答えしたわけですから、・・・
(交)だから、この受け止め方なんだけど、・・・
(厚)ですから、そういう読み方をされる、となりますとですね、それはまた違った問題になりますかと・・・
(交)これはそういうふうにしか読めないじゃないですか。
(交)「これを受け止める」ということは、そういうことですね、と確認しているだけじゃないですか。
(厚)厚生省の見解としてお答えできますのは、私の範囲の話ではそこまでしかお答えできませんので、・・・
(交)なんでよ。この文章を認めるということは、医学的に赤ちゃんや母親が死んじゃうとかそういう状況じゃなくても、医者の判断で薬を飲ませることをした方がいい、と書いてあるわけで、それを厚生省は認めるわけですか?
(厚)「した方がいい」とは書いてないでしょう。
(交)「した方がいい」って書いてますよ。そっちの方が安全や、って。
(厚)安全ならば、でしょ。
(交)そっちの方が安全ならば、してもいいんでしょ。そこをさっきから聞いてるんですよ。そっちの方が安全だと医者が判断するなら、病気じゃなくても使っていいのか、って聞いてるんですよ。病気じゃない人に薬を使って保険が出るのかどうか、ですよ。
(厚)保険が出るかどうかはわかりませんけどね。この話の中では。
(交)わからない、で済まないじゃないですか。
(交)例えば、レセプトに、分娩誘発するときに、薬を、これは医学的適応で使った、とか、社会的適応で使った、とか表示させるんですか?
(厚)ですから、個々個別の医療行為に関してはですね、厚生省がああだこうだと言う話ではございません。そういう立場でもございません。
(交)一般論として、聞いてるんですよ。
(交)ここんとこは、認めるっていうことは、そういうことでしょ。だって、理由が何にもなかったらレセプトには書かないんだから。薬を使った、というだけで全部保険適応させる、とそういう形で請求が来たらね、多分、基金の方がそのまま払わざるを得ないでしょ。病名がついてれば、実際にね、病気かどうかわからないですよ、だけどね少なくともレセプト上は病名が書かれていて、使っている薬があると、そうなれば少なくともそれは医学的適応だ、ということにしてお金を払うことになるでしょ。それとも、あなた方はこれを認めた、ということはレセプト上にそういう表示をさせるべきだと考えてるんですか。これは社会的適応で使った、これは医学的適応で使った、こういうことをはっきりさせるべきだと考えます?
(厚)あのー、ある症例に対してですね、ある医療行為をすると、いうことの判断は、原則的にその主治医が行うことですよね。
(交)その中で、一般論として、本人らにとって病気ではなかったのに、薬を使うことがあってもいいかどうか、ですよ。
(厚)ですから、それが病気でなかった、という話し・・・
(交)そうですよ、病気でなかった場合の一般論ですよ。
(交)こういうことって大事なことなんですよ。こういうことが乱発されて行くわけだから。どっかで押さえをきかせていくためには。だって、実際に被害があったから、いろんなことを問題にしてきてるわけですよ。われわれは今目的としているのは、被害を何とか押さえたいと思っているから、こういう議論をしているわけですから。そしたら、どっかで歯止めを作んなかったら。僕は自然でいえば、夜の夜中に生まれてくるのが当たり前だと思うよ、自然の生理って、お産の場合ははるかに夜中の方が多いはずだよ。
(交)僕らの陣痛促進剤の被害を受けている人はね、ほとんど平日の昼間に死んでるんですよ。平日の昼間に無理矢理産まそうとして死んでるんですよ。ところがこれは「平日の昼間の方が安全や」と書いてある。だから、そういうことがおかしい、と思うから僕ら来ているわけですよ。事故は平日の昼間に起こってるんですよ。
(交)我々は事故を防ぎたいんですよ。歯止めがなくなっちゃうんだよ。
(交)これをこのまま認めていくと、もっと怖いことが起こりますよ。必要じゃない薬を医者の判断でやっていい、保険から出してもいい、ということを医療法的に認めるのか、ということを確認しなきゃいけないんです。
(厚)ですから、保険から出す、ということと、医者がやる、ということは別ですので、・・・
(交)そりゃそうですけどね。あのね、全部、闇の中になっちゃうんですよ。医者が全部フリーハンドで渡してるんだから。そうすると、医者は、本当に医学的適応のものもあるだろうし、社会的適応のものもあるでしょう、だけど全部それを、レセプト上は請求ということで保険請求することも可能なわけですよ。病名さえ付ければ出来るんだから、はっきり言ったら。そういう中で、どんどんそれが歯止めがなくなっちゃうわけだよね。そういうことを恐れてるわけだよ。そういう病気だということでお金を請求して、昼間にどんどん出産させて行くってことになるわけでしょ、多分。この内容を読むと、そういうふうにしか思えない。一体これで、何か歯止めになるものがあるんですか、ってことですよ。
(交)例えばね、「平日の昼間の方が安全だ」なんて、何を根拠に言ってるんですか。そういうことを調べて聞きましたか。そんなこと思うだけで、調べもしないで、そして「見解」として出されたときには、みんな平日の昼間の方が安全なのかなと思ってしまって、実は平日の昼間の方が事故が多かった、って後でわかるようなことにならないですか。促進剤を使って平日の昼間に持ってくる際にすごい事故を起こしているわけでしょ。なのに「平日の昼間に持っていく方が安全や」なんてどういうことなんですか。そういうことも調べてやってくれないと。
(交)全部、その辺を専門家に任せて、「専門家の方針だから、それでよろしいんだ」と先ほどおっしゃったんだけど、われわれは、むしろ医療現場での実感としては、そういう感じは持たないわけ。昼間の方にね、分娩が多くなることが、むしろ事故が多くなる方向だろうと思っているわけ。
(厚)それは何か根拠があるんですか。
(交)実感としてですよ。統計的には出せないけど。だからそんなに簡単にね、あなた方がそんなふうな日母見解を鵜呑みにしてね「これでよろしい」とやっちゃっていいのか、そうするとそこでは、何の歯止めもきかないわけですよ。本当にそんなんでいいのか、と思ってるわけですよ。
(厚)皆さんのご意見はわかります。主旨は理解します。ただ、今ここで、これをどういうふうにするんだ、とかいう話しにはお答えできませんので、ちょっと申し訳ないんですが、今おっしゃっている、実感としてそういうことを思っている、現場で思ってらっしゃるということは、あのー、一つの声として伺わせていただきます。
(交)でも、なんか変更につながって欲しいと思うけどね。
(交)調査する、とかそういうことは考えないんですか。
(厚)現在のところ、考えておりません。
(交)こういう見解を出した理由とかデータとか、そういうのはもらってはります?この日母医報の文書以外何ももらってないんですか?生データというか、こういう見解に至った過程のようなものは?
(厚)それは承知しておりません。
(交)じゃあ、この結論だけ?
(厚)結論だけではないかも知れませんけど、私が手元に持っているのは結論だけです。
(交)結論をもらってから何か質問をしたとか、そういうことも一切なしですか?この点がどういう意味かわからない、とか。
(厚)ちょっとその辺は、どういう過去の経緯があったのかわかりませんけれども、現在、手元にあるのはこれだけです。
(交)日母見解を出す前に、厚生省は、厚生大臣が「検討させる」と言ったときに、市民もその委員の中に入れるようにしたい、という約束をしたんだけども「間に合わなくて検討結果が出てしまいました」ということだったんだけども、日母に対して、わからないことがたくさんあるわけですよ、今、話しをしてきただけでも、日母の本意を聞いて確かめなければわからないことがたくさんあるわけですよ。だから、厚生省が、厚生省と日母との、または市民と日母との窓口のようなものを作っていってもらわないと、「こんな見解が出ましたから、はい、これでおしまいです、ちゃんちゃん」では困るわけです。それか、今言った、色々とわかりにくい点の質問にしっかり答えてもらうか、のどっちかをして欲しいということなんです。
(交)そのどちらもお約束できないんで、・・・
(交)あのね、子供を産んでる女性の立場から言いますとね、日母見解にもありますけど、「計画分娩」という言葉を使わないようにするとか何とか書いてあるみたいですけど、産んでる女が、計画分娩に対して、不信感と言うか医療不信があるんですね。自然に産みたいのに、医療機関の都合で陣痛促進剤とか使われて、すごく痛い思いをして、幸いにも無事に生まれる場合もあるけれども、いろいろと被害も重なってきてて、だから、こういう「計画分娩はいやだ」という女の人たちの声ってどんどん上がって来ているわけですよね。「やっぱり自然出産」というふうに女の人たちもどんどん変わって来てて、そんなふうに状況がなってきているわけじゃないですか。「昼間と同じような体制を夜間もして欲しい」と女の人は思っている。そういう状況になってきているわけでしょ、今。なのに、今この段階で、流れに逆らうような形で日母見解が出て、それを厚生省が「認めます」「それを受け止めます」というふうに言うとね、女としてはね、なんかすごく裏切られた感じというか、なんで今こんなんが・・・
(厚)ですからね、今おっしゃったように、自分が望まないのに、医療機関側だけの都合でそういうものをするのは、いかん、と、これはインフォームドコンセントです、本人にきちんと説明して、「こっちの方が安全ですから」とちゃんとやれ、と条件として書いてあるわけですよね。ですから決して、その、医療機関側だけの都合でですよ、医者だけの都合で、それを認めるような形にはなってないと思いますけど。
(交)この社会的適応の中には、妊産婦の希望というのも一応書いてありますけどね、「医療施設の体制、都合」によって社会的適応になる、と。
(厚)ですから、その、なった時点においても「こういうふうな理由で、こういうことですからしますよ」と、個別の事例で言うのじゃないですか。それが、本人の意向が本当はいやなんだけど、無理矢理そういうことにさせられた、いうのであれば個別の例として、・・・
(交)「よる、お医者さん一人ですよ」とかね「看護婦さん一人ですよ」とか言われたら、そんなん不安で夜中に産めないでしょ。そういうのをインフォームドコンセントって言うんだろうか。
(交)つまりこういうことだと思うんですよね。インフォームドコンセントとか何とかで保証されなきゃいけない患者側の人権というか、権利みたいなものが、例えば「私は陣痛促進剤は使わない、夜になるんだったら夜に産みたいと思うから使わないで下さい」という意志を持っていたとして、それについては、じゃあそれを、医療は、病院は、あるいは厚生省は、行政は、それを出来るだけ尊重しましょう、という姿勢を持っているのか、ということでしょ。
(厚)それはもちろんそうですよ。
(交)具体的にはどういう形でやってるんですか?
(厚)・・・
(交)気持ちを持ってるだけじゃダメなんだよ。行政ってのは、やることなんだから、「行」なんだから。
(交)尊重するときにはね、医療施設とか、人員とかをきちんとしないと尊重することにならないじゃないですか。
(厚)あのー・・・、その「医療施設の夜」の話しをちょっと置いておきますけどね、・・・
(交)置いとくって、・・・
(厚)医や、あの、つまり、それをきちっとしなければ、今言ったようなことが、・・・今おっしゃるのはね、夜もきちっと出来るようにならなければ、インフォームドコンセント、って言うか患者の意志が繁栄されない、っていうふうにおっしゃいましたけれども・・・
(交)いや、そうは言ってないじゃない。
(厚)私にはそう聞こえました。
(交)別に現在の状況を前提にしたっていいわけだよ、とにかく、出産を間際にしたお母さんが、女性が「そういうふうにして欲しくない」「使わないで欲しい」という気持ちを持ったときに、それに対して行政としては積極的にどういう支援をするんですか、個別の例じゃないですよ、これは抽象的に言ってるんですけど、そういう人たちがいっぱいいるわけでしょ、彼女が言ったみたいに。それに対して行政は具体的な施策としてどういうふうに対応することによって、それを尊重するんですか?
(厚)まあ、インフォームドコンセント全体ということに、話しをすり替えるわけじゃないですが、インフォームドコンセント全体については、厚生省もそれは非常に大事な問題だと考えております。これは具体的に「検討会」というのを今、開催しておりまして、日本においてのインフォームドコンセントが如何にあるべきか、っていうことを現在検討しているところです。これは、今年度中に、何らかの形で、皆さんや国民の皆さんにも、その報告をしたいと考えております。
(交)あのね、今までの過去の交渉では、もう少し誠意を感じたこともあったんだけど、今日のように、このまま「何も約束しない」と言って帰られたら、何をしに来たかわからないから、改めて一つだけ、日母に対して聞いて欲しいことがあるんですけどね。これは厚生省が日母に対して頼んでるんですよね。日母自身が書いているけども「子宮収縮剤を使用する際の産科的トラブルが多くなっている事実などがある」から見解を出さなあかん、っていうことを書いてますよね。それが国会の質問の主旨でもあるわけでしょ。事故が多くなっていることが問題になってるから何とかしなさい、っていうことでしょ。それで、その結論の一つに「平日の昼間の方がいいんじゃないか」というニュアンス、「平日の昼間の方が夜間より人手が多いから」と書いてある。誘発分娩は、今までは「医学的適応がなかったらやめろ」という日母の医師の指導だったけど、逆に「した方がいい場合もあるぞ」と、見解が変わっているわけですね、これ。それは、認めてくれますか?
(厚)そういうふうには受け止めていませんので。
(交)今までの日母のを読みました?過去のを。この、平成二年のとか。
(厚)あります、あります。
(交)「極力やめろ」と書いてあるでしょ。今回のと違うことがわかりませんか?
(交)何でそれもわからないの。今までの適応や要約のところを読んだらわかるじゃないですか。例えば、平成二年のなら、六ページの最後のところに「また医療施設側の事情によって計画分娩を行うことはトラブルのもとであり、決してすべきでない」って書いてあるでしょ。全然違うでしょ、そのこととこれは「医療施設側の条件で、決してすべきでない」て書いてあるわけですよ。医療施設側の条件、っていうのは、夜間が人手が少ないから昼間に産みましょう、でしょ。病院によっては、夜間や土日もほぼ同じ人数でやってるところもあるんですよ、知ってるんです。それは医療施設側の条件を整えてはるんですね。それができないから昼間に産ませよう、ってことはしてはいけない、って書いてあったわけでしょ。それが「してもいい」って見解が変わっているわけでしょ。ところがね、事故が増えてきて問題になってきて、国会に上がり見解が出ているのに、僕らの持ってる情報では、事故のほとんどは平日の昼間なんですよ。平日の昼間に促進剤を使ってすごい事故が起こっているから何とかしろ、と言った答えが「平日の昼間の方が安全だ」なんです。それはおかしいでしょ。嘘だと思うなら日母に聞いて、日母は「情報を集めてある」って書いてあるわけですから「日母が独自に調査した云々」と書いてあるから、それをもらってきて、いつ事故が起こっているのかを調べて下さい。調べてみて、実際に休日や夜間ばっかりに事故が起こっているなら「平日の昼間の方が安全だ」と言ったらいいけど、見たみた結果、平日の昼間に無理矢理産まそうとすることで事故がいっぱい起こっていた、ということだったら、それを解決する策として「平日の昼間が望ましい」なんて全くおかしい、ということをわかって欲しいんですよ。それくらいやって下さい。事故が起こっていることが出発点になっているんだから、どんな事故が何時頃起こっているのか調べて下さいよ。
(交)それぐらいは約束できるでしょ。調べるということ。
(厚)・・・
(交)医者が早く帰りたいから、平日の昼間に何とか産ませようとして促進剤を使うから、みんな事故が起こって死んでるんですよ。「それがあかん」ということで国会質問がされて、「それは問題だ、検討させる」と言って出てきた見解が「平日の昼間の方がいい」なんて、どういうことなんですか。
(厚)平日の昼間の件数が多い、というのはどちらで?
(交)「陣痛促進剤の被害を考える会」ですよ。厚生省は何の被害の情報も持ってません。だから、日母に貰いに行って下さい。それをしないで「これでいい」と鵜呑みにするような「さぼり」はやめて下さい。実際に調べてみてね「夜中に事故がいっぱい起こっているなあ、夜中が人手不足だからだなあ、平日の昼間の方が安全やなあ」と思ったらね、その情報を持ってきて、それを見せてくれたらいいんですよ。事故をもらってきて下さい。きっちりと。
(厚)あのー、問題をちょっと整理したいんですけど、昼間の分娩が多くて、昼間の事故が多いとおっしゃるわけですよね。昼間の分娩の数も多いんですよね。それで、昼間に事故が多い、と、土日には事故が少ない、とそれは統計学的にはどうかわからないけど、印象としてそうだ、と
(交)普通に産もうとしての事故ではなくってね、促進剤を使って無理矢理にある時間に産ませようとすることをしてるから事故が起こっている、って言ってるわけでしょ。だから、無理矢理薬を使って産む時間を決めようとしている、それが平日の昼間なんですね、今病院のやってることは、それで事故が多いことで国会質問されているわけでしょ。それで「それでええやないか」って言ってたら何ら解決しないじゃないですか。
(交)被害の実態に即してない、って思います。本当に解決していこうと思っているのかな。夜でも昼でも両方対応できるようにするっていうのが大前提であって、さっきの話しを例に取ると、自分は夜がいい、とか、昼がいい、とか、これは希望の問題で別の問題で、おそらく選択肢が、今の医療現場の実態からしたら、「夜は人手が少ない」とか言われたら、やもえなく、選択が昼間にならざるを得ない、っていう、強引ではなくても、結果的にそういう選択をせざるを得ないところに追い込まれている妊産婦の状況があると思うんですよ。
(交)あのね、事故がいっぱい起こっているから問題になっているのにね、これ要するに「今のままでいい」っていうことなんでしょ。変えようという気がないんでしょ。今のままなんですよ。今までだったら内々では「社会的適応はやめろ」って指導していたのに「やってもいい」に変わっているわけでしょ。逆に後退しているんですよ。事故が全然生かされてなくて・・・
(厚)ここには「医療機関の都合によることだけで強引にしちゃいけない」って書いてあるんですよね。平成二年のやつにはね。
(交)研修ノートであれ、日母医報であれ、それまでのは皆、そういう論調ですよ。
(交)それまでは、少なくとも、夜の施設の状況に応じて「ダメだ」と言っちゃいけないってことなんだから、べつに夜だって受け入れる、という前提にたってるわけですよね。昼間の方がいいよ、とは言ってないわけで、今度、はっきり変わったわけだよね、そこのとこが。少なくとも「昼間の方が安全だ」と言いだしたわけでしょ。もっと、聞いて欲しいのは、一体この転換の根拠が何なのか、ってことですよね。はっきり転換したと思うんですよ、日母の見解が。そうするとね、これは一体何が根拠になって変わったんだろうか、と思いますよ。
(交)あのー、これ以上議論してても、きっとその・・・
(交)以前は、事故が起こってるから「すべきでない」と書いてあったわけでしょ。事故がなくなったわけでもないのに、なんで見解が変わったのか。そういう理由をしっかり理解した上で「認める」と言うならいいけど、こんなもの認められない文書じゃないか、っていてるわけですよ。
(厚)ですからね、最初申し上げたように厚生省の見解は、専門家による検討の結果、という認識でこれを受け止めて、これをもとに、それぞれの状況に応じて適切な運用をされることを我々は望む、という話しでございますので、・・・
(交)それだったら、そういうふうな受け止め方をされて、我々がこうやって質問に来たときに、皆様方がそれにちゃんと答えられないとね、ただ、盲目的に向こうの結論をあなたが言ってるだけになっちゃうよ、根拠も示さないでね、それはおかしいじゃない。
(厚)ですから、個々の医療の内容については、基本的には厚生省は立ち入る権限がないんですよ。
(交)個々の医療の話じゃないですよ。
(厚)この「計画分娩」て言われてるこの部分に関しても、我々はそれをどうこうすべきだ、という権限はないんです。もし、あれば、厚生省は今後はこういうふうにします、と言えるんでしょうが、ございませんので、ですから、その専門家の団体に「考えて下さい」「状況を把握した上で、どういういりょうをあなた方やっていくのか考えて下さい」と言って、それで、専門家が出した意見を受け取って、それで「専門家の検討の結果こうなりました、それを専門家の意見として我々は尊重します」と、いうお答えをした。さっきから、そのお答えしかできない、と言ってるじゃないですか。
(交)それはわかってるんだけど、だからこそ、だけどもね、にもかかわらず・・・
(厚)ですから、それはお気持ちとしてはわかりますよ。お気持ちとしてはわかりますが、我々の仕事の範疇って決まってますのでね。
(交)そしたら、我々の思ってる疑問なり、っていうのはどこに、どうしたらいいんですか?誰が答えてくれるんですか?今の疑問、何がどうして見解が変わっちゃたのか、昼間に被害が起こっているのに昼間が安全だと言ってるのは何故なのか、とかね、そういうふうな疑問は誰が答えてくれるんですか?あなた方が、厚生省が「了解した」と言うなら、厚生省が答えてくれなかったら誰も答えてくれる人いないんじゃないですか?あなたが答申を求めて、答申が来た、それを承認した、そしたら、それにかかわることはあなた方が答えなくっちゃ・・・
(厚)あの「承認した」とは申し上げておりません。
(交)「受け止めた」っていうことでしょ。
(厚)「受け止めた」わけです。
(交)ただ「受け取った」ということだけなの?
(厚)「受け止めた」と申し上げました。
(交)「受け取った」だけじゃないんだよね。それも了解したんだから。これでいってよろしいでしょ、って言ったんだから。
(厚)ですから、専門家と第一線の臨床家の検討に基づく結果である、と。ですから、皆さんの持ってらっしゃる疑問はわかりますが、答えるべき立場にない、と申し上げてるんです。
(交)じゃあどうしたらいいんですか?被害がまた起こるじゃないですか。
(交)もう一度確認しますけど、日母の見解が今回のこの文書で急に変わった、という理解はしてはりますね。以前と読み比べて。それは理解してもらえるんですね。今回はちょっと日母の見解が変わったな、と。
(厚)ですから、あそこの書きぶりがですね、結局「これはしてならん」という書きぶりで書いてきて、これを受け止めるときにですね、今まで「社会的適応」と言ったもの中にも実は「医学的適応」があったんだ、ということで、整理をし直した、ということはわかってますよ。
(交)日母は今まで、社会的適応みたいなのはすべきでないと指導してきたけれども、今回は・・・
(厚)ですからそれまで言ってきた「社会的適応」というものと、今回の「社会的適応」というものが全く同じものか・・・
(交)そういう屁理屈の論議はもういいんですよ。実質の見解が変わったな、ということは理解していただけますね。
(交)「平日の日勤帯に分娩をさせる方が望ましい」って書いてあるんです。今までは「決してすべきでない」って書いてあったんです。
(厚)それは、全然違うと思いますよ。「違う」というのは、「平日の日勤帯にするのは望ましい」というのはそうなんでしょう。そういう見解だ、というのは認識していますよ。
(交)平日の日勤帯に無理にやることで事故が起こっているから決してすべきじゃない、って書いてあるじゃないですか、こっちには。
(交)薬を使って、平日の日勤帯に誘導するんですよ。
(交)あのね、昨日までは別にそれでいいんですよ。べつにその責任を問うているわけじゃないんですよ。あなたはそういう見解を持ってた、と。ところが今日、色々な人の話を聞いて、ちょっと違うな、と感じられて「承りました」と、さっきおっしゃったでしょ。
(厚)ですから、意見としては、承りましたよ。
(交)それを、何らかの形で生かして欲しいと願うわけで、それについて・・・
(厚)ですから、皆さんの意見があったから私がその意見を持って何とかするってことじゃないですよね。色々な意見を持たれた方がいらっしゃいますよね。我々もちゃんとそういう意見を聞く場として、こういう「陳情」の場を設けてるわけですよね。
(交)われわれは「陳情」のつもりはありません。
(厚)あーそうですか。ですから、ご意見としては伺いますよ。皆さんがそう思ってらっしゃることはわかりますよ。
(交)質問に答えて欲しいんですよ。
(厚)私はだから「答える立場にない」と申し上げてるじゃないですか。
(交)なぜ、あなたが答える立場にないんですか。これで、何人人が死んでるんですか。
(交)ここは、陳情する、とか、話し合うだけで終わる場じゃないんです。
(厚)ですから、それはもちろんわかってますよ。
(交)相互でね「やっぱりおかしいな」ということはお互いに認めあいながらね
(厚)だって、私が言うことを理解してくれないじゃないですか。
(交)このままでは、もっと死ぬ、と思って言うてんねんで。何人死んでると思てるねん。「今のままでいい」っていうことやんか。もっと、死んだらいいんですか。
(交)実際に我々が疑問に思ってることをね、少なくともあなたが受け止められて、それをどう生かされていくのかな、とまず思うんですね。やっぱり生かして欲しいしね。
(厚)ですから、生かせるかどうかはですね、今ここでお約束できませんが、皆さんが今おっしゃった意味は、私も馬鹿じゃないからわかりますからね、・・・
(交)全然わかってもらってないよ。
(交)立場上そういうふうに言わざるを得ないのはよくわかるのよ。だけど、なんかさ、それだけだと、次がどうなるのかな、ということ、自分としてはそれを受けて、次にどういうふうにやろうとかね、そういうふうなところまで、できれば一歩踏み込んで答えてくれないかな、と思うわけよ。
(厚)今、「立場」を理解していただけるとおっしゃいましたね。私の立場ではこれ以上答えられないということを理解してもらえると・・・
(交)それではね、どなたがね、私たちの意見を聞いてね、日母見解について調査する権限は誰が持ってるんですか?
(厚)あのー、・・・
(交)あなたじゃない、って言いましたよね。
(厚)もしかしたらですね、日母の見解と、皆さまのこれに関する考え方にずれがあるのかも知れません。それはわかりませんけどね。
(交)どちらが正しいかを確かめる権限は誰が持っているの?
(交)それは、どうしたらいいんですか?認識が違うかも知れないということですが。
(厚)私が・・しないといけないんでしょ。
(交)今日は我々は、あなたにお話ししてるんですよ。あなた以外の人は、あなたと同じような見解でずっと来てるわけですよ。
(交)質問に答えられる人に来て欲しいですよ。
(厚)私はこの質問にお答えしましたよ。「厚生省の見解は何だ?」と言うから、お答えしたじゃないですか。
(交)その次の質問で「今回、見解が変わった、ということが理解できますか?」って聞いたでしょ。
(厚)ですから、その理解を、私は個人的に、今、ここでいきなり聞かれてですよ「あなたが個人的に理解しますか?」っていう話ですよね。
(交)わからんのやったら「わからん」でいいんですよ。「答えない」じゃなくて、急に言われたからわからんのやったら「急に言われたからわからん」でいいじゃないですか。あなたの答えられることを聞いてるんじゃないですか。とんでもない質問をしているかのような言い方はやめて下さい。
(厚)変わったのは認めますよ。平成二年のものと今回が変わったのは認めますよ。
(交)それを聞いてるんですよ。そうやって答えてくれたら話が進むんじゃないですか。変わりましたね?
(厚)変わりましたよ。
(交)変わった根拠について、何か情報を持ってるんですか、って聞いたら「この、できあがった紙しかもらっていない」と先ほどおっしゃいましたが、それも間違いないですね。
(厚)そうですね。
(交)なんで変わったのか、っていうことについては、何も知らないんですか?
(厚)なんで変わったのか、経緯は、私は存じ上げておりません。
(交)それを調べてくれませんか?
(厚)いや、これは専門家の意見ですから。
(交)専門家の意見をもらうときに、それが決まった経緯なんかも一緒に出して欲しい、という国民の声もある、ということで、聞いてもらうことが出来ないですか?と今聞いてるんです。
(厚)ちょっと、お約束できません。
(交)それは何故ですか?
(厚)ですから、私は今、それをお約束できる立場にないんです。ですから、前もってこうやって頂いた文書に関しましては「厚生省の見解」として聞かれているわけですよ。ですからそれに対して「厚生省の見解」をお答えしたわけですよ。それ以上のことを聞かれましてね「ここで今、おまえ、個人的に約束しろ」と言われても、私は「できない」としか答えられないじゃないですか。
(交)「百パーセント約束しろ」と言ってるわけじゃないですよ。そういうことを、検討してもらえないかと・・・
(厚)こうやって、テープをおとりになってですよ、・・・
(交)検討した結果まで、約束しろ、とは言ってない・・・
(厚)ですから、皆さんがおっしゃったことはわかりました、と、皆さんが、今私におっしゃりたいことは、私個人としては理解しましたが、そこで今「約束しろ」とか「次、どうこうしろ」ということは・・・
(交)そしたら、僕らは直接、厚生省には交渉できないわけ?個人にはできても。
(厚)ですから、私は窓口にはなりますよ。窓口だから、ここに来てるわけですよ。皆さんがおっしゃったことは、・・・
(交)だから「窓口」やから、そういうことを検討してもらいませんか、日母の見解が急に変わった経緯とかいうようなことを、日母に厚生省から聞けないか、というようなことを検討してもらえないか、ということを「窓口」だから聞いてるんですよ。
(厚)ですから、皆さんの今おっしゃったことは、私は承りますが、ここで、・・・
(交)そんな言い方ではわかりにくいから、ちゃんと言って下さいよ。
(厚)ですから、皆さんが、日母見解が変わった理由などについてわからない、と、おっしゃるんですね。
(交)その程度のことは、今までここに参加されて来た厚生省の方々は皆さん、ある程度自分の範疇で出来るものとして「わかりました、調べておきます」と言って、持って帰ってくれてましたよ。
(交)今までの人の中で、一番誠意がないですよ。というのはね、これね、どれほど問題が起こっているか、って言ったら、この見解が出た後に、マスコミの色々な人が、日母の広報担当の人に電話するんだけど、ノーコメントはかりで、一切理由を言わないらしいです。一回だけ厚生省の中で、ぱっ、と記者会見して、その後に参加できなかったマスコミとかが問い合わせても、この変わった理由について、日母はきちんと答えない。そういう背景の中で、この厚生省交渉を受けて、どうなるか、と待ってるマスコミもあるわけですよ。これは重大なことなんですよ。陣痛促進剤のことを問題だと思っている国民にとっては今回の見解は。だから、その程度の答え方で終わったということであれば、何人この後に殺すんだ、ということになるんですよ。僕らは、誠意を持って能書も改訂してもらえた、今までの人には、それなりの立場の中での努力を買えるんだけど、あなたのしゃべりかたというのは「もう何にもしない」「これで受け取った紙だけもらって、もうそれでいい、と思っている、何も聞く気はない」という感じで・・・
(厚)そんなこと申し上げてないじゃないですか。
(交)そう聞こえるじゃないですか。
(厚)ですから「おっしゃっることは理解しました」と申し上げたじゃないですか。
(交)だから、何らかな前向きな言葉を言って下さいよ。「検討します」とか、そういうことが何故言えないんですか?「私個人としては理解しました」だけで帰ろうとしているでしょう。
(厚)私は個人としては理解しましたよ。
(交)その次の話をして下さいよ。
(厚)で、窓口として、今の話を通じて言われたことを、私はちゃんと報告もします。こういうやりとりがありました、ということは報告します。で、それ以降のことはですね・・・
(交)どうなるか、を聞いてるんではなくてね、どういう努力をしてくれるんですか。
(厚)ですから、皆さんのおっしゃったことは、私のできる範囲で厚生省に。私はたまたま来ただけで、皆さんは厚生省に対してものを言ってるつもりですよね、もちろん。
(交)そうですよ。
(厚)ですから、厚生省に対してものを言ってる状況として「こういうことでした」ということは、・・・
(交)たまたま来たんじゃなくて、ずっとあなたが来るようになるんじゃないの?
(厚)この問題に関してはそうですね。
(交)そうでしょ。
(厚)そうです。
(交)そうすると、あなたはやっぱり窓口としてね、上司と相談してね「自分としては今日の話を、積極的に働きかけて、日母から見解の理由を引き出して行く、というつもりでやります」と、報告しなきゃいけないわけでしょ。単なる話の過程を報告するだけやったら誰でもできるでしょ。あなた自身が何をしようとしているか。その結果「自分としてはこういう形で臨みたい」と、上司に報告するなら、そういう仕方でしょ。「こういうことがありました」というだけの報告なら、どこの民間企業でも報告書にならんよ。窓口としてあなたは「今日の皆さんの話を聞いた上で、今後こういうことをやって、双方でいい方向に持っていこうと思います」という報告をしないと、上司に対する報告になりませんよ。僕が仮にあなたの上司だったら、印鑑押しません。「言われたことだけ報告して何にもしてないじゃないか」となりますよ。
「日母に根拠をただしてみます」「そういうつもりで、私は上司に報告します」「それで精一杯頑張ってみます」という話をしたら、納得するんですよ。「今度の窓口の方も、前向きにやってくれるんだな」と、なるわけですよ。それが普通の今までの交渉のパターンですよ。本当は「交渉」じゃないんですよ。前向きに制度を持っていこうとするために、医療被害を無くすために、薬害を無くすための「話し合い」なんですよ。お互いに切磋琢磨して、いい方向に持っていこうとしてるわけです。「今回の日母のやつは、何か裏がありそうだ」「やっぱり現実の実態と違うんじゃないか」という思いがあって、あるいはデータもそれを示しているから。それを鵜呑みにしておられるから、そうじゃなくて「もう一回視点を変えて、根拠をきちっとして下さい」と、「それができるのは、厚生省さんしかいないんですよ」ということを言ってるわけですよ。ですから、わざわざ遠くから仕事を休んででもきてはるわけですよ。そのことをあなたも理解して、そういう形でまとめはったら納得するわけですよ。すっと、終わるんですよ。
(厚)あのー、話としてはわかりますよ。ただこの時点でですね、私が、今言われたことに対してですよ、「確かにおかしいから、日母に聞きますよ」というふうには、やっぱり私には今言えません。つまり、私もそう思いませんからね、今。おかしくて、私が「もうこれは絶対に日母に聞かなきゃいかん」というふうにですね、
(交)そうは思わない、ということ?
(厚)思わないですね。
(交)どうして?
(厚)ただ、皆さんがご心配になることはわかりますよ。
(交)あなたが答えられるんだったら、いいんですよ。「思わない」と言う分、我々の質問に対する自分の回答を持ってるんだったらいいんですよ。だから「それについて、ぜひ日母から聞かなきゃいかんとは、思ってない」と言うのならわかるけど、あなたは、それに対する答えを持ってないわけでしょ。さっきの話では。それなのに「どうしてそれが変わったのか」ということについて、「ぜひ聞かなきゃいかん」と思わないわけですか?
(厚)・・・。
(交)はっきり違ってるでしょ。
(厚)平成二年のものが、今回に来て「変わった」というのはわかりますよ。
(交)だから「どうして変わったんだろう?」って思わないですか?
(厚)・・・。
(交)それはとっても大事な、重大なことですよ。あなたが現場の被害の実態をどれだけご存知か、僕は知らない。だけど、裁判だけでも四十例もやってるという事例から考えたら・・・
(厚)ですから、厚生省のやることとして、どこまで出来るのかわかりませんよ、先ほどから申し上げているとおり、厚生省というのはやるべき範囲が決まってますから、なんでもかんでもできる、ということではございませんよね。
(交)これはね、厚生省が日母に頼んで見解を出してもらって、日母から厚生省がもらってるんでしょ。もらった後で、見解が変わったことに対する反響も大きい、厚生省にも来てる、疑問点もある、「何で変わったのか」という声も聞いた、厚生省が自分で答えられない部分もある、だからあらためて、頼んで作ってもらったんだから、この際もう一度、「何を根拠に、どんなでーたをもとにしてこんな見解になったのか」データがあればですよ。また、どんな議論が内部であったのか、議事録があればですよ。また「前回と今回が変わった理由は何なのか」という質問に日母はどう答えるのか。それぞれ、納得できる答えをもらえれば、みんな納得できるわけですしね。そういうことを聞く、ということが何故そんなに「自分では答えられない、どうのこうの」という問題なのかな、と思うわけですよ。
(厚)あのー、もし百歩ゆずってですね、もし、厚生省という役所がそういうことが出来る所でですよ、・・・
(交)日母に頼んだのは厚生省でしょ?
(厚)「頼んだ」という言い方なんでしょうかね。
(交)だって厚生大臣が・・・
(交)日母が「厚生省から依頼を受けて書いた」と書いてるじゃないですか。
(交)そしたら、とりあえず回答をもらった立場として「前までと違うが、ここら辺はどうなんだ?」と聞くのが普通でしょ。聞いた立場から答えをもらったら。「確かに答えをもらったけど、これについてどうなんですか?」「前とかなり変わったけど、どういうわけで、何か理由があるんですか?」と、普通は聞くんじゃないですか。聞いてる立場なんですから。違います?
(厚)・・・
(交)それが普通の一般社会の常識でしょ。その常識が厚生省という所は通らないんですか?
(厚)・・・
(交)そこが、どうも理解できないんです。それが普通の常識じゃないんですか。
(交)「医療内容や治療内容に対して口出しをしなさい」なんてことを言ってるんじゃないんですよね。見解が変わったことの根拠について市民から指摘されているから、それについて厚生省も納得せざるを得ない面もあるからね、その根拠を明らかにして欲しい、ということが何故できないんですか?我々はここにいるメンバーだけじゃなくて、それぞれまじめな問題を抱えてね、やってるわけですよ。裁判をやってる人たちとかね、全国の代表で来てるわけですよ。ここにいる十人の声ではないんですよ。
(交)見解を出した後に、反響が大きくなって、耐えきれなくなったから、日母は厚生省で緊急に記者会見を一回しているらしいんですけど、その時の内容とかはご存知ですか?その時の資料を持ってるとか、そういうことはないんですか?それも全然知らないんですか?
(厚)その経緯は知りません。
(交)そしたら、全くこの紙しかないんですね。
(厚)そうです。
(交)緊急記者会見をしなければならないくらい、日母に反響は来てるんです。ところが日母はその後きちんと答えていない。それが国民の世論なんですよ。だから、厚生省はどうなんだ、と聞いてるんです。厚生省もこれは、責任を持って、もうちょっと知っておいて欲しいんですよ、この理由をね。
(厚)あのー、わかりました。あのー、おっしゃりたいことはよく理解しました。ただ、「これが世論だ」ということをおっしゃいますが、世論の一部ですよね。そういう理解でよろしいですよね。
(交)かなり大きな世論じゃないですか?
(厚)新聞などの論調をみましても、その辺は理解しているつもりですし、世論の一つとしてそういう声があるのはわかります。で、「今ここでどうこうする、とは約束できない」と申し上げましたけれども、これだけ、私個人としてもですよ、皆さんからおっしゃられたことをですね「私はただ上司に伝えるということだけで済ます」と、いうふうに聞こえるかも知れませんけど、私、精一杯答えているのは、皆さんのご意見は本当にわかりました。わかりましたので、今ここで「どうこうする」という約束は、残念ながらできませんけれども、私のできる範囲でね、ここでお伺いした意見として、世論の一つとして、こういう世論があって、ということはですね、厚生省の内部で、「どうしたもんだろうね、こういう意見もあるし、こういうこともある」とは、話題にはしてみます。ですから、それで勘弁してくれないですかね。これ以上やっても、私、四時から別な会議があって行かなきゃいけないですから、・・・
(交)私は四十歳を少し過ぎたときに、薬害で目が見えなくなったんです。その時からずっと、私たち主人に手を引かれて、こうして交渉に参りました。それで、今皆さんが申し上げていること以上にいろんなことを申し上げてきたんです。それでもやっぱり「検討は致しますがお引き受けはできません」というお返事ばかりで、今に至って二十三年になったわけです。もう私は六十七才になりました。私は厚生省も医者も信用しきって、薬を飲んだんです。厚生省の許可した薬を鵜呑みにして飲んだんです。それで盲人になって二十三年間、厚生省のどなたも取り上げて頂けない。でもまた、こんなふうに同じ様なことを繰り返していては、私ら、死んでも死にきれない思いです。さっきからお聞かせいただいておれば、午前中も午後も同じような繰り返しばっかりです。ですからもう、そういうことばかりなさらないで、少しずつでも、一歩ずつでも半歩ずつでもいいですから、役人さんが進んでいってくれますことを、せつにお願い致しておきます。どうぞ、よろしくお願い致します。
(交)あの、じゃあ一応そういうことで、あなたの誠意を信じるしかないんでね、ぜひ、積極的な受け止め方と同時に、対応もぜひ、やっていただけることを期待して、一応、この設問については終わりたいと思います。
(交)「医薬品救済基金」についてお願いします。
(厚)まずですね、「医薬品救済基金」というのがですね、長ったらしい名前ですけど、今年の四月から、「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」というふうに変わりましたので、略称では「医薬品機構」と呼んでおりますが、私共の方では、これからそういうふうに呼ぶようにしております。その救済制度の方のPRの問題だと思うんですが、従来から何回もご意見を頂いているところだと思うんですが、PRが足らないんじゃないかということですが、かねてからやってたことはやってたんですが、結局、実際に副作用被害をおこされた段階で、要はこういう制度があるよということを患者さんが御認識の場合と、ご存知なくて医療機関なり、薬局薬店で、実際に被害にあわれた方が、またはそういう症状になられた方が、まあ主治医なり、病院側とお話になった段階で処方された医師なり薬剤師なり、または医療機関そのものが制度を知らないということがあってはなりませんから、基本的には医療機関に対して重点的にやってることで、従来は臨床というか、「何々医療機関様」という形でやっておったんですが、これを医師個人もご存知なきゃいけないし、もしも医師個人が知らなくても、事務長さんとかそういう事務系の方がご存知ないというのが最終的にいけないことだと思いますので、そういったところを重点的にPRするということをやりまして、昨年でいいますと、約十八万件ほどの医療機関、あるいは診療所、老人保健施設、特別養護老人ホーム、歯科診療所、保険薬局、十八万三千箇所にPRのためのパンフレットを送ったりしまして、まあ制度のPRには努めているつもりでございます。それで名称が変わりまして新たな業務が加わったわけですけれども、そこで副作用の情報につきましても、個人名はもちろん特定できませんけど、どんな薬にどのような副作用があり得るとかデータベースで引き出すような仕組みをつくろうというふうに今考えておりまして、そういった仕事もやってるんです。結局この機構というものはですね、色々な複合的な業務をやるわけですけど、一般の患者さんや医療機関からの問い合わせが多くなることが間違いなく実態として出てきますので、そうすることで医薬品被害救済という名前になってるわけですから、そもそも制度自体を知らないということがまずなくなると思いますし、実際にもそういう努力をしたいと思います。
(厚)いつも議事録を頂いて、そちら側でご苦労頂いて作っていただいているのが今回ないので、・・・
(交)えっ。ないですか。この名前の人たちに送ってと言って、二十ほど送ったんだよ。
(厚)あーそうですか。ごめんなさい。内部の行き違いのようで恐縮なんですが・・・
(交)これあげるよ。可哀想にね。
(厚)それで、前回ご提案いただいたのは、・・・
(交)だからね、こっちから話すと、一つはね、健康保険証の裏に刷り込んでくれ、ということ。もう一つはポスターを作って全ての医療機関に送ってくれ、ということ。要するにパンフレットというのはある程度小さくて誰かしか見れないわけでしょ。PRというのはそんな小さいのを一個ぐらい送ったって仕方ないわけでしょ。
(厚)結局ですね、医療機関で張り出すということになると、医療機関サイドの判断にかかわるわけで。・・・
(交)だからこのあいだの議論は、ちゃんと見えるところに張ってくれと言ってたわけで。・・・
(厚)まず要は、結局は、最悪なケースというのは先ほど申しましたように、医療機関がそもそも制度を知らない、あるいは主治医が実際に副作用の可能性がある症状が生じたということを結局基金に請求していただくわけですから、その段階で医療機関が何も知らないということは絶対避けなければいけないということで、それで、医療機関を中心にPRをしておりまして、他にも地方公共団体にポスターを送ってますし、全国の医療機関はほぼ網羅したと考えているんですけど。
(厚)それから健康保険証の中に書くかどうかというところですが、もう少し検討させて下さい。少し語弊がある言い方になるかも知れませんが、医薬品副作用被害救済の制度があるということが広く一般の方に知って頂くことは結構なことなんですが、はたして健康保険証に書くことが妥当なことかどうかは、もう少し検討させて下さい。
(交)だからまあ一つはね、健康保険証それ自体に刷り込むということ、そしてそれが色々なことで本当に難しいなら、仮に難しいとしたら、保険証の更新の時には必ず保険証と同じくらいの大きさの物を作って保険証を入れるビニールの袋の中に一緒に入れるようにするとか、つまりやりようだと思うんですね。何らかの形で患者さんの方もわかってなきゃいけないわけだから、今のお話だと全部が医療機関側の話ばっかりだからね、そうでなくてやっぱり患者さんも知ってないと困るという意味で言ってるのであって、保険証のところにそれが入っていることがベストではないかと、そういう意味ですね。
(交)それからポスターの話っていうのは、同じ発想で患者さんが知らなければならないということで、医療機関側も知らなきゃいけないけど、病院に張り出すということはとっても大事なんじゃない。送っても全部が全部みんな張り出さないとは思えないので、少なくとも「どっかで見たよ」というような患者さん同志の口コミや「あそこにそんなのが張ってあったよ」というようなことが大事なことじゃないですか。だから、実際に張る張らないということは確かにあるかも知れないけど、とにかくそういうものは必要なことではないですか。あんまり、ポスターやPRのことで議論したくないんですけどね、全ぜN本筋の話じゃないですから。
(厚)ポスターの配布ですが、今までのパンフレットに加えて、なんですが、ポスターはあることはあるんですが、ご覧になられたことがあるかどうかわからないんですが・・・
(交)ないねー。頂けるとありがたいなー。自分で病院へ持って行ってベタッと張っちゃうから。
(厚)ポスターを送ったこともあると思うんですが、今在庫があるかどうかわかりませんが、ちなみにうちの部屋には入口のところに張ってあります。ただ、うちの部屋に張ってもあれなんですが。まあ、うちの部屋に在庫があるかどうか確かめて、パンフレットも、次回の時にでもお渡しします。
(交)名前が変わったと言うことですけどね、副作用の情報を集める目的としてね、副作用で被害にあってしまった人を救済することが一番の目的なんでしょうが、情報を集めることによって、被害を減らしていこうとする目的も含まれていますか。
(厚)そうです。
(交)含まれているんですね。
(厚)要は、調査という業務があるわけで、色々な業務があるわけですけど、一つは承認申請に際しましての裁量のないような部部について、医学的判断が比較的薄いような典型的な業務について機構がやるということが業務の一つ。もう一つは副作用の情報データベース、情報を集めまして、それを医療機関からもアクセスできるような形で、薬剤の副作用について、そういう風なことを考えていますけどね。
(交)以前にコンピューターにも入ってないから、五十数件の情報を調べるのにも何年もかかっていたんですよね。
(厚)個々の患者さんのデータというのはダメですが。・・・
(交)いや、違うんですよ。個々の薬で情報を把握できなかったんですよ。個々の薬で把握できないということは、今後の被害の救済に全然使えないんですよ。どの薬でどんなけ起こっているかがわからないから。それが前回の反省なんですよ。だから、データベースを作るなら、この薬で急に被害が増えているから、これひょっとしたら危ないんじゃないか、とかがピピッとわかるようなそういう目的でデータベースを作って欲しい。
(厚)そういうソフトの内容まではちょっとあれなんですが・・
(交)だからそういうことまで、目的に入ってるんですね。
(厚)要は副作用被害を防止する、安全に医療機関の方にも使っていただくし、どういう方が専門の方がアクセスされるかという問題はわからないですけど・・・。
(交)だからね、僕らが交渉に来て、「この薬に関しての被害はなんぼ入ってますか。」と聞いたらすぐ出てくるとかね。
(厚)そこは計数がどれくらいかというのがちょっとわからないです。何件起こっているかということはともかくとして、どういう副作用被害が少なくとも薬害にあり得て、どういうふうに処方して頂くことが適切というか望まれるかは、情報としてアクセスできるような形にしておく。
(厚)まあ、そこが難しいところだと思うんですけど、どういうソフトがあり得るかということだと思うんですけどね。
(厚)まあ、最低限そういうことはやろうということで、あと、これも今検討中なんですが、「薬百十番」というような窓口を設けまして、相談窓口を設けたいと思っておりますので、まだどういうような形でやればいいか、私たちにもマニュアルがないもんで、どういった形があり得るか、まあ、いつもお叱りを頂いているんですけども、徐々ではありますが、色々と・・・・
(交)あのね「薬百十番」を具体的に進めたいというときはね、ぜひ、この「厚生省交渉団」に相談して下さいよ。過去にいやと言うほど皆さんやっておられますから。
(厚)どういう相談があり得るのかということが・・・
(交)ここら辺の人みんなプロやから聞いて下さいよ。
(厚)実際に被害が起こってしまった場合の話になりますと、それはもう「救済の方の基金の申請をして下さい。」と、「パンフレット送りますので差し支えのない限り御住所を教えていただいて」という形で対応は今もしてるんですけどね、実際にどういう相談が来るかというのは私もつかめないんで・・・
(厚)個々のメーカーの薬とか、個々のメーカーにしか分からない話になってくるとどうしようか、とか、・・・
(交)委託していただいて、我々が引き受けましょうか?
(交)薬で一番多いのは、「薬を飲んだら治るんじゃなくて全然別の症状が表れてきた」というやつですよ。それで「自分は素人だからこの薬との因果関係がわからないけれども、この薬によってなったんでしょうか、それわかりませんか」という相談ですよ。
(厚)それは即座には多分、相談ではわからないと思うんですが、あるいは入院されたとか、そういうふうな状態があれば、機構の方で、面倒でなければ申請を出して頂いて、厚生省の方でも設けてやってるわけですから、該当であれば救済がありますよ、ってことだけば、最低限お話ししていますので、・・・
(交)最後にね、前ね、「陣痛促進剤だけでどれくらいの副作用情報が集まってますか」って聞いたら、「ホルモン剤とでしか数えてない。」ということだったんですね。ホルモン剤としてしか数えてないようでは、得た情報から被害をなくして行こうという目的に使えないでしょ。例えば陣痛促進剤だけで一ヶ月に十件も来たとしたら、厚生省は気になって調べようとするかも知れない、だけど、ホルモン剤とでしか分類していなければ、副作用を未来に向けてやって行こうということに使えないでしょ。その辺をそういう目的があるなら、加味してもらってデータベースを作って欲しいんですよね。
(厚)個々の医薬品ごとに作ることになると思いますので、ホルモン剤がどうとかこうとかいうことにはならないと思いますので・・・
(交)もともとのデータというのはどういうものなんですか。
(厚)ちょっとどういうシステムになるかというイメージが試行錯誤の段階なので、僕もちょっとセクションが違うのであれなんですが、医薬品の副作用としてどういうものがあり得るのかということと、それと今までのモニター報告などのデータが盛り込まれる可能性があるんじゃないでしょうか。すいません。今、推測でものを行ってますので、あれなんですが、そういう形になると思いますんで、少しでも進歩ではないかと、・・・
(交)今日は来て良かったね。ちょっとでも積極的に出ていこうという気持ちが見えてきたね。今まではただ守りだけで、待ってるだけって感じだったもんね、救済基金は。
(厚)結局タイミングの問題というのもありまして、様々な予算措置とか、人の問題とかありますので・・・
(交)もう一つだけお願いしたい。例えば産科の情報を集める場合、厚生省は「産科の医者はなかなか情報を送ってきてくれないんですよ」と言って、ほとんど情報が集まっていないのに、日本母性保護医協会には医者からの情報がいっぱい集まってきている。だから、厚生省なんですから、情報量で他の産科の団体とかに負けることのないように、たとえば「そっちにはそんなに情報が入ってたんですか。そんなに苦しんで死んでいたんですか。厚生省には五件しかコンピューターに入ってませんでしたわ。」みたいな意味のないようなことにならないように頑張って下さいね。
(厚)色々と引き続き御批判など頂きながら、あるいは色々ご批判を受けることによって、ひょっとしたら新聞報道とかにもなるかも知れない、そうすると機構の存在なんかも批判を受けながら国民の中に伝わることになるわけですから、色々ご批判を頂きながら・・・
(交)厚生省の人とは思えないね。
(厚)ただ、出来ることと出来ないことがありますから、その時には役人のような口調になると思いますが・・・
(交)はい、有り難うございました。